コンゴ民主共和国(DRC)で発生しているエボラ出血熱のエピデミックが、新たに6つ目の州へと拡大し、同国の歴史上で最も死者数の多いアウトブレイクとなった。コンゴ民主共和国国立公衆衛生研究所によると、死者数は2018年から2020年にかけてのエボラ出血熱で記録された2,299人を超え、過去最悪を更新した。
コンゴ民主共和国のエボラ出血熱、死者数が過去最悪を更新し6州に拡大
アフリカ疾病予防管理センター(Africa CDC)は8月14日、これまで感染が確認されていなかったバス=ウエレ州でエボラ出血熱による死亡例を確認したと発表した。これにより、当初の震源地であるイツリ州から、北キブ州、南キブ州、オート=ウエレ州、チョポ州、そしてバス=ウエレ州を含む計6州に感染が拡大している。
急速な感染拡大と逼迫する医療現場
今回のエボラ出血熱は、まれなブンディブギョ・ウイルス種によって引き起こされており、発見されるまでに数ヶ月間ウイルスがひそかに循環していたと医療関係者は見ている。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は8月12日、最悪のシナリオではエピデミックが9カ月から12カ月続く可能性があると警告した。また、アフリカCDCのジャン・カセヤ局長も、抑え込めなければさらに長期化し、過去最大規模の流行になる恐れがあると警鐘を鳴らしている。

死亡者数が急増している背景には、多くの患者が適切なエボラ治療施設に間に合わない状況がある。さらに、医療施設が襲撃を受けたり、医療従事者が脅威や抗議に直面したりするなど、治安の悪化が対応を一層困難にしている。イツリ州のブンニアでは、エボラ疑いで亡くなった若いサッカー選手の遺族が埋葬のために遺体を持ち出すことを禁じられた際、怒った群衆が病院の一部に放火する事件も発生している。
国際機関の警告と対応の課題
世界保健機関(WHO)は国際的な公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)を宣言し、アフリカCDCも大陸の安全保障に関する公衆衛生上の緊急事態を宣言した。しかし、長年の紛争による治安の悪化、社会サービスの弱体化、100万人以上の国内避難民の発生に加え、米国による対外援助の削減などが重なり、現地の疾病監視や治療能力は著しく低下している。

現場では、医療従事者や接触者追跡チーム、コミュニティの保健労働者らが、恐怖や誤情報が渦巻く中で過酷な条件の下、対応にあたっている。専門家や国際機関は、流行を収束させるためには感染経路の遮断が不可欠であり、地域社会との緊密な協力や安全確保のための停戦、迅速な対応を早急に進める必要があると訴えている。