ウラジーミル・プーチン大統領は2026年8月24日、ウクライナからのドローン攻撃に対する防護や迅速な復旧を怠った民間企業から、国家が重要インフラの管理権を一時的に接収できる大統領令に署名した。経済的圧力と安全保障上の危機感が背景にある。
ウクライナのドローン攻撃激化とインフラへの打撃
ロシア国内における重要インフラへのウクライナ軍による長距離ドローン攻撃は、数か月にわたり激しさを増している。エスイー(エネルギー)施設や商業拠点への精密な打撃は、国内各地での燃料不足や経済的混乱を引き起こしている。
さらに、オンライン小売りの分野にも影響が波及している。ロシア最大のオンライン小売業者であるワイルドベリーズは多数の倉庫が攻撃を受けて大きな損害を被り、同国第2位のオゾンも南部地域の複数の物流拠点が被災したことを確認している。
大統領令の発令と政府高官らの見解
こうした状況を受け、ウラジーミル・プーチン大統領が署名した大統領令は、エネルギー、産業、通信、運輸、物流などの重要インフラの所有者が安全確保や損害の迅速な復旧を行わない場合、国家が一時的にその管理権を掌握することを認める内容となっている。
クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、企業経営者がドローン対策などの安全確保に十分な注意を払っていないと指摘し、私たちは措置を講じなければならない、自らの安全を確保しなければならないと述べた。

一方で、デニス・マンツロフ副首相は、この大統領令が企業の国有化や所有権の変更を意味するものではないと強調した。同氏は、これが特定のセキュリティ課題を解決するための企業の管理への国家の関与であるとし、このメカニズムは広範な使用を意味するものではなく、最高レベルで綿密に検討されたターゲットを絞った決定が下されると説明している。
政治アナリストが分析する政府の狙い
ロシアの政治アナリストで、かつてプーチン氏のスピーチライターを務めたアッバス・ガリャモフ氏は、この措置が複数回にわたって被災した石油精製所の所有者に修復工事を行わせるための「戦術的な」ステップであるとの見方を示している。
アッバス・ガリャモフ政治アナリストは、同じ製油所がすでに3回から5回も被災しているという事実を踏まえると、所有者たちが現在、破壊されたものの復旧への投資に消極的であると推測するのは妥当であると述べている。
ガリャモフ氏は、同じ施設が何度も攻撃を受ける中で経営者が再投資を躊躇するのは自然であるとし、政府は企業に対して「精製所の復旧に資金を出さないなら、施設を取り上げる」という最後通牒を突きつけていると分析している。
防空体制の強化と企業への支援策
ロシア政府は防衛面での対応を迫られる一方、経済的負担を抱える企業への救済措置も模索している。財務省はワイルドベリーズとその出店者に対し、税金や保険料の納付期限延長を提案し、財務上の猶予を与えようとしている。
プーチン大統領は国内のテレビ放送に対し、防空システムの性能向上と能力強化の必要性を強調した。防衛、法執行、そしてあらゆるレベルの民間機関の間の調整を効率化し、国営企業および民間企業の能力を活用する必要があると述べ、官民一体となった安全確保の重要性を訴えている。