マサチューセッツ州プリマスの裁判所で進められているリンディ・クランシー被告の裁判は2026年8月25日、検察側が依頼した法医学心理学者による証言が再開されました。弁護側による反対尋問が行われ、事件の責任能力を巡る攻防が続いています。
リンディ・クランシー被告の裁判と検察側専門家の証言
マサチューセッツ州プリマスの裁判所で開かれているリンディ・クランシー被告の裁判は2026年8月25日、検察側の証人として出廷した法医学心理学者カーク・ハイルブラン氏に対する反対尋問が実施されました。被告側の弁護人を務めるケビン・レディングトン弁護士は、事件から3年が経過した段階での評価や面談の時期について厳しく追及しました。
36歳のクランシー被告は、2023年1月にマサチューセッツ州ダックスバリーの自宅で、5歳のコーラちゃん、3歳のドーソンちゃん、生後8カ月のカランちゃんの3人の子どもたちを殺害したとして、第一級殺人罪の罪に問われています。被告側は無罪を主張し、犯行時は産後精神病によるものだったと主張しています。
カトリック信仰に関する証言を巡る審理の混乱
前日の証言において,ハイルブラン氏がクランシー被告のカトリック信仰について語り始めたため、証言が途中で打ち切られる事態となりました。これに対し、弁護人のケビン・レディングトン弁護士は誤審(ミストライアル)を申し立てました。プリマス上級裁判所のウィリアム・サリバン判事は申し立てを却下したものの、検察側の証言内容について厳しく注意を行いました。
サリバン判事は陪審員に対し、ハイルブラン氏の宗教に関する発言は「 immaterial, irrelevant and to be disregarded(重要ではなく、関係がなく、無視すべきもの)」であると強い口調で指示を与えました。裁判所の外で記者団の取材に応じたレディングトン弁護士は、サリバン判事が陪審員への指示に関して「good effort(良い努力)」を払ったとの見解を示しました。
責任能力と計画性を巡る法廷での激しい議論
ハイルブラン氏は、被告が事件当時について「声」に応答していただけであり意思決定は関与していなかったと語っていることを明かしました。一方で同氏は、子どもたちへの言葉かけや犯行場所の選定などを含め、犯行を実行するまでには多くの継続的な判断が存在していたと指摘しました。

こうした証言を踏まえ、ハイルブラン氏は、被告には他者を殺害することの違法性についての認識が維持されていたとの臨床的な見解を示しました。
カーク・ハイルブラン法医学心理学者氏は、被告が自分の子どもたちを含め、他者を殺害することが違法であるという認識を保持していたと述べました。また、殺害という行為が不当であるという被告の道徳的認識は、本人の強い死への願望と、自分が死ぬのであれば子どもたちを置き去りにしたくないという思いに影響されていたと説明しました。
これに対し、レディングトン弁護士は反対尋問において、事件前の被告が子育てに熱心な母親であったことなどを確認しました。さらに、精神科医ジェニファー・タフツ氏から処方された薬剤の影響や、サポート体制を巡る議論が交わされました。検察側は80人以上の証人と19日間に及ぶ審理を経て、ハイルブラン氏の証言の後に最後の反証証人としてグレゴリー・サオフ氏を呼ぶ予定としています。審理が順調に終了すれば、翌日には検察側と弁護側による最終弁論が行われる見通しです。