イラン支援の武装組織フーシ派が2026年7月下旬、紅海でサウジアラビアの油槽船2隻を攻撃したことで中東情勢が一段と悪化し、原油価格が急騰しました。米国の軍事介入や議会での権限論争が続く中、トランプ米大統領はフーシ派の背後にあるイランに強い報復を示唆しています。
紅海の要衝で激化するサウジアラビア油槽船への攻撃
2026年7月下旬、イランの支援を受けるイエメンの武装組織フーシ派が、紅海を航行していたサウジアラビアの油槽船2隻をミサイルとドローンで攻撃しました。この戦闘の激化により、エネルギー供給の主要な回廊が再び脅かされることへの懸念が広がり、世界市場で原油価格が急上昇しています。ロサンゼルス・タイムズ紙の報道によると、石油価格は5月以来初めて1バレル100ドル台に乗せ、米国家庭のガソリン価格や経済に大きな負担を強めています。
フーシ派の軍事報道官であるヤヒヤ・アル=サレア氏は、今回の作戦について、同組織が発表した紅海での封鎖措置に違反したサウジ船籍のタンカーを標的とした「質的な軍事作戦」であったと主張しました。同氏によれば、今回の攻撃に加えて他の10隻の船舶に対しても航行の引き返しを強要し、サウジの敵対行為に対する海上封鎖の姿勢を今後も継続する構えを見せています。
100ドル突破の原油市場とトランプ大統領によるイランへの警告
こうした事態を受け、ドナルド・トランプ米大統領はソーシャルメディア上で強い不快感を表明しました。トランプ大統領は投稿の中で、フーシ派をイランの代理勢力と見なし、同様の攻撃が繰り返された場合には米国はイランに責任を問うと明言しています。
ドナルド・トランプ米大統領は、もし同様の行為が繰り返されれば米国が対応することを、この真実をもって示すとしています(ニューヨーク・ポスト紙の引用に基づく)。
フーシ派は、イエメン北西部の人口密集地域を実効支配し、テヘランからの武器供与や訓練を受けていますが、2月末に始まった米国の対イラン軍事作戦「オペレーション・エピック・フューリー」以降は比較的抑制的な態度を保っていました。今回の紅海での実力行使は、その均衡を決定的に崩す形となりました。
イエメン国内での死傷者急増と高まる米議会内の摩擦
ガーディアン紙が報じたところでは、紅海の海上交通にとどまらず、イエメン国内の軍事キャンプに対するフーシ派の攻撃によって政府軍兵士少なくとも30人が死亡し、死者数がさらに膨らむ懸念が持たれています。イラン寄りのフーシ派は、サウジアラビア側の大規模な軍事動員を観測したため、マアリブおよびハドラマウト両州のキャンプに対してミサイルおよびドローン攻撃を実施したと主張しています。


こうした戦火の拡大は、米国内での政治的摩擦も激化させています。下院では、議会の承認がないまま続く米国の軍事行動を停止させるための決議案に民主党と一部の共和党議員が賛同しました。上院でもクリス・ヴァン・ホッレン議員らが政権側の説明に対する疑問を強く呈しており、戦争の長期化とエネルギー価格の高騰が国内の政治的争点となっています。
クリス・ヴァン・ホッレン米上院議員は、3月に勝利したのであれば、なぜ7月になっても犠牲になる米国人が増え、ホルムズ海峡が封鎖され、フーシ派が紅海のバブ・エル・マンデブ海峡を航行する船舶を攻撃して戦争が拡大しているのかと問い、さらに原油や天然ガス、ディーゼル価格が再び急騰してすべての米国家庭に負担を強いている現状に疑問を呈しています(ロサンゼルス・タイムズ紙の引用に基づく)。
バブ・エル・マンデブ海峡とホルムズ海峡の二重封鎖リスク
現在の世界経済にとって最大の脅威となっているのは、ペルシャ湾のホルムズ海峡と紅海の南端に位置するバブ・エル・マンデブ海峡が同時に脅かされている点です。<a href="https://nypost.
これに対し, サウジアラビアはこれまで紅海側の港湾へと石油輸送ルートを迂回させていましたが、フーシ派がバブ・エル・マンデブ海峡を標的に海軍封鎖を宣言したことで、その代替ルートさえも機能不全に陥りつつあります。サウジ当局は、イランの革命防衛隊の監督下でイラクの武装組織とフーシ派が北部と南部から協調してエネルギーインフラや港湾施設を標的にする差し迫った脅威を警戒しています。中東全体のエネルギー供給網がかつてない瀬戸際に立たされる中、事態の収拾に向けた外交的糸口は見出せていません。