フロリダ州知事選の共和党予備選を制したバイロン・ドナルズ下院議員と、民主党予備選で勝利したデヴィッド・ジョリー元下院議員が11月3日の本選挙で激突する。全米第3位の人口を誇る同州のゆくえをめぐり、世論調査や党内基盤の違いを背景にした異例の戦いが始まっている。
予備選の勝者と党内の足並み
共和党の予備選では、ドナルズが複数の挑戦者を破って勝利を収めた。その中には、白人至上主義的な言動などで注目を集めた過激なオンライン煽動者ジェームズ・フィッシュバックも含まれていた。2020年にナポリ、フォートマイヤーズおよびその周辺地域を代表する議員として初当選を果たしたドナルズは、長年にわたり「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」を掲げる下院議員として自身のブランドを築いてきた。彼はハウス・フリーダム・カウチスの有力メンバーであり、2023年にはケビン・マッカーシーの下院議長就任をめぐる争いで15回にわたる投票を引き起こしたほか、その10ヶ月後にマッカーシーが議長職を解任された際にも後任候補として名乗りを上げた。
一方、デヴィッド・ジョリーは火曜日の民主党予備選で60%以上の得票を獲得して勝利し、11月3日の本選挙へと駒を進めた。ジョリーはここ2サイクルでフロリダ州知事選に出馬した2人目の著名な元共和党員から民主党へ転向した人物である。フロリダ州は過去10年間で大幅に右傾化しており、クック・ポリティカル・レポートはこのレースを「確実な共和党(Solid R)」と評価しているため、ドナルズが11月の本選挙での本命視されている。
ドナルズ陣営が直面するトランプ要因と支持基盤の亀裂
トランプ前大統領からの支持は予備選で強力な追い風となったが、本選挙に向けては複雑な要因もはらんでいる。ドナルズが予備選の勝利演説を行ったオーランドの会場では、ロン・デサンティス知事やリック・スコット上院議員、デュバル郡のT・K・ウォーターズ保安官らの名前が挙がった一方で、トランプの名前は演説に登場しなかった。
AOLの報道によるフロリダ州の投票動向の分析によると、郡がより地方的になり、また非ヒスパニック系白人が増えるほど、ドナルズへの共和党票の割合は小さくなる傾向があったようだと報じられている。

ドナルズは州全体で得票率において予備選のライバルであるジェイ・コリンズ副知事を約25ポイント上回ったものの、共和党の基盤が強いディープ・レッドの地方郡ではコリンズに敗北した。非ヒスパニック系白人人口が75%を超えるラファイエット郡やリバティー郡では、ドナルズが獲得した共和党票は20%未満にとどまった。この投票動向は、フロリダ州がこれまでに黒人の知事やその他の黒人州全体役員を選出したことが一度もないという現代の州の歴史を思い起こさせるものである。
ジョリー陣営の勝算とアンジー・ニックスの動向
圧倒的な資金力やメディア露出、党の支援を持つ共和党候補を相手にするジョリーだが、本人の言葉によれば「民主党にとって勝てないレースに参加するつもりはなかった」と語っている。ジョリー陣営は、無党派層や現状に不満を持つ共和党員の支持を取り込むことで州を青く染め上げる戦略を描いている。ハート・リサーチ社が8月中旬にフロリダ州の投票可能性の高い有権者600人を対象に行った世論調査によると、ドナルズの非好感度(43%)は好感度(約40%)を上回った一方、ジョリーの非好感度は20%、好感度は30%であった。また、ドナルズは対立候補の少なくとも5倍にあたる5000万ドル以上を費やしたにもかかわらず、党員投票では共和党員の半数未満(約48%)しか獲得できなかった。

さらに、民主党の連邦上院予備選でモデレートなアレクサンダー・ヴィンドマンを破って勝利した州議会議員アンジー・ニックスの存在も、選挙戦の構図に影響を与えている。民主社会主義者となったニックスは、労働組合の組織者として選挙資金を有効に活用するグラスルーツの動員力を持っており、本選挙に向けて党全体の投票率押し上げに寄与する可能性がある。ジャクソンビルを中心に強力な組織力を持つ彼女は、ドナルズが苦戦した北部フロリダにおけるジョリーの基盤をさらに強固にする存在となっている。