イギリス海軍は2026年9月29日、23型フリゲート「ポートランド」が同国艦艇として初めて対艦ミサイル「NSM」を標的艦に向けて発射したと発表した。米海軍との共同演習「アトランティック・サンダー」で実施されたもので、実運用型ミサイルの能力を確認した。
23型フリゲート「ポートランド」が初めてNSMを発射
イギリス海軍が2026年9月29日に発表したところによると、23型フリゲート「ポートランド」は、同国の水上艦艇として初めて対艦ミサイル「NSM(Naval Strike Missile)」を標的艦に向けて発射した。今回の発射は、アメリカ海軍と共同で実施した演習「アトランティック・サンダー」のなかで行われたものである。実運用型NSMをイギリス海軍の艦艇が実際に発射するのは今回が初めてであり、同国の新たな対艦打撃能力の確立に向けた重要な節目となった。
退役した米海軍のミサイルフリゲートを標的に実施
今回の演習では、退役したアメリカ海軍のオリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート「クラクリング」が標的艦として使用された。このような実際の艦艇を標的として用いる実弾演習は「撃沈演習(SINKEX)」と呼ばれている。シミュレーターや通常の訓練では完全に再現できない実戦に近い環境のもとで、兵器の運用や目標への攻撃に関するデータや実経験を得ることを目的として、こうした実艦を使った訓練が実施されている。
ノルウェー開発のNSMが持つ性能とハープーンの後継
NSMはノルウェーのコングスベルグ・ディフェンス&エアロスペースが開発した対艦ミサイルであり、すでにノルウェー、アメリカ、ポーランドの各海軍でも運用実績がある。音速に近い速度で飛翔し、約160km以上離れた目標を攻撃できる性能を持つほか、海面すれすれを飛行することで敵のレーダー探知を回避する能力を備えている。イギリス海軍では、退役した「ハープーン」対艦ミサイルの後継として導入が進められており、次世代艦艇への搭載も予定されている。
ワイルドキャットからシー・ヴェノムも初発射
今回の演習では、NSMの発射だけでなく、イギリス海軍航空隊のワイルドキャット・ヘリコプターから「シー・ヴェノム」対艦ミサイルも発射された。こちらも、ワイルドキャットから実運用型ミサイルを現実的な海上目標に対して実射するのは今回が初めてのことである。水上艦艇と航空機の双方から最新の対艦兵器を実使用することで、部隊全体の攻撃能力と運用データの収集が同時に進められた形となっている。
今後の次世代艦艇への搭載と運用拡大に向けた動き
イギリス海軍は退役したハープーンミサイルの後継としてNSMの導入を進めており、今回のポートランドによる初発射成功を経て、今後は次世代艦艇への搭載や部隊全体の本格的な運用拡大に向けてさらに準備が進められる見通しである。実戦的な撃沈演習を通じて得られたデータや経験が、今後の水上戦能力の強化にどう反映されていくのかが注目される。