ハイチの暫定保護資格が米最高裁の判断を経て終了したことに伴い、米国から強制送還された160人余りが2026年8月21日、ハイチ北部の都市キャップ・ハイシャンに到着した。ギャングの暴力が猛威を振るう中、帰国者には最大65ドルが支給され、政府は安全な場所での保護を進めている。
米国で法的保護を受けていたハイチ人の運命が大きく揺れ動いている。米国政府による強制送還が再開され、混乱と不安が現地に影を落としている。
キャップ・ハイシャンへの到着と現地治安の現実
2026年8月21日、米国から強制送還された160人以上のハイチ人を乗せた航空機が、ハイチ北部の都市キャップ・ハイシャンの空港に降り立った。首都ポルトオープンランスのメインとなる国際空港は、現在も極めて危険な状態にあるとみなされている。首都では継続的なギャングの暴力行為を受け、米国政府が9月上旬まで国内の商業機の乗り入れを禁止しているためだ。
トランプ政権が約35万人のハイチ人に対する一時的保護資格を終了させるための法的な闘いに勝利して以来初となる、160人以上を乗せたハイチ向けの強制送還が、木曜日に米国によって実施されたと報じられている。

Jean Négot Bonheur Delva, director general of Haiti’s National Office of Migration
デルヴァ氏は、ハイチ国家が送還を求めたわけではないとした上で、「Our mission is to welcome migrants of forced return. … We welcome them with the aim of accompanying them to their home.」と述べ、帰国者を自宅へと付き添うことが自国の使命だと説明した。現地当局は到着した送還者に対し、最大65ドルの現金と飲食料を提供している。「Those who cannot reach their homes today, we will host them in secure spaces and the next day the process will continue until all migrants return home as they should」とデルヴァ氏は述べ、当日中に自宅へ戻ることが困難な人々に対しては、安全な施設で一時的に宿泊させる対応を取っている。
最高裁の判断と法的枠組みの消滅
6月下旬、米最高裁判所は一時的保護資格(TPS)プログラムの終了を容認し、1ダース以上の国々から来た約100万人に影響が及ぶことになった。8月5日には、ワシントンD.C.の連邦判事が、一時的保護資格を持つハイチ人の強制送還を差し止める命令を解除した。これは実質的に、6月の最高裁判所の裁定を受けた形式的な手続きであったと伝えられている。
帰国者たちの証言と不透明な将来
到着した送還者の一人であるジャン・ダイアン・ルイ氏は、5歳の時にハイチを離れて以来アメリカで暮らしていたと語った。家族はニューヨーク市に居住しており、自身はある事件で19年の禁錮刑を言い渡されたが、無実を主張している。

ルイ氏は、何ら質問を受けることもなく、ICEがやって来て自身を連れ去り、そのままハイチ送りになったと語った。Jean Diane Louis, repatriated deportee
また、移民局の発表によれば、送還者の中にはハイチで生まれたわけではない者も含まれている。中にはドミニカ共和国で生まれ、ハイチについての知識を全く持たないまま送還されたケースもあり、政府は親族との再統合に向けた調整を進める方針を示している。
オハイオ州スプリングフィールドでの動向
拘束された牧師ギルバート・ジュベール・アドリアン氏は、オハイオ州内の移民当局施設に収容されていると、同グループの広報担当マージョリー・ウェントワース氏が明らかにした。人口約6万人のスプリングフィールドでは、選挙戦においてハイチ系住民に関する根拠のない主張が繰り返された経緯があり、アドリアン氏らの逮捕により地域社会の緊張がさらに高まっている。