英国政府は、送電用鉄塔(パイロン)や変電所などの新たな電力インフラから500メートル以内に居住する世帯に対し、年間250ポンドの電気料金割引を行う計画を発表しました。10年間で最大2,500ポンドが軽減され、2030年までのクリーン電力目標に向けたインフラ整備に伴う地域住民の反発を抑える狙いがあります。この割引は6カ月ごとに125ポンドの払い戻しという形で提供され、住宅に付帯するため、転居した場合には引き継ぐことができません。
電力インフラ建設に伴う住民への直接的な経済支援
英国政府は、今後数年間で国内40カ所以上で進められる、1960年代以来最大級となる大規模な送電網アップグレード計画の一環として、新たなインフラ近隣住民への経済的支援を正式に決定しました。この支援策は、送電用鉄塔や変電所といった生活に不可欠なインフラをホストする住民に対し、その負担を軽減することを目的としています。この計画は、政府の「Planning and Infrastructure Bill(計画・インフラ法案)」に含まれており、8月8日から協議が開始されます。
Households near new pylons to get £250 taken off
エネルギー・ネットゼロ省(DESNZ)が委託した調査によると、地中埋設よりも鉄塔建設の方がコスト効率が高く、電気料金を支払う国民にとって「最高の価値」を提供できると結論付けられています。電力会社は、再生可能エネルギーを都市部へ送るための新たなネットワーク構築に、今後5年間で最大770億ポンドを投資する見込みです。
政府関係者による戦略的意図
マイケル・シャンクス・エネルギー大臣は、この数十億ポンド規模のアップグレードについて次のように述べています。「これは、1960年代に建設されたものを現代に合わせてアップグレードする『国家刷新の瞬間』であり、全国の世帯の電気料金を引き下げるための道筋です。国として再び建設を進めることは不可欠であり、パイロンを設置する地域社会がその恩恵を受けるべきだと確信しています。だからこそ、この重要な国家インフラを支える住民のエネルギー料金を引き下げるのです」
Thousands living near new pylons to save £250 on
また、ミアッタ・ファーンブレ・エネルギー消費者担当大臣は、「私たちが homegrown(自国産)の安価なエネルギーを届けるために必要なインフラを構築する中で、地域社会には stake(役割・利害関係)が与えられなければなりません。私たちは、新たなパイロンをホストする地域社会と協力し、彼らが直接的かつ具体的な利益を受け取れるようにしています」と語りました。
地域貢献基金とインフラ整備の優先順位
金銭的な割引に加え、開発業者は地域社会に対して別の支援策を講じるよう求められます。これには、スポーツクラブや教育プログラム、レジャー施設などのプロジェクトへの資金提供が含まれます。特に農村地域がこの計画から最も恩恵を受けるとされており、イングランド東部やスコットランドが今後の開発の重点地域として挙げられています。

Households near new pylons to save hundreds on energy
アレックス・ノリス住宅・地域社会担当大臣は、この仕組みについて「計画変更の一環として、私たちはクリーンエネルギー大国になることを目指しており、地域社会がその恩恵を共有する必要があることを明確にしています。もしあなたが、地域にインフラを設置するという犠牲を払っているなら、そのお金の一部を取り戻すべきです。私たちは年間250ポンドの拠出を約束しており、これは国のために貢献している人々と、その報酬のあり方との間の公平なバランスだと考えています」と述べています。

政府は、2030年までに現在の電力需要を満たすために、過去10年間に建設されたインフラの約2倍の規模の送電網が必要になると試算しています。この新たな立法措置により、障壁を取り除き、英国の建設を促進させる方針です。この取り組みは「2030年までのクリーン電力のための変更計画(Plan for Change for clean power by 2030)」の重要な柱であり、化石燃料市場への依存から脱却し、クリーンな自国産電力で消費者を保護することを目的としています。