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2026-03-06 20:30:00
「男女平等」を議論し始めてから、どれほどの年月が経つだろう。法律は変わった。企業の制度も変わってきた。では、私たちの体感は──?
Business Insider Japan内のDEIメディア&コミュニティ「マッシングアップ」では、2026年1〜2月に読者を対象としたジェンダー意識調査を実施。10代から60代以上まで、男女・ノンバイナリーを含む幅広い層から集まった約800件の回答は、驚くほど多様で、そして“正直”だった。
回答から見えてきた日常のモヤモヤや、世代・性別を超えたジェンダー意識、そこから浮かび上がる次世代のスタンダードを紐解く。
Q1.「男女平等」の実感──職場は変わった、でも社会全体の変革はまだ遠い
■POINT
- 職場・学校での男女平等について、「すでに実現」と「かなり改善」の合計は36.3%。社会全体では17.6%とさらに低い結果に。身近な環境では改善が見られる一方で、社会全体で見るとまだまだ課題が多い(56.8%)。
- 「後退している」は職場・学校が2.8%に対し、社会全体では11%と4倍近い数値に。社会全体への失望感が透けて見える。
- 「男女平等という枠組み自体が古い」と感じている人は、職場・学校、社会ともに約15%存在。バイナリーな議論そのものへの問い直しも出始めている。
PICK UP:男女で異なる「見えている景色」

さらに、Q1で「男女平等にはまだまだ課題が多い」と答えた人の内訳を見てみると、女性は54%で、男性は35%。一概には言えないが、男女でも「見えている景色」が異なると言えるだろう。
Q2.「性別による違和感」を感じる時は?

■POINT
- 女性が違和感を覚えやすいのは、「育児・家事の話題が女性だけに向けられる」(59.9%)ときと「役割分担が性別で決まる」(57.4%)とき。日常生活に根ざしたシーンが多い。
- 「ジェンダー配慮という言葉自体に違和感」を感じている人は、全体で約4割。アプローチ疲れや配慮疲れも見られる。
- ただし「ジェンダー配慮への違和感」と「DEI(多様性・公平性・包摂性)不要」は必ずしもイコールではない。別の設問「DEIという言葉を聞いて、あなたの考えに近いものは?」に対する答えは、「当然取り組むべき前提」という回答が最多の49.5%。「特別なことでなく普通のこととして扱ってほしい」という要求とも読める。
Q3.これからのリーダーに必要な資質は?──年代・性別問わず共通の結果に

■POINT
- かつて「女性的」とみなされてきた「聴く力」や、客観的な視点をもった「論理的思考力」、個を最大化する「多様性を活かす力」を支持する声が多い。
- 一方、「カリスマ・決断力」という従来型の強いリーダー像は低い結果に。
- この傾向は、10代から70代まで年代・性別問わず共通。リーダーシップの再定義は、特定世代・特定ジェンダーの価値観ではなく、社会全体のコンセンサスになりつつあると言える。
フリーコメントから見える「現場のリアル」
フリーコメントでは、職場や日常の違和感から、制度への疑問、そして変化の兆しまで、さまざまな立場からのリアルな声が寄せられた。その一部を紹介する。
■職場・学校のモヤモヤ
「一部社員のオンライン会議の準備(PCのセッティングから)と後片付けを全部させられる。片付けぐらいは自分で出来ることなのにしようとしない」(女性・20代)
「友人の話だが、焼肉屋さんでものすごく熱い炭を男性が処理したり洗ったりしているという現状。また、力仕事は男が任されやすい」(20代男性)
「地方だからこそ、女性の大学院進学は考えられないと言われること。 明らかに男女で進路が異なること」(ノンバイナリー・20代)
「女性にはメイクを求めるのに、男性(特に中高年)の身だしなみはどうなのか」(男性・50代)
■社会・日常の違和感
「日常会話の中で、既婚=子持ち、という前提で話をされることが多い。男性の方が最近はハラスメントを気にしてそのようなことを言ってこないが、40代以上の女性からそのような発言をされることが多い」(女性・40代)
「役所で転入時にパートナー には丁寧語、私には地元の方言で対応された」(ノンバイナリー・40代)
「男性は家族を養わないといけないという社会規範のせいで、才能があっても美大や文学部への進学をあきらめて法学部や経済学部に進む友人を多く見てきた」(男性・50代)
■制度への不満・変化の兆し
「男性が育休を取っても評価査定に響かないと言いながらも、実際は響く状態。かつ女性の産休・育休からの復帰が難しい」(男性・30代)
「女性だから役職者に抜擢する、女性だから機会を与えるという考えを辞めるべき。性別を問わず、管理職、リーダー職は実力で決めるべき」(男性・30代)
「私が知っている中小企業の経営者は、性別を問わず平等に評価していると主張しているが、そもそも評価の土台に女性が登りにくいことに気がついていない」(女性・60代)
「職場で育児・家事の話が男性にも当たり前に向けられることが増え、それが自然になってきたのは喜ばしいことだと思う」(女性・50代)
「自分の職場では男性の育児休暇取得が全く珍しくなく、見回せば複数人が取得中という状況だが、他の会社に勤める人にその話をすると不思議がられる」(男性・50代)
これからの社会に必要なこと──求められるのは「性別」ではなく「個」の尊重
日本社会のジェンダーギャップ解消に向けて「一番優先すべきだと思うこと」を問う設問では、「性別による固定観念(ステレオタイプ)をなくすこと」が最上位だった。
また、「2030年がどんな社会になっていると良いと思うか」という質問に対する回答には、次世代に向けた切実な願いが寄せられた。
「性別ではなく、個人として人が評価されるようになるべき」(30代・女性)
「ジェンダーという言葉自体が使われなくなればいい」(60代・男性)
「男だから、女だからという言葉が日常会話からなくなる社会」(40代・女性)
「属性に縛られず他者を個人として尊重する姿勢がある社会」(20代・女性)
「同性婚も夫婦別姓も法的に認められ、誰にでも暮らしやすい社会になればよい」(50代・女性)
明日から変えられる「小さなアクション」
社会を急に変えることは難しくても、私たちの意識次第で明日から変えられることはある。最後に、アンケートの声から見えてきた「小さなアクション」を提案したい。
■企業・組織単位でできること
- 評価・昇進の基準を透明化・公平化する:「実力のみで決めるべき」「能力で評価すべき」といった声があるように、日常の意思決定プロセスに公平性を埋め込むことが必須だ。
- 「誰が話しているか」を意識する: 会議の場などで、特定の性別の発言が少なくなっていないか。チームやプロジェクトメンバーの属性に偏りがないか、当事者の声が置き去りになっていないかに気づく視点を持つ。
- 長時間労働を前提としない業務設計: 「男性の育児・家事参加」を推進するためには、性別にかかわらず、誰もがケア労働(家事・育児・介護)を担えるよう、仕事の進め方自体をアップデートする必要がある。
■個人でできること
- 「役割の自動割り当て」に気づいたとき、一度止まる習慣: 「力仕事は男性」「お茶出しや気配りは女性」といった無意識のバイアス(アンコンシャス・バイアス)にハッとした時、本当にその性別が担うべきことなのかを疑ってみる。
- 「共感力・傾聴力」をリーダーシップの核心として再評価する: トップダウンの強いリーダーシップではなく、多様な意見を聞き入れる力を、新たな時代の強さとして評価する。
- 「枠組み」を疑い、目の前の「個」と向き合う: 「男女平等という枠組み自体が古い」という視点も持ちつつ、属性で判断するのではなく「目の前のその人」を尊重する。
約800人の声が示したのは、変化の兆しと、変わらない構造の両方だ。職場や身近な環境では「改善」を感じつつも、社会全体を見渡せば「まだまだ課題が多い」「後退している」と感じる人が約7割に上る。その乖離の中に、今の日本のジェンダー問題の核心があるのではないだろうか。
次の一歩は、誰かが作ってくれる完璧な制度や環境を待つことではない。自分のなかにある「当たり前」に小さな疑問符を置くこと。そして、その違和感を声に出し、対話を続けることで広がっていくのではないだろうか。
(文:Mashing Up編集部、デザイン:武田昌也)
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