イランが支援するイエメンの武装組織フーシ派は、木曜日、紅海沿岸の戦略的港湾都市であるモカを制圧した。フーシ派およびイエメン政府側の当局者が認めたこの動きにより、世界貿易の要衝であるバブ・エル・マンデブ海峡への支配力が強まる懸念が高まっている。
フーシ派が紅海沿岸の要衝モカを制圧、バブ・エル・マンデブ海峡への圧力高まる
モカは、紅海とアデン湾を結ぶバブ・エル・マンデブ海峡から北に約75~80キロメートルの地点に位置する。この海峡は通常、世界の商品輸送量の約12%が通過する極めて重要な水路である。今回の制圧は、2022年に署名された停戦合意以降、フーシ派にとって最大規模の領土拡大となる。
グローバル供給網とエネルギー市場への影響
バブ・エル・マンデブ海峡の重要性は、2月下旬に始まった米国・イスラエルとイランの戦争により、近隣のホルムズ海峡での輸送がイランによって妨げられたことでさらに増大した。同海峡は、アジアへ向かう原油の代替ルートとして機能している。
リスクインテリジェンス会社ヴェリスク・メープルクロフトの首席アナリスト、ハミッシュ・キニア氏は、モカの制圧がサウジアラビアにとって重大な打撃になると指摘し、フーシ派が海峡のチョークポイントをより強力に掌握する可能性に言及した。また、ロイヤル・ユナイテッド・サービシズ研究所のバラ・シバン氏は、フーシ派がホルムズ海峡でのイラン革命防衛隊の手法と同様に、海中に機雷を敷設することで紅海の航行をより危険にする可能性があると分析している。

エネルギー市場への影響について、INGの戦略家ウォレン・パターソン氏とエワ・マンテイ氏は、サウジアラビアのエネルギーインフラや紅海からの原油輸出のリスクが高まっていると述べた。キニア氏は、米国による船団の派遣やホルムズ海峡の代替輸出策が価格への影響を緩和したとしても、ディーゼルなどの精製製品を含む石油・ガス価格は上昇し続けるとの見方を示している。実際、主要な原油指標は、5月中旬以来初めて1バレル100ドルを上回る水準で週を終える方向にある。
イエメン国内の戦況と人道的状況
フーシ派はモカだけでなく、タイズ州のアル・シャキラ地区も制圧した。ここは南ホデイダに展開するイエメン政府軍にとって重要な補給路となっている。タイズ州の山岳地帯を確保したことで、フーシ派はイエメン西海岸を見下ろす戦略的優位に立ったとされる。

市街地では、木曜日にフーシ派の戦闘員が至る所で見られ、市場は閉鎖された。匿名を条件に語った3人の医師は、フーシ派に押収された病院から脱出したと証言し、他の住民もサウジアラビアが支援する勢力が支配するアデン市などの南部へ避難している状況を伝えた。
国際情勢と地政学的リスク
今回の制圧は、米国とイランの対立における新たな交渉材料となる可能性がある。チャタムハウスの研究員ファリア・アル=ムスリミ氏は、モカの制圧が米国との交渉においてイランにレバレッジを与える可能性があると指摘している。
主要な影響まとめ
| 項目 | 現状とリスク |
|---|---|
| 地理的影響 | バブ・エル・マンデブ海峡から約75-80kmの要衝モカを制圧 |
| 貿易への影響 | 世界の商品輸送量の約12%が通過するルートへの圧力増大 |
| エネルギー価格 | 原油価格が1バレル100ドルを突破、精製製品の上昇懸念 |
| 軍事的懸念 | 紅海への機雷敷設による航行妨害の可能性 |