4日間で3拠点が攻撃を受ける事態に
ウクライナの新興防衛企業ファイアポイント社は2026年10月11日、ロシア西部ウラジーミル州にあるヤンデックスのデータセンターを攻撃したと発表しました。乗りものニュースによると、ウクライナ軍はこれに先立ち、10月8日にリャザン州サーソヴォ、9日にカルーガ州の施設を標的としています。ロシア国内に5か所あるヤンデックスの主要データセンターのうち、3か所がわずか4日間で被弾・炎上する異常事態となりました。
報復としてのデジタルインフラ攻撃
ファイアポイント社は一連の攻撃について、ウクライナ国内のデータセンターに対するロシア側の攻撃への報復であると説明しています。Yahoo!ニュースによると、ロシア国防省は2026年9月27日、ウクライナのデータセンターを破壊したと誇示し、テレグラム上で「デジタルデトックス」や「強制シャットダウン」といった文言を投稿していました。ウクライナ側は、ロシアが先に仕掛けたサイバー領域での攻撃手法をそのまま突き返した格好です。
AI開発基盤への深刻な打撃
攻撃を受けた施設には、ロシアの技術開発の要となる設備も含まれていました。GIGAZINEによると、サーソヴォのデータセンターにはAI開発用スパコン「チェルヴォネンキス」と「リャプノフ」が設置されており、被害が懸念されています。また、BigGo ファイナンスは、ウラジーミル州の施設にはロシアで最も強力とされるスパコン「ガルーシキン」が設置されていたと報じました。先端半導体の輸入制限が続くロシアにとって、これらの計算資源の損壊は容易に代替できない損失となる可能性があります。
制裁が復旧を困難にする懸念
物理的な破壊に加え、ロシアは復旧に向けた別の壁にも直面しています。アメリカのシンクタンクである戦争研究所は2026年10月9日、西側諸国による対露制裁が、ヤンデックスのデータセンター復旧を大きく妨げる可能性を指摘しました。設備や部材の調達が制限されている現状では、大規模なインフラの修復には不透明感が漂います。ヤンデックス側も、サーソヴォの施設については修復の可否すら不明であるとの見解を示しています。

情報工作の基盤としての役割
今回の攻撃は、物理的なインフラ破壊以上の意味を持つとみられています。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は2026年10月12日、自身の公式Xで、データセンターの破壊後にソーシャルメディア上で憎悪や分断を煽る投稿が減少したと発信しました。これはヤンデックスのインフラが、ロシアによる情報工作やボット活動の基盤として利用されていたことを示唆しています。
ハイブリッド戦の新たな局面
ロシアは伝統的な軍事力とサイバー攻撃や偽情報を組み合わせた「ハイブリッド戦」を推進してきました。今回の攻撃は、その中枢であるデータセンターが物理的に破壊されることで、ロシアの非軍事的な情報戦能力に直接的な打撃を与えたことを意味します。この連鎖的なインフラ攻撃は、今後ロシアの戦争努力を支える物流や企業通信、そして国家的な情報発信能力にどのような影響を及ぼしていくのでしょうか。
