Microsoftは、Teamsにおけるセキュリティ対策を強化するため、AIを活用したフィッシング検知機能を11月にロールアウトする。この機能は、従来のセキュリティツールが見逃しがちな、悪意あるリンクやファイルを含まないソーシャルエンジニアリング攻撃を対象としている。Microsoft 365のメッセージセンター通知によると、対象範囲は外部の連絡先との初回チャットが中心となる。
2026年11月開始のAIフィッシング検知機能
Microsoftが2026年10月21日に発表したこの新機能は、メッセージの文脈を分析することで、フィッシング、なりすまし、詐欺的な意図を識別する。従来のセキュリティ対策は悪意あるURLや添付ファイルの特定に依存していたが、今回のAIモデルは文脈を読み解くことで、リンクを含まない巧妙なソーシャルエンジニアリングをも検知可能にする。この機能は、特に外部の連絡先との初回チャットなど、信頼関係が構築されていない場面での保護を主眼に置いている。
段階的なロールアウトとシステム要件
Microsoft 365のロードマップおよびメッセージセンターによると、この機能のロールアウトは2026年11月初旬に開始される。初期段階では品質検証のためにバックグラウンドでシステムが動作し、ユーザーには警告が表示されない場合がある。その後、12月中旬までには全世界での一般公開が予定されている。導入にあたりIT管理者が設定を行う必要はなく、自動的に有効化される。対応プラットフォームはWindows、macOS、Webブラウザ、Android、iOSに及ぶ。
プライバシー保護に関し、Microsoftは「この機能はセキュリティ保護目的のみに使用され、生産性分析、広告、ユーザー監視、または会話の要約には使用されない」と明言している。また、検知システムが顧客のメッセージ内容を学習や二次利用のために保持することはない。
外部チャットにおける攻撃手法への対策
- パスワードや認証コード、金銭的情報を予期せぬサポート会話で共有しないこと。
- 警告が表示された場合は、信頼できる別の通信手段を用いて送信者の身元を確認すること。
- 不審なゲスト招待は直接Teams上で報告すること。
第三者によるディープフェイク検知との連携
フィッシング検知に加え、Microsoftは会議中のディープフェイク対策も強化している。10月2日に「第三者による合成音声およびビデオ検知」としてロードマップに掲載されたこの機能は、11月中旬からデスクトップ、Mac、Web版のTeamsで利用可能になる。これはMicrosoft自らがスキャンを行うのではなく、認定された第三者プロバイダーのツールをプラグインとして接続し、会議中の音声や映像をスキャンする仕組みである。

利用にはテナント管理者が「Calls. ReportSyntheticMedia. All」権限を付与し、認定された第三者の検知ボットを会議に参加させる必要がある。ボットは参加者に対し0.0から1.0の信頼スコアを算出し、重大度や悪意の有無を判定する。こうした対策の背景には、ディープフェイクを用いたソーシャルエンジニアリングの脅威がある。Gartnerが2026年9月に行った調査でも、サイバーセキュリティリーダーの36%が、過去12ヶ月間にビデオ通話でのディープフェイクを用いたソーシャルエンジニアリングを経験したと回答している。.
さらに、11月には会議のCopilot機能などを管理する簡素化されたポリシーシステムや、Teams Premium向けの会議テンプレート機能も導入予定であり、Microsoftは多層的なセキュリティと管理機能の強化を急いでいる。