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2025-07-03 21:40:00
AGI(汎用人工知能)を巡る議論はかなりバカバカしい。本当に重要なのはただ一つ、世界で最も重要なAIパートナーシップがどのように変化するかを決定するという点だけだ。それがOpenAIとマイクロソフト(Microsoft)の取り決めだ。
現状はこうだ。OpenAIが汎用人工知能(AIの能力が人間の能力を超える)を実現するまで、マイクロソフトはこのスタートアップ企業から多くの技術的・経済的利益を得る。例えば、OpenAIは収益の相当部分をマイクロソフトと分け合わなければならない。それは数兆ドルに上る。
サム・アルトマン(Sam Altman)が、OpenAIのAIはまもなくAGIに近づくと繰り返し主張するのは、このためかもしれないと主張するのは合理的だろう。
AI分野の多くの専門家は、この件についてあまり語らないか、AGIの議論はさまざまな点で的外れだと考えているか、あるいはそもそもそれほど重要ではないと考えている。地球上で最もAIを推進しているアンスロピック(Anthropic)のダリオ・アモデイ(Dario Amodei)CEOでさえ、AGIについては語りたがらない。
マイクロソフトのサティア・ナデラ(Satya Nadella)はまったく異なる見方をしているだろう。あなたなら、どう考えるだろうか。もし他社が契約上、AGIを実現できなければ巨額の報酬を支払う義務を負っているなら、AGIに近づいていると考えるわけがない!
ナデラ氏はAGIへの取り組みを「ベンチマークハッキング」と呼んでいるが、実に興味深い表現だ。これは、AI研究者や研究室が、現実世界とは関係なく、業界のベンチマークで優れたパフォーマンスを発揮するようにAIモデルを設計していることを指している。
OpenAIによるAGIの公式定義は「経済的に価値のある作業において、人間を上回る性能を発揮する高度に自律的なシステム」だ。
他の専門家は、AGIを多少異なる方法で定義しているが本質は同じだ。重要なのは、AIマシンやソフトウェアが、多種多様な有用なタスクにおいて人間よりも優れている必要があるということだ。
AIモデルを特定の1つか2つのタスクでより優れたパフォーマンスを発揮するように訓練することはすでに可能だが、AGIに到達するには、マシンが人間よりも多くの異なるタスクで優れたパフォーマンスを発揮できる必要がある。
筆者が提案するAGIテスト
ここ数カ月、AGIに到達したかどうかを確かめるための、現実世界でのテストを考えていた。これらは、AGIの世界では当然のように機能するはずの、楽しくも面倒な日常的なタスクだ。しかし、今の私にはうまくできていない。また、私のニュースレター「テクノロジーメモ」の読者からも意見を募り、その他の情報源からも面白いアイデアを集めた。
私が考案した、AGIに到達したことを証明する現実世界でのテストは以下のとおりだ。
- OpenAIとアンスロピックの広報部門は、独自のAI技術を使用して、ジャーナリストからのすべての質問に回答している。現在、これらの企業は、AIとその未来に関する記者からの質問の洪水に対応するため、多くのジャーナリストやコミュニケーションの専門家を雇用している。私がこれらの企業に連絡を取ると、毎回人間が回答するのだ。これは受け入れられない!この状況が変わらない限り、AGIに到達したとは言えないだろう。
- この提案はヘッジファンドの関係者から聞いたものだ。マイクロソフトのOutlookは、重要なメールを埋もれさせながらスパムメールを通過させてしまうのをやめてほしい!これは、マイクロソフトとOpenAIのAI技術で解決できる問題だと思う。しかし、まだ解決策は見つかっていない。
- 同様の問題で、Cactus Warehouseが2日おきに多肉植物の20%オフのオファーをテキストメッセージで送ってくるのを止めてくれ!私はサボテンを1つだけ買っただけだ!これはきっとAGIで解決できるはずだ。
- 私の2024年式テスラ「モデル3」がFSD(フルセルフドライビング)で道路の穴にはまった。このEVのタイヤが頻繁に交換されるのも無理はない。人間なら、道路の穴をはるかにうまく避けられる。イーロン、挑戦状が叩きつけられたよ。今すぐ取り組んでほしい。
- AIモデルやチャットボットは未来について有益な予測ができるのだろうか。それとも、インターネット上にすでに存在する情報を繰り返すだけなのだろうか。最近、アメリカによるイラン空爆直後にこれをテストしてみた。ChatGPTの銘柄選択能力を、人間のアナリスト1人と比較した。結果はこちらの記事で確認してほしい。要約すると、この点ではAGIには程遠いということだ。
- グーグルのGeminiの素晴らしいテレビCMを見たことがあるだろうか。父親がバスケットボールのゴールの組み立てを行っていると、息子は部品や工具で苦労しているかわいそうな父親にAndroidスマートフォンのカメラを向け、Geminiに取り扱い説明書について尋ねる。Geminiが製品の組み立て現場を「見る」だけで、オンラインで取扱説明書を見つける様子は実に感動的だ。しかし、AGI(汎用人工知能)が本当に実現したと言えるためには、AI自身がそのバスケットボールネットを実際に組み立ててくれなければいけない。誰かが面倒な組み立て作業に苦労している横で、指示を読み上げるだけなら、誰にでもできることだ。
はい、こういったテストが少し馬鹿げているように思えるのは分かっている。しかし、AIのベンチマークは現実世界とはかけ離れていて、簡単に「攻略」できてしまうこともあるのだ。
特に、最後のバスケットボールのゴールの組み立ては示唆に富んでいる。AIシステムやソフトウェアが実際にバスケットのゴールを組み立てる、これは近いうちに実現するかもしれない。でも、同じシステムが他の多くの物理的な作業を人間より上手にこなすとなるとどうだろう。それは非常に難しく、おそらく当分の間、実現しないだろう。
The Informationによれば、OpenAIとマイクロソフトが意見の違いを解決しようとする中、両社は既存の契約条件に基づき、AGIに到達したかどうかを判断するために専門家の意見を求めることができるそうだ。私もアドバイザーとして協力するのはやぶさかでない。もし助けが必要なら声をかけてほしい!
さて、最後は本物のAI専門家の言葉を紹介して締めくくりたいと思う。メタ(Meta)のAI研究者であるコンスタンティン・ミシェンコ(Konstantin Mishchenko)氏は、同分野の著名な専門家セルゲイ・レヴィン(Sergey Levine)氏のブログを引用しながら、最近次のようにXへ投稿した。
「LLM(大規模言語モデル)はインターネット上のデータから知性を模倣することを学びましたが、実際に生活してその知性を直接獲得する必要はありませんでした。彼らには経験から学ぶためのアルゴリズムが欠けており、その部分は人間が代わりになる必要があります」とミシェンコ氏は述べている。
これは少なくとも私にとって、LLMと本物の知性とのギャップが私たちが思っているよりも大きいかもしれないことを示唆しています。AGIがすでに到来しているとか、来年には実現するという話が飛び交っていますが、私には、AIが私たちの考える『AIらしさ』を模倣する言語モデル以上のものを生み出さない限り、それは不可能だという感覚がどうしても拭えません。(ミシェンコ氏)
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