2026年9月、イエメンのフーシ派が紅海沿岸の要衝バブ・エル・マンデブ海峡周辺を急速に制圧し、サウジアラビア国内のエネルギー施設へドローン攻撃を仕掛けた。この事態を受け、サウジアラビア主導連合軍は強力な報復を表明し、中東地域の緊張が一段と高まっている。
フーシ派による紅海沿岸の急進撃とバブ・エル・マンデブ海峡の制圧
イエメンの反体制派組織フーシ派は、同国の紅海沿岸部において電撃的な攻勢を進め、戦略的に極めて重要な地域を手中に収めた。フーシ派の急速な進撃により、世界でも有数の海上貿易ルートであるバブ・エル・マンデブ海峡周辺の緊迫感が高まっている。
9月7日にフーシ派は、サウジアラビアからアル・ワディア軍事基地へ向かうトラックを対象に弾道ミサイル攻撃を実施した。この攻撃は、イエメンのハドラモート州で報告された。同年9月9日、インド政府はフーシ派の攻撃を非難し、「民間人および経済インフラを標的とした攻撃は地域の安定とバブ・エル・マンデブ海峡の航行自由を脅かす」と発表した。
Corey Ranslem, CEO of maritime security group Dryad Global
専門家からは、地政学的な優位性に関する分析も示されている。イエメン研究者で政策アドバイザーのイブラヒム・ジャラル氏は、中東地域のチョークポイント掌握をめぐる動きについて指摘した。
サウジアラビアへの相次ぐ攻撃とエネルギー施設の被害

紅海側の動静と並行して、サウジアラビア国内のインフラも直接的な標的となった。サウジアラビア当局や軍・エネルギー省の発表によると、同国南西部の都市アブハ、ハミス・ムシャイト、ジャザン、ナジュランなどが数十発のドローンやミサイル攻撃を受けた。
この一連の攻撃により、女性や子供を含む多数の負傷者が発生したほか、エネルギー関連施設で火災が発生し、一部の業務が一時的に中断する事態となった。また、サウジアラビアの東部・西部を結ぶパイプラインについても、攻撃を受けた。
9月9日、インド外務省報道官のランジール・ジャイサル氏は、「民間および経済インフラを標的とした今回の攻撃は、地域の安定を損なうものであり、バブ・エル・マンデブ海峡を通過する航行の自由を脅かす」と声明を発表した。
サウジアラビア主導連合軍の報道官を務めるトゥルキ・アル・マリキ少将は、民間および経済インフラを標的とした今回の攻撃を非難した。これに対し、連合軍側は危険なエスカレーションに対して断固たる対応を取る方針を示している。一方で、フーシ派の軍事報道官ヤヒヤ・サレア氏は、サウジアラビア軍がイエメン国内で空爆を繰り返していることへの報復であると主張している。

インド政府による非難声明と国際社会の懸念
外務省は、これらの攻撃が地域情勢の安定を損ない、バブ・エル・マンデブ海峡を通過する航行の自由を脅かすものであるとして、「全く受け入れられない」と強く非難した。
米中央軍司令官の現地入りと今後の安全保障の行方
緊迫する情勢に対応するため、アメリカ軍の動きも活発化している。中東地域の米軍を統括するアメリカ中央軍のトップであるブラッド・クーパー海軍大将がサウジアラビアに入国し、サウジアラビア側の高官らと協議を行っている。

関係者によれば、サウジアラビア側の防衛体制や今後の対応を緊密に調整するため、直近の数週間ですでに多数の米軍関係者が同国内に展開し、情報共有や作戦協力を進めている。米国政府高官は、紅海における航行の自由を確保するという国家安全保障上の利益を守る姿勢を示しつつ、地域のパートナー国が主導して課題に対処することを支援する方針を強調している。
サウジアラビアは、ドローンが攻撃した東部・西部を結ぶパイプラインの閉鎖を確認した。サウジアラビアは、イラク首相からの要請に従い、当面の間は報復しない方針を表明した。
イラクの首相官邸の声明によると、サウジアラビアを標的とした最新のドローン攻撃がイラクから発信されたことが調査により確認された後、イラクの軍司令官が土曜日の早朝に解任された。
フーシ派は紅海の真ん中に位置するハニッシュ諸島に部隊を展開し、バブ・エル・マンデブ海峡の重要な要衝であるペリム島を制圧した。この動きにより、フーシ派はバブ・エル・マンデブ海峡の制御権を確保する位置に立った。
米国政府は、フーシ派による攻撃に対して強硬な対応を取る準備をしている。米国政府の高官は、フーシ派がイエメンのサウジ支援政府軍を攻撃し、紅海沿岸を制圧していることを指摘し、地域の安定を維持するための措置を検討している。