2026年8月11日、オーストラリアで5年ごとの国勢調査が開始され、性的指向および出生時の性と異なる現在の性別に関する項目が初めて追加されました。16歳以上の回答者を対象とし、論争を経て任意回答として導入されています。
オーストラリア全土で2026年8月11日、新たな国勢調査が始まり、これまでの調査にはなかった画期的な問いが追加されました。今回の全66問からなる調査では、回答者が自身の性的指向や、出生時に登録された性別とは異なる現在の性自認を明らかにすることが可能になりました。中道左派の労働党政権下で実施される初の国勢調査であり、社会的な議論を呼んだ新しい質問項目がついに導入された形です。
性的指向と性自認を問う新たな選択肢の導入経緯
性的指向に関する質問では、回答の選択肢として「ストレート」、「ゲイまたはレズビアン」、「バイセクシュアル」、「わからない」、「回答したくない」、または指定された空欄に独自の用語を記入できるようになっています。一方、出生時の性と異なる現在の性自認については、「男性」、「女性」、「ノンバイナリー」、「回答したくない」、あるいは別の表現を記入する選択肢が用意されています。これらはいずれも16歳以上の世帯員を対象としており、1911年の初回国勢調査から続く宗教に関する質問と同様に、回答はすべて任意となっています。
これらの質問の導入に至るまでには、政権内での方針の揺り戻しがありました。労働党は2022年の選挙運動中、次回の国勢調査にこうした質問を盛り込むと公約して政権を奪還しましたが、2024年には社会的結束の維持を理由に前回の2021年調査から質問項目を変更しない方針へと転換しました。
オーストラリア統計局と専門家が示す意義と課題
デヴィッド・グルーン(ABS首席統計官、Australian Broadcasting Corpへの発言に基づく)氏は、人口の一部の人々にとって、こうした情報を収集することは非常に重要であると述べています。
こうした背景から、情報を共有したい人々とプライバシーを守りたい人々の双方に配慮し、質問は任意の形式とされました。また、オーストラリア国立大学の人口学者であるリズ・アレン氏は、ニュージーランドやカナダ、イギリスといった同等の国々と比較して、オーストラリアはこの分野への対応が遅れていたと指摘しています。アレン氏は、染色体やホルモン、生殖器などの特徴が一般的な男性・女性の定義に当てはまらない人々を指す「インターセックス」に関する質問など、調査はさらに踏み込むべきであるとの見解を示しています。
オンライン回答の普及と厳格な罰則規定
各国における国勢調査の動向比較
近年の主要国の国勢調査における性別や性的指向に関する対応は、国ごとに異なるペースで進められています。今回のオーストラリアの動きと、近年の他国の状況は以下の通りです。
| 国名 | 実施時期 | 性的指向・ジェンダーに関する主な対応 |
|---|---|---|
| イギリス | 2021年 | 性的指向や性自認に関する類似の質問を実施 |
| ニュージーランド | 2023年 | 関連する調査項目を導入 |
| アメリカ | 2020年 | 性別は男性・女性の2択のみ、性的指向の直接の問いはないが同性パートナーの世帯関係記載を初めて容認 |
| カナダ | 直近 | ジェンダーや性的指向に関する質問を導入 |
| オーストラリア | 2026年 | 性的指向と出生時と異なる性自認を問う項目を初めて任意回答で導入 |