日本語版
最新ニュース
世界

イギリス政府、北海ジャックドウ・ガス田の天然ガス採掘を承認

イギリス政府は2026年10月21日、アバディーン沖のジャックドウ・ガス田における天然ガスの採掘を正式に承認した。

イギリス政府、北海ジャックドウ・ガス田の天然ガス採掘を承認

イギリス政府は2026年10月21日、アバディーン沖のジャックドウ・ガス田における天然ガスの採掘を正式に承認した。環境団体や与党内の一部からの反発が広がる中、アンディ・バーハム首相はエネルギー安全保障の強化に向けた現実的な決断であると強調している。

アバディーン労働者の生活防衛と高まる地元経済の期待

オフショア作業員はThe Guardian紙の取材に対し、「ジャックドウは住宅ローンの支払いを意味する」と語った。

一方で、北海盆地の石油・ガス部門に残る雇用は約3万8000人にのぼるが、再生可能エネルギー部門の雇用は4200人にとどまっており、業界の変化に伴う雇用の縮小や無人化・遠隔操作化への懸念も根強く残る。シェルやエクイノルが開発に関与するこの現場では、直接的なプラットフォーム上の雇用は27ポスト程度とされるが、関連するサプライチェーン全体を含めると数百の雇用が支えられる見通しである。

エネルギー安全保障と気候変動対策を巡る政治的攻防

政府部内や議会では、今回の決定がもたらす実効性と気候変動への影響を巡り激しい議論が交わされている。アンディ・バーハム首相は、国民生活を守るための現実的な判断であると主張し、既存のエネルギー資源を最大限に活用することが重要であると述べる一方で、2050年までのネットゼロ達成に対する姿勢は維持されると強調している。野党・保守党の党首ケミ・バデノックは、保守党政権が2022年にすでに承認していたにもかかわらず現政権が決定を遅らせたと批判した。また、米国のドナルド・トランプ大統領も自身のSNSで英国の北海ガス田開発を歓迎し、「彼らはフルブラストで進むべきだ」と投稿している。

イギリス政府、北海ジャックドウ・ガス田の天然ガス採掘を承認
写真:BBC
イギリス政府、北海ジャックドウ・ガス田の天然ガス採掘を承認
写真:The Guardian

一方で、緑の党のリーダーであるザック・ポランスキーは今回の決定を「気候破壊行為」と非難し、フレンズ・オブ・ザ・アースのダニー・グロスやクライアントアースの英国責任者カイル・リシャクら環境活動家も、過去最高の暑さや異常気象が続く中で新たな化石燃料プロジェクトを承認することは英国の気候公約に反し、国内の電気料金を引き下げることもないと強く反発している。

エネルギー価格とガス供給量が抱える現実

公式予測によると、ジャックドウの生産量はピーク時でも英国全体の国内ガス生産量の約6パーセント程度にとどまり、今後10年間の全国需要に対する貢献度は約1.6パーセントから2パーセント程度と見込まれている。プロジェクトの寿命は約11年間とされている。それでも政府は、輸入燃料への依存を最小限に抑え、国内の供給基盤を支える上で小規模ながら意味のある役割を果たすと説明している。

イギリス政府、北海ジャックドウ・ガス田の天然ガス採掘を承認
写真:The Guardian

エネルギー専門家や批評家の間では、北海で産出されるガスは国際市場で取引されるため国内の光熱費が直接下がるわけではないとの指摘もあるが、中東やウクライナ情勢の緊迫化によるエネルギー危機や輸入LNGの環境負荷を考慮すると、国内供給網に直接つながる国産ガスの確保は安全保障上の「万が一への備え」として意味を持つとの意見も示されている。

20億ポンド規模のエネルギー富裕基金の創設

政府はジャックドウの承認と同時に、北海油田からの税収を活用して再生可能エネルギーおよび低炭素プロジェクトへの投資を行う「エネルギー富裕基金」の新設を発表した。この基金は20億ポンドの初期拠出金からスタートし、将来的に北海からの税収が継続的に流れ込む仕組みとなっている。また、政府は2021年に合意された北海移行協定の刷新に向けた業界リーダーとの協議を開始したほか、独立系分析機関レッドウォーター・インサイツの予測によれば、今後の北海盆地の変化に伴う老朽施設の撤去(デコミッショニング)事業だけでも、今後10年間で最大2万5000人の専門職を支え、最大256億ポンドの投資を引き付ける可能性があるとされている。

イギリス 来年度政府予算案公表 富裕層への増税など通じ約5兆4000億円の歳入増目指す
執筆者について: nipponese

Nipponese News編集部は、国内外のニュースを日本語で分かりやすくお届けします。