ルワンダのポール・カガメ大統領を批判しウガンダに亡命していた元ルワンダ軍少佐ロバート・カベラ氏が、10月17日までにウガンダのカンパラ近郊で遺体で発見されました。首が切断された状態で見つかっており、ウガンダ警察が殺人事件として捜査を進めています。
ルワラ村で発見された遺体と捜査状況
カベラ氏の遺体は、カンパラから約45キロ離れたムピギ地区カメンゴ郡ルワラ村のユーカリのプランテーションで発見されました。ウガンダ警察の報道官キトゥーマ・ルソケ氏は、10月19日の記者会見で、遺体は親族によってロバート・カベラ氏(50歳)であると特定されたものの、切断された頭部は依然として発見されていないことを明らかにしました。
警察の初期捜査によると、殺害は10月16日の夜から17日の早朝にかけて行われた可能性が高いとみられています。遺体はムバララの遺体安置所へ搬送され、科学捜査による身元確認と死因の解明が進められています。現時点で逮捕者は出ておらず、警察は犯行の動機や背後関係について慎重に捜査を続けています。家族の証言によれば、カベラ氏は10月16日の午後7時頃、定期的に利用していたボダボダ(バイクタクシー)の運転手「イノセント」と共に現地を訪れていました。翌朝、連絡が取れなくなったことを不審に思った兄のヴィクター・アガバ氏が捜索を行い、村の防衛書記官からの通報によって、遺体が発見されました。アガバ氏は、親指の傷跡と現場に残された靴から、遺体が弟のものであると確認しました。
軍人から音楽家、そしてオンライン・ディシデントへ
カベラ氏は、かつてルワンダ軍の「アーミー・ジャズ・バンド」で音楽家として活躍し、現地紙『ニュー・タイムズ』の2008年のプロフィール記事でも取り上げられるなど、軍内では公的な知名度を持っていました。当初は政府に対して批判的ではありませんでしたが、次第にカガメ政権への反対姿勢を強めていきました。2020年11月にルワンダを離れ、ウガンダへ亡命した後は、YouTubeチャンネル「メジャー・ロバートTV」を運営し、14万4000人の登録者を集めるまでに成長しました。
同チャンネルでは800本以上の動画を投稿し、カガメ政権に対する批判的な見解を頻繁に発信していました。その中には、長年投獄され、2025年6月にも再逮捕されたルワンダの反体制派政治家ヴィクトワール・インガビレ氏を称賛する楽曲も含まれていました。これに対し、ルワンダ軍は2020年11月、カベラ氏が未成年者へのわいせつ行為に関与した疑いで捜査対象となっていたと発表し、同氏を逃亡者として指名手配していました。カベラ氏はこれらの容疑を一貫して否定し、逃亡の理由は政治的迫害を避けるためであったと、ウガンダのメディアに対して語っていました。
ルワンダ亡命者を取り巻く安全への懸念
カベラ氏の殺害は、過去にルワンダ国外で発生した同様の事件と重なり、亡命者の安全に対する懸念を再燃させています。これまでに発生した主な事件は以下の通りです。

- パトリック・カレゲヤ氏(2014年):元ルワンダ情報局長。ルワンダ国民会議(RNC)の共同設立者で、カガメ氏の元側近。南アフリカのヨハネスブルグのホテルで絞殺体で発見されました。
- セフ・バンポリキ氏(2021年):反体制派リーダー。南アフリカで射殺されました。
- レヴォカ・カレマンギンゴ氏(2021年):元ルワンダ軍中尉。モザンビークで射殺されました。
カベラ氏の兄であるヴィクター・アガバ氏は、カベラ氏が以前から命を狙われていたと語っています。特に2023年10月には、カンパラ市内のルバガ・ロードで3人の男に襲撃される事件が発生し、当時の犯人は「アメリカに逃げたとしても、我々は見つけ出して殺す」と脅迫していたことが、当時の警察への報告書から明らかになっています。亡命した反体制派グループであるルワンダ国民会議(RNC)は、カベラ氏の死を受けて「家族は悲しみに暮れ、彼の声は消えた。ルワンダの亡命者たちは今、『どこにいれば安全なのか』という恐ろしい問いに直面している」とX(旧Twitter)で声明を発表しました。
未解決の動機と今後の捜査
遺された家族は、警察に対して頭部の捜索と犯人の逮捕を強く求めています。カベラ氏の妻であるジャンヌ・ダルク・ルウィゲマ・ウウィゼイェ氏は、BBCグレートレイクスの取材に対し「恐ろしい。気が狂いそうだ。子供たちも私も安全が保障されていない」と、家族の身の安全への恐怖を訴えました。カベラ氏の親族からは、現場の状況を考慮し、ボダボダ運転手一人による犯行ではなく、より組織的な関与を疑う声も上がっています。
