ドナルド・トランプ米大統領は、ネバダ州ラスベガスでの演説において、長年にわたり米国の関税政策が不利益を被ってきたと主張し、その中でカナダを名指しして非難した。トランプ大統領は演説の中で、カナダについて厳しい表現を用いて批判を展開した。
ラスベガスの演説で「不愉快な指導部」と批判したトランプ大統領
カナダは意地が悪い。そうだ、彼らは意地が悪い。国民は愛しているが、彼らは意地が悪い。意地が悪い指導部だ。 ドナルド・トランプ米大統領、AP通信の報道より
カナダの労働者と企業を守るための「厳しい交渉」と応じるカーニー首相
これは厳しい交渉だ。「不愉快だ」と言ってもいい。しかし、これはカナダの雇用の問題なのだ。カナダ企業の将来に関わる問題なのだ。 マーク・カーニー首相、ABCニュースの報道より

報道によると、カーニー首相は「私たちはアメリカ人との関税戦争の真っ只中にいる」と述べつつも、トランプ大統領の表現について質問を受けると思わず笑みを浮かべる場面もあった。また、先週電話会談を行ったことに触れ、今後も追加の対話が行われるとの見通しを示している。
ワシントンでの継続的な協議と経済的な波及効果
両国の摩擦が深まる中、カナダのドミニク・ルブラン通商相とジャン・シャレット首席交渉官はワシントンを訪れ、米国のジェイミソン・グリア通商代表をはじめとする当局者らと集中的な会合を行っている。カナダ側はこれまで、デジタルサービス税の導入計画の撤廃や、ストリーミング企業に対するコンテンツ規制の緩和など、米側が挙げていた複数の貿易上の懸念事項に対応してきた。

一方で、カナダの一部の州が実施している米国産酒類の販売制限は依然として大きな争点となっている。全米蒸留酒協会は州による酒類販売規制について「壊滅的」であると非難し、昨年の対カナダ輸出が63パーセント減少したことを指摘している。これに対しカナダ側は、州の酒類規制は過去に米国が課した関税への対抗措置であると主張している。
8月19日の期限と11月の中間選挙に向けた行方
米国が予告している8月19日の期限までに関税発動を回避できるかどうかが当面の焦点となる。トランプ政権側は関税によって製造業が米国本土に回帰すると主張しているが、専門家や経済データの間ではその効果に疑問が持たれている。
カーニー首相は、米国の既存のアルミニウム関税が原因で米国内のアルミニウム価格が58パーセント上昇したと指摘し、こうした関税政策は米国企業にとっても好ましくない状況を生み出していると警告している。11月3日の米中間選挙を控える中、生活コストの上昇にフラストレーションを抱える米国の消費者にとっても、両国の貿易摩擦の行方は重要な関心事となっている。