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2025-12-27 08:30:00
- 高齢世代にとって、現金は実体の価値あるものだ。だが、若年層にとっては、モノポリーで使うおもちゃの紙幣と大差ない。
- FRBのレポートによれば、モバイル決済を利用していると回答した人は、24歳以下では45%に達し、世代間で最も高い利用率を示した。
- 財布に別れを告げた若年層に、世界がもうすぐ追いつくのかもしれない。
Z世代にホリデーギフトを贈ろうと思っているならば、「財布」は避けた方がよいだろう。たとえ、それが若者向けプレゼントの定番の一つであってもだ。
テクノロジー専門調査会社のジュニパー・リサーチ(Juniper Research)によると、世界人口の約半数に相当する約44億人がデジタルウォレットを利用しているという。その数字は2030年までに35%にまで拡大すると予測されている。米連邦準備理事会(FRB)の2025年報告書によれば、モバイル決済を利用していると回答した人は全体の23%だったが、24歳以下では45%に達し、世代間で最も高い利用率を示した。
現金を使うと回答したのは全体の14%にとどまる。55才以上または年間所得が2万5000ドル(約387万円)未満の世帯では、現金利用の割合が相対的に高い。
2024年のマッキンゼーの調査では、デジタルウォレットを利用する欧米人の5人に1人が、現金を持たずに外出することが多いことがわかった。また、英国で現金アクセスの改善に努める非営利団体リンク・スキーム(Link Scheme)によると、英国で財布を日常生活の必需品と考えている人の割合は、18~24歳では38%にとどまる。現金を利用しない人が増えており、レンディングツリー(LendingTree)の調査では、「先月ATMで現金を引き出さなかった」と回答した米国人は30%、「6カ月以上ATMを利用していない」と回答したのは17%だった。
この変化は、お金との向き合い方そののものが変わりつつあることを表している。
高齢世代にとって、現金は実体の価値あるものだ。だが、若年層にとっては、モノポリーで使うおもちゃの紙幣と大差ない。ロサンゼルス在住の26才、ヘイリー・ムーア氏は、10年以上財布を持たず、現金を持ち歩くことはほとんどないという。誕生日カードにお金が挟まっていれば、自由に使っていいお金のように感じる。「手元に現金があると、まるで存在しないお金みたいに感じてしまう。自分へのご褒美として、あっという間に使ってしまう」とムーア氏は言う。
若年層にとって、現金に重みはない
Apple Pay が登場したのは11年前。だが、クレジットカードの登録はなかなか普及しなかった。クレジットカードを差し込むかわりにスマートフォンをタップする行為が便利だとは受け止められていなかったからだ。だが、パンデミックを機に非接触決済が選好され、オンラインショッピングでもApple Payが簡単に使えるようになると状況は一変した。
今では、デジタル決済とカードが真っ先に利用されるようになっている。鋳造1枚に2ペンスかかるペンス硬貨は、今年11月に発行が停止された。また、米国250以上の空港で国内線搭乗にデジタルID が利用されている。スマートフォンだけで完結する日常活動が増えている。スマートリングを製造・販売するオーラ(Oura)は、スマートリングを財布や鍵として使える可能性を検討している。
また、デジタルウォレットの利用頻度が増えるにつれ、人々が「現金よりもデジタルウォレットを信頼するようになっている」と、フィンテック決済企業のスタックス・ペイメンツ(Stax Payments)のアダム・グレイ最高変革責任者(CTO)は言う。現金やカードを詰め込んだ財布を持ち歩くよりも、デジタルウォレットは安全だ。「デジタルウォレットはみんなに恩恵があるので、できるだけ多くの店舗や場所で利用できるよう取り組んでいる」
過去を振り返ると、現金よりもクレジットカードで支払う時の方が、支出額が増える傾向にある。だが、Z世代では変わりつつあるのかもしれない。デジタルウォレットの「キャッシュアップ(Cash App)」が先月公表した調査によると、「現金だと考えなしに使ってしまう」と答えたZ世代が54%に上った。すでに銀行口座から出て行ったお金や、叔母さんからのカードに入っていた現金は、月末のクレジットカード明細書で増えていく数字に比べれば、重要性が低く感じるのかもしれない。また、先述のロス在住で26才のムーア氏は、普通はデビットカードを使う。クレジットカードを使うのは、高額な買い物や、ガソリンスタンドや食料品店でポイントが貯まることがわかっている場面に限られる。クレジットスコアを高めるため、口座残高以上に使いすぎないように注意し、残債は早めに返済するようにしている。
カードではなく現金を使う消費者の感情はまちまちだ。ノートルダム大学の2023年調査によると、人は罪悪感のある買い物に現金を使いたがる。だが、クレジットカードも、短時間にドーパミンが出る買い物につながりやすい。MITの研究者は、クレジットカードを使うと、脳内でご褒美快楽センサーが発動し、人を買い物依存症に駆り立てたり、少なくとも支出に対する抑止効果を引き下げたりすることを突き止めた。2021年の調査では、非接触モバイル決済は調査対象ではなかったが、スマートフォン決済の後に鳴る通知音が、お金を使ったというリマインダーとして機能し、気ままなタップを抑制すると述べている。
コロナ禍で財布に別れを告げた
旅行者にとって、夕食時に真っ先にカードでテーブルチェックをして、ポイントを最大限貯めることは長らく魅力的だった。だが、「クラーナ(Klarna)」や「アファーム(Affirm)」といった 後払いサービス(BNPL)を使う若年層が急速に増えている。J.D.パワーの調査によれば、昨年のホリデーシーズンにZ世代はクレジットカードよりもBNPLを多く利用した。このサービスを利用する人にとって、「BNPLの決済条件は、クレジットカードよりもずっと合理的で透明性が高い」とJ.Dパワーの決済情報部門シニアディレクター、シーン・ゲレス氏は言う。
シアトル在住の29才、フランシス・ボイル氏は、洋服を買う時にBNPLを使うという。「(BNPLは)ほぼ、買い物を正当化する手段と言っていい。今は100ドル(約1万5000円)を超える支出はできないが、毎月20ドルなら無理がなさそう、という具合だ」
ペイパル(Paypal)のデータによると、BNPLを導入すると、大企業では91%、中小企業では62%支出が増える。レジで分割支払いの選択肢を提示された場合、「購入する可能性が高まる」と答えた消費者は半数に上る。もっとも、オンライン上で少額の非接触決済を繰り返すと、何カ月も煩わしい支払いが続き、将来大きな借金につながりかねない。
現金を手放すのは簡単かもしれないが、デジタルウォレットですべてをカバーできるわけではない。
プラハに住む28才のトウリ・フルトナ氏は、すでに財布は持たず、デジタルウォレットと、自分のIDを保管したアプリを使っている。利用のきっかけはいずれも、新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウン中のオンライン購入だった。「それ以降、実際に現金を持つ必要性はなかった」
ところが、旅行先では問題に直面した。ウクライナで大規模停電が起きて近隣一帯のカード決済器が使えなくなった時は、食料を買うために見知らぬ人に現金を借りて、その後で振り込んで返さなければならなかった。また、イタリアでは、カード機が故障していてバスの切符を買えず、無賃乗車として罰金を科せられた。だが、幸運なことに、運賃検査員はApplePayを使える端末を持っていたので、その場で罰金を精算した。
現金を持っていないと、「時々、現実離れした気になる」と言う。素敵な財布がバーゲンになっていれば、買おうかという気になることもある。だがすぐに「何のために」と思い直す。
財布に別れを告げた若年層に、世界がもうすぐ追いつくのかもしれない。
#Z世代は現金をニセ札のように扱うまるで存在しないお金のようだ #Business #Insider #Japan