2025年9月29日、総務省は国勢調査で富山市の人口を水増しした疑いがあるとして、調査実施時の市職員を特定せずに富山県警へ告発した。これを受け、同日開かれた富山市議会議員協議会に出席した藤井裕久市長は、組織ぐるみの可能性について「事務組織の一つとしてやっていた。事務処理をした組織が間違っていたのでないか」と述べ、県警の捜査に全面的に協力する意向を示した。
総務省の告発と市長が明かした不正発覚の経緯
総務省による告発は9月29日に行われた。藤井裕久市長に最初に不正の可能性があるとの連絡が入ったのは、総務省の職員が9月4日に調査のため市役所の担当課を訪れた約1週間後だった。今回の不正が行われた時期について、市長は29日の市議会議員協議会の中で、昨年12月上旬から今年1月下旬までだったと説明している。総務省や県などの行政機関、調査員、市民に対して「多大なるご迷惑をお掛けした。誠に申し訳ありませんでした」と陳謝した。
組織ぐるみの指示に関する現状認識とトップの責任
市幹部が人口の水増しを指示したかについて、藤井市長は「疑義が生じるのは当然だが、把握していない」と述べるにとどめた。事務処理に当たった職員らが意図的に数字をかさ増しして報告する必要性については「全く分からない。誰も得をするわけではない」と戸惑いを隠せない様子だった。複数の職員が関わった可能性については「残念なことだ。事務処理を組織として指示したと疑われかねない」と表情を曇らせた。トップである自身の責任については「非常に重い。辞任など自分自身への罰も含め検討したい」と語っている。
地方交付税への影響と再発防止に向けた人事着手
人口などの国勢調査結果は、地方交付税を算定する重要な指標となる。市長は市全体の予算に同税が占める割合は大きくないとしながらも、「数億円規模になると思う」と推測した。再発防止策としてはコンプライアンス研修の継続的な実施を挙げ、「風通しの良い組織にしていかなければならない。痛みを伴う人事にも着手したい」と強調した。組織の体質改善と信頼回復に向けた具体的な措置が急務となっている。
前回調査を巡る告発文と市議会での議論の行方
この問題を巡っては、昨年の国勢調査に加えて前回の調査でも不正があったと訴える告発文が今月、市議らに届いている。市長は村上和久氏からの指摘に対し、「警察の捜査が入る。それに全力で協力することで全容を判明したい」と述べるにとどめた。市議からは公益通報者保護法に基づき、告発者の人権を守るよう訴える声が相次いだ。久保大憲氏は、議員バッジを付ける以上市民への説明責任を果たす義務があると強調し、警察の捜査中として回答を差し控えるのでなく逐一現状を報告するよう求めた。
富山県知事のコメントと今後の捜査対応
新田八朗知事はこの問題について、「国勢調査の結果や調査そのものに対し、多くの皆さまからの信頼を損なうものと受け止めており、誠に遺憾だ」とコメントを発表した。その上で、「県としては今後、調査事務における法令順守や適切な実施を徹底していきたい」とした。富山市職員による水増し疑惑の全容解明に向けて、警察の捜査と並行して行政側の検証や組織の立て直しがどのように進められるのか、今後の動向が注目される。