2025年、米軍の軍事作戦により153人の民間人が死亡し、243人が負傷したことが国防総省の報告書で明らかになった。死傷者はすべてイエメンでのフーシ派に対する空爆によるものだが、海域での作戦による死傷者はこの集計から除外されている。
イエメンでの軍事作戦「オペレーション・ラフ・ライダー」
月曜日に議会へ提出された報告書によると、2025年3月から5月にかけて、米軍は紅海での商船攻撃を阻止するため、イエメンのフーシ派武装勢力に関連する標的への空爆を行った。この「オペレーション・ラフ・ライダー」と呼ばれる一連の作戦により、計153人の民間人が死亡し、243人が負傷した。報告書は、これらの評価について「より可能性が高い」とした上で、以下の通り日時と場所を特定している。
- 4月6日:イエメンの首都サヌア近郊で5人死亡
- 4月17日:ラス・イサ港近郊で80人死亡
- 4月28日:サーダ近郊で68人死亡
国防総省はこれらの評価を行う際、現地でのサイト訪問やインタビューは実施せず、米国の情報機関によるデータ、画像、および公開されている報告に依拠したとしている。一方で、民間人の被害を追跡する組織「エアウォーズ」は昨年、同作戦において少なくとも258人の民間人が死亡した可能性があると報告していた。また、国防総省の報告書には、今年初めの時点で、非政府組織から報告を受けた15件の事案についても軍が評価中であると記されている。
集計から除外された海域での作戦
今回の公式集計において特筆すべき点は、その対象範囲が限定的であることだ。2025年9月から開始されたカリブ海および太平洋におけるボートへの攻撃については、一切の死傷者が集計に含まれていない。これらの作戦で発生した死傷者は、昨年は約120人、今年に入ってからは95人にのぼる。トランプ政権は、これらのボート攻撃が麻薬密売組織を標的としたものだと主張しており、同政権はこれらの組織をテロリストグループと見なしている。しかし、一部の法律専門家は、米軍が軍事力行使を規定する法的基準を満たさない限り民間人を標的にすることは禁じられており、これらの攻撃は違法な超法規的殺人に相当する可能性があると指摘している。
「レタリティー(殺傷力)」への転換と組織の縮小
今回の報告書は、国防長官ピート・ヘグセス氏の就任後の情勢下で作成された。ヘグセス氏は、「手ぬるい合法性」よりも「レタリティー(殺傷力)」を重視すると公言し、「我々の戦闘員の手を縛るものを解きたい」と述べている。この方針の背景には、民間人の被害を軽減するための部署に対する予算や人員の削減がある。

7月下旬に議会へ提出された「民間人保護センター・オブ・エクセレンス(Civilian Protection Center of Excellence)」の年次報告書によると、同センターのスタッフ数は2025年度末時点で、文民7名と米軍兵士2名の計9名まで減少した。これは、かつての文民、軍人、請負業者を含む40名体制から大幅な縮小となる。同センターは、戦術演習や過去の作戦の検証を通じて軍の指揮を支援してきたが、現在は予算削減と組織変革という困難な状況に直面している。
「米国軍は民間人への被害を制限することに断固として尽力しており、国防総省は戦争法を遵守してきた強力な実績がある」 国防総省の声明(CBS Newsによる引用)
2018年の国防政策法に基づき、議会は国防総省に対し、前年の民間人被害に関する「1057報告」の提出を義務付けている。初年度の2017年には約500人の民間人が死亡したと記録されたが、その後アフガニスタンからの撤退を経て、2023年には1人、2024年には2人まで減少していた。しかし、昨年のイエメンでの大規模な軍事作戦により、再び死者数は急増する結果となった。