イギリスの俳優ノエル・クラークが、2007年から2016年の間に5人の女性に対して行われたとされる性的暴行やのぞきなどの容疑で、ロンドン警視庁に起訴されました。起訴は刑事訴追局(CPS)によるもので、ウェストミンスター治安判事裁判所への出頭が10月21日に予定されています。
5人の女性からの告発と警察による捜査の経緯
ロンドン警視庁は水曜日に、クラークが5人の女性が関与する2007年から2016年の間の涉嫌事件に関連して起訴されたことを発表しました。50歳のクラークが直面しているのは、2件の性的暴行、3件ののぞき(voyeurism)、および1件の露出(exposure)の罪です。のぞきとは、性的快楽を得るために、相手の同意なく秘密裏に他人を観察したり、写真や動画を撮影したりすることを指します。
今回の起訴に至るまで、捜査官は1年間にわたりクラークを捜査していました。捜査は2025年9月に開始され、同月25日にクラークは逮捕されました。逮捕当時、警察がクラークの自宅から箱を持って出ていく様子が写真に撮られており、自宅の家宅捜索が行われ、クラークは拘束されて取り調べを受けました。その後、捜査官から刑事訴追局に証拠ファイルが提出され、起訴が承認されました。この捜査は、中央専門犯罪指令部(central specialist crime command)によって主導されたと理解されています。
ロンドン警視庁の警視正Mike Cagneyは、これらの容疑に関連する女性たちが引き続き専門訓練を受けた警察官から支援を受けているとし、性的暴行の被害を受けた人は警察に連絡するよう呼びかけました。また、提供された情報は最大限の配慮をもって取り扱われ、支援のための訓練を受けた捜査官が待機していると述べました。
クラークは50歳で、ロンドンのケンジントン出身です。刑事訴追局のロンドン担当副首席検察官であるベサン・デイビッドは、「CPSは、2007年から2016年の間に起きた性的不品行に関連して、5人の女性による告発を受け、ノエル・クラークを2件の性的暴行、3件ののぞき、および1件の露出の罪で起訴することを決定した」と述べました。また、「我々の検察官は、この事件を裁判にかけるのに十分な証拠があること、およびそれが公共の利益になると判断するために取り組んできた」と付け加えました。
名誉毀損訴訟の敗訴とこれまでの背景
今回の起訴は、2021年に英紙ガーディアンが報じた告発記事を発端とする一連の動きの延長線上にあるものです。当時の記事では、20人以上の女性がクラークによるわいせつ行為、性的不品行、いじめを告発しており、中にはBBCのドラマ『ドクター・フー』のセットで「性的嫌がらせを受けた、あるいは不適切に」触られたと主張する関係者も含まれていました。

クラークはガーディアン紙の報道に対して一貫して不正行為を「激しく」否定し、同紙の出版社を相手取って名誉毀損訴訟を起こしていました。しかし、2025年8月にこの訴訟で敗訴しました。6週間にわたる裁判では、12人以上の女性がクラークに対して証言し、それぞれが俳優による不品行を個人的に経験したと主張しました。クラークは彼女たちに対して性的に不適切な行動をとったことを否定しましたが、最終的にガーディアン側の訴訟費用として3百万ポンド(約400万ドル)の支払いを命じられました。
This judgment is a deserved victory for those women who suffered because of the behavior of Noel Clarke, Going to court is difficult and stressful, yet more than 20 women agreed to testify in the High Court, refusing to be bullied or intimidated. Katharine Viner, Guardian News and Media editor-in-chief
業界内での影響とキャリア
2021年の告発後、ITV、Sky、およびCAAはクラークとの関係を解消し、BAFTA(英国アカデミー賞)は彼に授与していた「Outstanding British Contribution to Cinema」賞を取り消しました。クラークは、2021年にITVで放送された『Viewpoint』を最後に、実質的な形での仕事に従事していません。

クラークは、2005年から2010年までBBCの『ドクター・フー』にミッキー・スミス役(ビリー・パイパー演じるローズ・タイラーの恋人)で出演していたことで知られています。また、ロンドンの若者の間のいじめ、薬物乱用、激しい暴力を描いた映画『Kidulthood』を制作し、主演しました。その後も2006年から2016年にかけて、ティーン犯罪ドラマ映画である『Kidulthood』『Adulthood』『Brotherhood』を執筆、監督、主演したほか、『Fast Girls』(2012年)、『Centurion』(2010年)、『Star Trek Into Darkness』(2013年)、そして2018年から2021年にかけてアシュリー・ウォルターズと共に『Bulletproof』に出演しました。
今後の裁判日程と注意喚起
刑事訴追局は、十分な証拠が集まり、公共の利益にかなうと判断して今回の起訴に踏み切りました。ベサン・デイビッド副首席検察官は、現在法的手続きが進行中であり、クラークには公正な裁判を受ける権利があることを改めて強調しました。彼女は、「これらの手続きをいかなる形でも妨げる可能性のある、オンライン上での報道、解説、または情報の共有が行われないことが不可欠である」と述べ、情報の拡散を控えるよう強く要請しています。
