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2024-06-19 22:55:00
(画像はイメージです)
スピンカ/ゲッティイメージズ
中国が科学技術大国としての存在感を確固たるものにしつつある。
イギリスの科学誌natureなどを出版するSpringer Nature社が6月18日、学術論文の発表数などをもとに世界の大学や研究機関をランキングした「Nature Index Research Leaders 2024」を発表した。そこで顕著になったのは、中国やインドといったアジアの国々の隆盛だ。
※2024年版のランキングは、2023年に出版されたSpringer Nature社以外も含む145の学術論文、7万5707報をもとに作成された。論文の数だけではなく、そのシェア(貢献度)などを踏まえてランキングが決められる。
トップ10を中国がほぼ独占。米スタンフォード大はトップ10圏外に

Nature Indexを基に編集部が作成
毎年話題になるNature Indexのランキングだが、2024年版では総合ランキングトップの中国科学院を筆頭に、トップ10に中国の大学・研究機関が7つランクインするなど、中国勢が2023年に引き続き上位を席巻する結果となった。
トップ10にランクインした中国以外の大学・研究機関は、アメリカのハーバード大学(2位)、ドイツのマックス・プランク協会(3位)、フランス国立科学研究センター(7位)だった。トップ10常連だったアメリカのスタンフォード大学は、2023年の6位から2024年版では15位と大きく順位を落とした。なお、大学に限定するとトップはハーバード大学になるが、10位までの残り9大学は全て中国の大学だった。
国ごとに論文数などを比較すると、上位5カ国は順に、中国、アメリカ、ドイツ、イギリス、日本。
2023年版では、中国が初めて自然科学分野でトップになったことが話題となった。ただ、健康科学分野を合わせた総合順位では2位に甘んじていた。2024年版では、総合順位でも中国がアメリカを上回り、名実共にトップの座をつかんだ。
生命科学、化学、地球環境科学、健康科学、物理科学という5つの分野別に見ると、中国は化学、地球環境科学、物理科学の3部門で世界トップに。生命科学、健康科学ではアメリカが依然としてトップだった。
また、2023年には「インド」の急成長が目立った点も特徴だという。総合ランキングではオーストラリアとスイスを抜いて、2023年版の11位から9位に順位を上げた。
評価対象になった論文のシェア(貢献度)ではトップの中国には遠く及ばないものの、「成長率」では中国の13.6%増に対して、インドは14.5%増と「中国と同等以上」だった。natureによると、インドの急伸の背景として、過去10年間での大学数の増加や、学生向けのフェローシップの多さといった要因が考えられるという。
低下する欧米の優位性。日本の存在感は…?

日本の研究機関の世界ランキング。記載している10大学・研究機関は、日本のトップ10。
Nature Indexを基に編集部が作成。
世界に対して、日本はどうか。
国内に目を向けると、総合ランキングでトップになったのは2023年から1つ順位を上げた東京大学の19位。次いで、4つ順位を下げた京都大学の47位。大阪大学の69位(前年は78位)と続いた。なお、国際卓越研究大学として認定が決まった東北大学は、前年から5つ順位を下げた104位(国内では4位)だった。
また、北海道大学が世界総合ランキングで119位(前年141位)、名古屋大学が128位(同154位)、物質・材料研究機構が191位(前年212位)と、大きく順位を伸ばした。なお、2019年に質の高い論文の割合が高い研究機関ランキングで東大を上回る日本トップの9位に選出されたことで知られる沖縄科学技術大学院大学(通称:OIST)は、発表している論文数が少ないこともあり、このランキングでは世界で500位圏外。国内でも16位にとどまっている。
世界を見渡せば、中国やインドが成長を遂げた分、日欧米の存在感は相対的に低下している。
とりわけ、欧米の論文のシェア(貢献度)の低下は顕著だ。今回の調査では、アメリカが7.1%、ドイツが6.8%、イギリスが8.2%、それぞれ貢献度が前年から低下していた。日本の貢献度の低下は1.7%と小幅にとどまっており、natureは2017〜2022年にかけて日本の貢献度が20%以上急落したことを考えると、低下傾向がゆるやかになったことを「ポジティブな変化」だと評価している。
確かに日本では、ここ数年の間に科学技術立国の再興に向けたテコ入れが進められてきた。いわゆる「10兆円ファンド」が始動し、この6月には東北大学が正式に10兆円ファンドの支援先となる国際卓越大学としての認定を受けることが決まった。大学発ベンチャーの創出を促すことで産業界とのつながりを強め、研究開発のエコシステムを回そうとする動きも加速している。
ただ、こういった施策の効果は出てくるまでに時間がかかるものであり、今回natureが指摘した日本の傾向にどの程度影響を与えたのかは判断が難しい。
一方、この6月には国立大学協会から国立大学の厳しい財政状況について「もう限界」という声明が発表されるなど、研究機関としての体制が崩壊しつつあるという現場からの指摘を聞くことは今なお多い。日本科学振興協会(JAAS)で研究環境改善について議論するWGに参加している複数の研究者からも、次のようなコメントがあった。
「長期的な科学研究の発展に必要な、研究領域の多様性の確保や研究人材育成支援といった側面で有効な手立てが打たれているわけではないので、(日本の研究力が)下げ止まったと判断するのは早計だと思います」
「(日本は)選択と集中によりトップ層のみが活動を維持できており、それを反映しやすい本調査では見かけ上は順調そうに見える。ただ、その裏で、集中から漏れている層の研究者については依然として厳しい状況が強まっているのではないか」
なお、Nature Indexでは限られた論文への「掲載の有無」が重要指標になることから、この調査から判断できることに限界がある点には注意する必要があるとの指摘もあった。
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