欧州各国では、ウクライナ侵攻以降のドローン侵入やハイブリッド攻撃の急増を受け、送電事業者や重要インフラ企業に対してドローンの迎撃や無力化など自衛権限を付与する動きが広がっています。フランスやオーストリアなどで法整備や計画が進む一方、責任や法的リスクを巡る課題も残されています。
フランスとオーストリアにおける重要インフラ企業の防衛権限拡大
パリ南部にあるかつての飛行試験基地ブレティニー・スール・オルジュでは、地上チームがドローンを阻止するためのシステムを試験しており、電子妨害装置や迎撃ドローンなどの技術の潜在的顧客は、政府や警察、軍だけにとどまらなくなっています。

欧州電力業界団体「ユーレレクトリック」のクリスティアン・ルビー事務局長は、「ハイブリッド攻撃により今冬、暖房が停止する事態が起きることは、理論上の可能性であり、かつ現実味を増しつつある可能性でもある」と述べた。
ポーランドの独自防衛とドイツにおける法的枠組みの検討
ポーランドでは、事業者らが対ドローンシステムを展開し、軍や警察部隊と共同で訓練を実施しているとレロイター通信に明らかにしました。重要エネルギーインフラの周辺にはドローン飛行制限空域が設けられ、事業者の指定警備ユニットには侵入したドローンの破壊や無力化、制御奪取の権限が与えられています。

一方、ドイツでは警察が対ドローン業務を担っており、内務省は重要インフラ事業者が法的に能動的な対策へ関与できるかどうかの見直しを進めています。ドイツの防衛企業ラインメタルは、民間事業者にとっての最大のハードルは検知から対抗措置の決定までのタイムラグであり、法的責任の断片化にあると指摘し、市場セグメントが急速に成長していると述べています。
欧州全体に残される責任問題とガバナンスの課題
欧州全域の企業、当局者、エネルギーアナリストらがレロイター通信に語ったところによると、企業はこれまで何年もの間、攻撃の未然防止ではなく、ネットワークの強化や混乱したサービスの復旧に注力してきました。専門家や関係者は、明確な確実性がなければ、インフラ事業者はドローンを撃墜することで負傷や多額の損害を引き起こす可能性があるため、無力化を躊躇し続ける可能性があると指摘しています。2026年2月に欧州委員会が発表したドローンおよび対ドローンセキュリティに関する行動計画は、こうした「ドローン化(domification)」を促進する内容となっています。さらに、欧州連合(EU)の持続可能交通・観光担当コミッショナーであるアポストロス・ツィツィコストラスが「夏以降」に来ると述べた後続の「ドローンセキュリティパッケージ」は、これまでのところ登場していません。

バルト三国における対ドローン戦略とジェット機迎撃の検討
他方、エストニアの新国防相であるマルティン・ヘレムは、ウクライナのボルディミル・ゼレンスキー大統領とキーウで会談した後のインタビューで、ロシアの高速なジェット駆動型攻撃ドローンを迎撃するため、軽ジェット機の購入を検討すべきだという考えを浮かび上がらせました。ウクライナ空軍の報道官であるユーリー・イフナトによれば、ウクライナ側ではフロマツケの報道において、7月に約40%、8月に約60%のジェット駆動型ドローンを迎撃しているものの、月あたりの飛来数は数百年から毎月数千機規模へ増加しています。ウクライナ国防省によれば、それらの速度は時速400キロメートルを超えるとされています。バルト三国はいずれも独自の戦闘機部隊を保有していません。NATO同盟国が持ち回りで空域を警備しており、ラトビア上空では6月に、リトアニア上空では9月15日に同盟国のジェット機がドローンを撃墜しています。エストニアの空域警備ローテーションには現在、エマリ基地に展開するトルコのF-16戦闘機が含まれており、エストニア軍によれば、スペインのF-18戦闘機は10月初頭のローテーション終了後に出発する予定となっていました。ラトビアもリトアニアも、自国でジェット機を購入する方針は示していません。