…ウクライナ軍は、空中投下したロボットや無人化した装甲車両を投入した大胆な作戦「ビバルディ」により、ロシア兵250人以上を投降させたと発表した。CNNおよび乗りものニュースによると、ウクライナ軍は新技術を駆使し、ロシア軍の防衛線を突破して後方から攻撃を仕掛ける戦術を成功させている。…
ドネツク州で展開される反転攻勢「ビバルディ」
ウクライナ軍の第3軍団は、東部ドネツク州を中心に反転攻勢作戦「ビバルディ」を遂行している。CNNの報道によれば、この作戦の一環として、空中から敵陣後方にロボットを投下する手法がとられた。第3軍団のアンドリー・ビレツキー指揮官は、重火器を搭載したロボットをロシア軍の前線から10キロ以上後方へ投下することに成功したと説明している。遠隔操作によるこうした攻撃は、ロシア軍にとって予期せぬ方向からの脅威となった。乗りものニュースによると、同作戦の第3段階において、ウクライナ軍はこれまでに合計176平方キロメートルの占領地を解放したと報告されている。
無人化された「トロイの木馬」による陣地突破
ウクライナ軍は旧ソ連製のBTR-60装甲兵員輸送車を、大量の爆発物を搭載した自爆車両へと改造した。乗りものニュースは、この車両を「トロイの木馬」と形容し、ロシア軍の強固な防御陣地を粉砕するために投入されたと伝えている。ドネツク州北部のノヴェ村およびカテリニウカ村での作戦では、ロシア軍がこの車両を自軍の増援部隊と誤認したため、抵抗を受けずに接近を許したという。遠隔操作された車両が拠点に到達し、すさまじい爆発を起こす映像が公開されている。米シンクタンク「戦争研究所(ISW)」は、この車両がロシア軍のドローン攻撃を受けずに陣地に到達した点を挙げ、ウクライナ軍が当該地域の電子戦システムなどを無効化した可能性を示唆した。

投降したロシア兵が語る前線の窮状
第3軍団が公開した映像には、森の中を一列になって歩き、投降する数十人のロシア兵の姿が収められている。CNNによると、捕虜たちは一様にうつむき、ウクライナ兵の厳しい監視下で点呼を受けていた。投降した兵士の一部は「無駄死にしたくなかった」と証言しており、物資が底を突き、木の皮や草を食べてしのいでいたという過酷な状況が明かされている。ロシアの著名な軍事ブロガーからは、最近のウクライナ軍の進軍に対し、指揮系統の不備や深刻な物資不足を指摘し、ロシア指導部に説明を求める声も上がっている。ただし、これらの映像の真偽やウクライナ側の主張について、CNNは独自に検証できていないとしている。
地上ロボットが変える現代戦の戦術
ウクライナ軍が地上ロボットを導入した背景には、前線におけるドローンの脅威がある。CNNの分析によると、空を飛び交うドローン群は歩兵にとって深刻な脅威となっており、地上ロボットの使用は不可欠な対抗策となった。地上ドローンは大型の軍用車両に比べて発見や阻止が困難であり、天候の影響を受けにくいという利点がある。また、大量の物資を積載できる点も大きな特徴だ。これまで前線でのドローン運用は一般的だったが、ロシア軍の防衛線をかいくぐって後方にまで地上ロボットを送り込む手法が確認されたのは、今回のビバルディ作戦が初となる。
領土奪還の進捗と今後の情勢
ウクライナ軍の進軍により、9月には戦況に変化が見られた。ISWの計算によると、ロシア軍は9月に約175平方キロを奪取したが、別の地域で256平方キロを失っている。ロシア軍は3カ月にわたり小幅ながら着実に占領地を拡大してきたものの、9月に入り形勢が逆転した格好だ。ウクライナ各地の都市は、防空ミサイルの不足を突くロシア軍からの間断ない空からの攻撃にさらされており、2022年の全面侵攻開始以降で、特に多くの民間人犠牲者が出ている。厳しい状況が続く中、今回の作戦による領土奪還は、ウクライナ側にとってわずかながら明るい材料となった。今後、ウクライナ軍がこの革新的な技術運用をどのように継続・拡大していくかが焦点となる。