2026年9月29日、ワシントンD.C.での演説を控えるトランプ米大統領のテレビ広告をめぐり、アーティストからの楽曲使用差し止め要求や市民団体による放送中止の申し立てが相次いでいる。「米国の黄金時代」をたたえる3本の広告は税金で制作されており、中間選挙を5週間後に控える中で公的資金の流用を懸念する声が強まっている。
トランプ大統領のテレビ広告に楽曲無断使用の抗議
クリスチャン・ベリシャジ氏の代理人は29日、同氏の楽曲「Love Me」が無断で使用されたとして、ホワイトハウスに対して使用中止を求める警告書を送付した。JMSNの名で活動するベリシャジ氏は、自身のインスタグラムアカウントにおいて、いかなる政治的な目的や選挙運動であっても自身の音楽を使用することを許可することは決してないと強く投稿している。中間選挙を5週間後に控える中、政権が発信する「米国の黄金時代」をたたえる税金製の広告をめぐり、著作権者からの直接的な反発が表面化した。
市民団体パブリック・シチズンが連邦規制当局に調査要求
市民団体パブリック・シチズンは同日、放送局に対して該当する広告の放送中止を求めるとともに、行政府の職員が党派的な政治活動に不適切に関与したかどうかを調査するよう連邦当局に正式に要請した。同団体は、これらが純粋な選挙広告であると指摘した上で、選挙運動として税金を使わずに制作および配信されるべきであると主張している。ワシントンD.C.で開催されたイベントでの演説など、政権の動きと連動する広告出稿のあり方について、倫理的な観点からの疑義が広がっている。
民主党上院議員が国土安全保障長官へ説明要求
野党・民主党のパティ・マレー、クリス・マーフィー両上院議員は、マリン国土安全保障長官にあてて書簡を送り、今回の広告キャンペーンに関する詳細な説明を求めた。両議員は、同省の予算である2000万ドルがトランプ政権の広告キャンペーンに流用されたと強く指摘している。与野党の議員や倫理の専門家からは、公的資金が政治的な宣伝活動に利用されているのではないかという疑問の目が向けられており、予算執行の適法性をめぐる議論が激しさを増している。
税金制作の黄金時代広告に高まる批判の声
全米で放送されている問題の3本の広告は、いずれも「米国の黄金時代」を称賛する内容で構成されている。しかし、中間選挙が刻々と迫るタイミングでの全国放送は、政権による実質的な選挙宣伝にあたるのではないかという批判を各方面から集めている。アーティストからの警告書送付や市民団体による調査要請、さらには連邦議会からの説明要求が重なったことで、ホワイトハウスは広報戦略の正当性をめぐり厳しい追及を受ける事態となった。
今後の選挙戦と政権の対応の行方
中間選挙の投票日まで残り5週間となる中、トランプ大統領のテレビ広告をめぐる一連の法的な抗議や政治的圧力はさらに拡大する様相を呈している。国土安全保障省の予算流用疑惑に対する政府側の説明や、放送局および連邦規制当局の対応いかんによっては、選挙戦の重要な争点へと発展する可能性がある。アーティストや市民団体、議会がそれぞれの立場から圧力を強める中、政権側がどのような釈明を行うのかが注目される。