2026年10月13日、コーネル大学はキャンパス内の安全強化策として、インターフラタニティ・カウンシル(IFC)傘下の全フラタニティ・ハウスにおけるパーティーおよび社交イベントを、2026-2027学年度の終了まで停止すると発表しました。マイケル・I・コトリコフ学長は、この措置について「フラタニティの生活を徹底的に見直し、どのように安全を維持できるかを判断するための時間が必要だ」と述べ、違反には「ゼロ・トレランス(一切容赦しない)」で臨むと警告しています。大学側は、パーティーに代わる安全な社交の場を学生や教職員と協議し、リソースを投じる計画です。
2024年の集団強姦疑惑と大学の対応への批判
今回の措置は、2024年10月にChi Phiフラタニティのハウスで発生したとされる集団強姦事件に端を発しています。当時20歳だった女子学生「ジェーン・ドウ」は、パーティーでケタミンを摂取させられた上で、複数の学生から性的暴行を受けたとして今年9月に民事訴訟を提起しました。彼女はコーネル大学警察に対し、その夜の出来事を詳細に語り、自身が強姦されたことに「100%の自信がある」と証言していました。しかし、大学当局がトンプキンス郡検察官事務所に送付した宣誓供述書からは、彼女の「性的暴行を受けた」という断定的な言及が除外されていました。
大学の対応に対する批判は全国的に拡大しました。ジョン・ハートネットら学生組織による抗議活動がキャンパスを揺るがす中、コトリコフ学長は「ジェーン・ドウが2024年に受けた被害に対し、深く謝罪する」との声明を発表しました。また、2025年に実施された「性暴力および関連不正行為調査」では、学部生の女性の35%が在学中に非同意の性的接触を経験したと報告しており、2023年の23%から大幅に増加していることが判明しています。
ニューヨーク州警察の調査介入と外部専門家の起用
大学は自律的な解決能力への疑念を払拭するため、外部の専門家を招き入れています。まず、性暴力調査の透明性を確保するため、大学の警察部門だけでなく、ニューヨーク州警察の経験豊富な捜査官が大学から独立した立場で性的暴行の申し立てを調査することを認めました。さらに大学は、元司法副長官のサリー・イェーツ氏を起用し、大学の性暴力対応に関する独立したレビューを開始しました。
「自発的酩酊の抜け穴」を巡る法的な壁
この事件は、ニューヨーク州の法律における「自発的酩酊の抜け穴(voluntary-intoxication gap)」という長年の議論を再燃させています。トンプキンス郡のマット・ヴァン・ホーテン検察官は、Doe氏の供述に基づき刑事告訴を見送った際、彼女が自ら飲酒したという事実を引き合いに出し、被害者が自身の行動を制御できない状態にあったことや、同意なしに薬物が投与されたことを示す十分な証拠がないと主張しました。この「酩酊の抜け穴」は、被害者が自発的に飲酒していた場合、司法による救済が極めて困難になるという問題で、現在ニューヨーク州議会ではこの抜け穴を閉じるための法案が議論されています。

今回のコーネル大学での騒動は、2013年のヴァンダービルト大学の集団強姦事件や、リー・テア・パーソンズの自殺、エマ・サルコウィッツによるマットレスを使った抗議活動(Carry That Weight)、ブロック・ターナー事件、そして#MeToo運動といった過去の事例と重ね合わされ、大学における性暴力の構造的課題を改めて浮き彫りにしています。ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事とレティシア・ジェームズ司法長官は、大学の対応を精査するべく捜査に関与しており、今後、大学の教育機関としてのあり方と安全管理体制が厳しく問われることになります。