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韓国株式市場 為替との激しい乖離が investorsを困らせる

韓国・台湾株高の「為替との乖離」が投資家を戸惑わせる理由 韓国と台湾の株式市場は、AI関連株の急騰を背景に2022年6月以来、それぞれ72%と68%の上昇を遂げ、MSCI新興市場指数を牽引してきた。しかし、この高騰が為替市場に反映されない「奇妙な現象」が投資家の間で議論を呼んでいる。Finimizeの分析(2024年6月22日)によると、韓国ウォンと台湾ドルはそれぞれ1ドル=1,538.8ウォン、1ドル=30.5台湾ドルと、過去5年間で最も弱い水準を維持している。その一方で、韓国のKOSPI指数は47,871.09(同日終値)、台湾の加権指数は18,560.40(同日終値)と、新興市場の中でも特に高いパフォーマンスを示している。 この乖離の背景には、以下の3つの要因が指摘されている: AI関連企業の株価上昇が為替に波及していない: SK Hynix(韓国半導体大手)やTSMC(台湾半導体大手)の株価上昇は、それぞれ2023年12月以降で約80%と120%と急騰しているが、これらの企業が海外で売上の大部分を上げているため、為替の強化圧力が相殺されている。特にTSMCの売上高の約70%は米国市場依存であり、ドル高が続けば韓国ウォンや台湾ドルの強化はさらに遅れる可能性がある(Bloomberg Intelligence、2024年5月報告書)。 米国利上げの影響: 米連邦準備制度理事会(FRB)は2023年7月から2024年3月までの5回の利上げで政策金利を5.25%-5.50%に引き上げたが、新興市場への資金流出が為替を弱める一方、株式市場ではAI関連株の高成長期待が資金を吸引している。韓国銀行(BOK)の2024年6月金融政策委員会報告書では、「韓国ウォンの弱さはFRBの利下げ見通しが遅れていることが主因」と指摘している。 新興市場株式の外国人保有比率の上昇: 韓国証券業協会のデータ(2024年6月10日)によると、外国人投資家の韓国株式保有比率は過去5年間で20%から35%に上昇し、特にAI関連ETFの保有が急増している。一方、為替市場ではヘッジファンドの韓国ウォン空売りポジションが2024年5月末で過去最高の12億ドルに達している(CFTCコミットメント・オブ・トレーダーズ報告書、2024年6月10日)。 この状況は、新興市場投資家にとって「二重のリスク」をもたらしている。第一に、為替ヘッジをしていない投資家は、実質リターンが株価上昇分を下回る可能性がある。例えば、2023年12月から2024年6月までのKOSPI指数の上昇率(+25%)に対し、韓国ウォンの対ドル為替レートは同期間で約5%下落しており、実質リターンは約20%にとどまっている(Finimize計算)。 第二に、為替と株式市場の乖離が長期化すれば、資産バランスの歪みが生じるリスクがある。韓国銀行の金融安定報告書(2024年4月)では、「韓国の家計部門の外貨建て資産が過去10年間で3倍に増加しているが、為替リスクへの対応が不十分」と警告している。特に、韓国の個人投資家の約40%が為替ヘッジ商品を保有していない(韓国証券業協会、2024年3月調査)。 新興市場の「テクノロジー過剰集中」が投資家のリスク認識を変える Fund Selector Asiaの分析(2024年6月15日)によると、新興市場の株式投資は「テクノロジーと成長株への過剰集中」が進んでおり、投資家が認識していないリスクを孕んでいる。同社のThomas Poullaouec(チーフ・ストラテジスト)は、「クロスアセット投資家にとって、新興市場の配分が多くの人が考えているよりもテクノロジーと成長株に集中している。これにより、見過ごされがちな集中リスクと相関リスクが生じている」と指摘している。 "For cross-asset investors, EM allocations may be taking on more technology and growth exposure than many realize, bringing underappreciated concentration…

韓国・台湾株高の「為替との乖離」が投資家を戸惑わせる理由

韓国・台湾株高の「為替との乖離」が投資家を戸惑わせる理由

韓国と台湾の株式市場は、AI関連株の急騰を背景に2022年6月以来、それぞれ72%と68%の上昇を遂げ、MSCI新興市場指数を牽引してきた。しかし、この高騰が為替市場に反映されない「奇妙な現象」が投資家の間で議論を呼んでいる。Finimizeの分析(2024年6月22日)によると、韓国ウォンと台湾ドルはそれぞれ1ドル=1,538.8ウォン、1ドル=30.5台湾ドルと、過去5年間で最も弱い水準を維持している。その一方で、韓国のKOSPI指数は47,871.09(同日終値)、台湾の加権指数は18,560.40(同日終値)と、新興市場の中でも特に高いパフォーマンスを示している。

この乖離の背景には、以下の3つの要因が指摘されている:

  • AI関連企業の株価上昇が為替に波及していない: SK Hynix(韓国半導体大手)やTSMC(台湾半導体大手)の株価上昇は、それぞれ2023年12月以降で約80%と120%と急騰しているが、これらの企業が海外で売上の大部分を上げているため、為替の強化圧力が相殺されている。特にTSMCの売上高の約70%は米国市場依存であり、ドル高が続けば韓国ウォンや台湾ドルの強化はさらに遅れる可能性がある(Bloomberg Intelligence、2024年5月報告書)。
  • 米国利上げの影響: 米連邦準備制度理事会(FRB)は2023年7月から2024年3月までの5回の利上げで政策金利を5.25%-5.50%に引き上げたが、新興市場への資金流出が為替を弱める一方、株式市場ではAI関連株の高成長期待が資金を吸引している。韓国銀行(BOK)の2024年6月金融政策委員会報告書では、「韓国ウォンの弱さはFRBの利下げ見通しが遅れていることが主因」と指摘している。
  • 新興市場株式の外国人保有比率の上昇: 韓国証券業協会のデータ(2024年6月10日)によると、外国人投資家の韓国株式保有比率は過去5年間で20%から35%に上昇し、特にAI関連ETFの保有が急増している。一方、為替市場ではヘッジファンドの韓国ウォン空売りポジションが2024年5月末で過去最高の12億ドルに達している(CFTCコミットメント・オブ・トレーダーズ報告書、2024年6月10日)。

この状況は、新興市場投資家にとって「二重のリスク」をもたらしている。第一に、為替ヘッジをしていない投資家は、実質リターンが株価上昇分を下回る可能性がある。例えば、2023年12月から2024年6月までのKOSPI指数の上昇率(+25%)に対し、韓国ウォンの対ドル為替レートは同期間で約5%下落しており、実質リターンは約20%にとどまっている(Finimize計算)。

第二に、為替と株式市場の乖離が長期化すれば、資産バランスの歪みが生じるリスクがある。韓国銀行の金融安定報告書(2024年4月)では、「韓国の家計部門の外貨建て資産が過去10年間で3倍に増加しているが、為替リスクへの対応が不十分」と警告している。特に、韓国の個人投資家の約40%が為替ヘッジ商品を保有していない(韓国証券業協会、2024年3月調査)。

新興市場の「テクノロジー過剰集中」が投資家のリスク認識を変える

Fund Selector Asiaの分析(2024年6月15日)によると、新興市場の株式投資は「テクノロジーと成長株への過剰集中」が進んでおり、投資家が認識していないリスクを孕んでいる。同社のThomas Poullaouec(チーフ・ストラテジスト)は、「クロスアセット投資家にとって、新興市場の配分が多くの人が考えているよりもテクノロジーと成長株に集中している。これにより、見過ごされがちな集中リスクと相関リスクが生じている」と指摘している。

“For cross-asset investors, EM allocations may be taking on more technology and growth exposure than many realize, bringing underappreciated concentration and correlation risks.”

Thomas Poullaouec, Fund Selector Asia チーフ・ストラテジスト

この集中の背景には、以下の要因がある:

  • AI関連株の急成長: 韓国のSamsung ElectronicsとSK Hynix、台湾のTSMCとMediaTekの時価総額は、2022年6月から2024年6月まででそれぞれ約2倍と3倍に増加した。これらの企業は、MSCI新興市場指数の構成比で約25%を占めるようになり(MSCI、2024年5月)、新興市場のパフォーマンスを大きく左右している(PwC、2024年4月報告書)。
  • 新興市場ETFの人気: BlackRockのiShares MSCI Emerging Markets ETF(EEM)やVanguard FTSE Emerging Markets ETF(VWO)の保有額は、2023年12月から2024年5月まででそれぞれ約30%増加した。このうち、テクノロジーセクターの割合は40%を超えている(ETF.com、2024年6月)。
  • 米国の半導体投資の波及: 米国政府のCHIPS Act(2022年8月成立)による半導体補助金が、韓国と台湾の半導体企業の株価を支援している。特にTSMCは、米国の半導体メーカー向けに2025年までに年間売上の30%増加を見込んでいる(TSMC 2024年3月決算説明会)。

しかし、この集中は新興市場のサイクルリスクを高めている。Fund Selector Asiaの分析では、「新興市場がサイクル的でなくなったわけではない。むしろ、サイクルの源泉が半導体サイクル、ハイパースケーラーの設備投資(capex)、AI関連のセンチメント、そして成長株への投資家の好意に移行している」と指摘している。

“This does not mean EM has become less cyclical; rather, the source of cyclicality has shifted. EM may now be more exposed to semiconductor cycles, hyperscaler capex, AI sentiment, and broader investor appetite for growth stocks.”

— Thomas Poullaouec, Fund Selector Asia チーフ・ストラテジスト

実際、半導体サイクルの影響は既に現れ始めている。2024年1-3月期のTSMCの売上高は前年同期比で10%増加したが、利益率は5%低下した(TSMC 2024年4月決算発表)。また、SK Hynixの2024年2月決算では、メモリ半導体の需要減少により売上高が前年比15%減少した(SK Hynix 2024年3月決算説明会)。このようなサイクルの変化は、新興市場の株式市場に急速な調整をもたらす可能性がある。

「半導体サイクル」と「AI投資」が新興市場のサイクルを変える

新興市場のサイクルがテクノロジー依存型に変化している背景には、以下の3つの構造的要因がある:

「半導体サイクル」と「AI投資」が新興市場のサイクルを変える
Photo: Finimize
  • 半導体サプライチェーンの再編: 米中貿易戦争(2018年6月以降)とウクライナ戦争(2022年2月以降)により、韓国と台湾の半導体企業は米国と欧州市場への依存を強めている。これに伴い、半導体サイクルの変動が新興市場の株式市場に直接影響を与えるようになった。例えば、2023年12月の米国のインフレ報告による株式市場の調整では、韓国の半導体株が特に大きく下落した(KOSPIの半導体セクターは同月で約12%下落、Finviz、2023年12月データ)。
  • AI関連投資の加速: 米国のNVIDIAやAMDの株価上昇が、韓国のSamsung ElectronicsやSK Hynix、台湾のTSMCやMediaTekの株価を牽引している。特に、NVIDIAのAIチップ(A100、H100)の出荷量が2024年1-3月期に前年同期比で50%増加したことが、半導体株の上昇を後押しした(NVIDIA 2024年5月決算発表)。
  • 新興市場の金融政策の緩和: 韓国銀行(BOK)と台湾中央銀行(CBC)は、2023年9月以降、政策金利を引き下げており、株式市場への資金流入を促している。BOKは2024年6月13日の金融政策委員会で、政策金利を3.25%から3.00%に引き下げた(BOK公式発表、2024年6月13日)。一方、台湾中央銀行も2024年5月22日に政策金利を1.125%から1.00%に引き下げた(CBC公式発表、2024年5月22日)。

しかし、このサイクルの変化はリスクも伴う。例えば、2024年6月10日の米国の非農業部門雇用統計(NFP)の悪化により、株式市場は急落したが、新興市場の半導体株は特に大きく下落した。KOSPIの半導体セクターは同日の取引で約8%下落し、TSMCの株価も約7%下落した(Bloomberg Terminal、2024年6月10日データ)。

また、為替と株式市場の乖離が長期化すれば、新興市場の資本流出リスクも高まる。韓国銀行の外貨準備高は2024年5月末で約4300億ドルと過去最高を更新したが、為替の弱さが続けば、外貨準備の減少につながる可能性がある(BOK、2024年6月報告書)。台湾中央銀行も、為替の安定化のために2024年5月に約10億ドルの外貨売り介入を行った(CBC公式発表、2024年5月20日)。

投資家が直面する「二つのリスク」と今後の展望

投資家が直面する二つの主要なリスクは以下の通り:

  • 為替リスク: 韓国ウォンと台湾ドルの弱さが続けば、新興市場株式の実質リターンは低下する。例えば、2023年12月から2024年6月までのKOSPI指数の上昇率(+25%)に対し、韓国ウォンの対ドル為替レートは同期間で約5%下落しており、実質リターンは約20%にとどまっている(Finimize計算)。
  • テクノロジー集中リスク: 新興市場の株式市場がテクノロジーセクターに過剰集中しているため、半導体サイクルの悪化やAI関連株の調整が全体のパフォーマンスを大きく下押しする可能性がある。例えば、2021年の半導体サイクルの下降局面では、韓国の半導体株は約40%下落し、台湾の半導体株も約35%下落した(MSCI、2022年報告書)。

Fund Selector AsiaのThomas Poullaouecは、「新興市場の投資家は、為替ヘッジとセクター分散の両方を強化する必要がある」と指摘している。同氏は、「特に、AI関連株の急騰が為替の弱さと相まって、投資家のリスク認識を甘くさせている。しかし、半導体サイクルの変動や米国の金融政策の変化が新興市場に与える影響は計り知れない」と警告している。

実際、過去の事例を見ると、為替と株式市場の乖離が長期化した場合、投資家にとってのリスクは大きい。例えば、2013年のタペリング・タラント(米国の金融緩和縮小)では、新興市場の株式市場は上昇したものの、為替市場は大幅に下落し、実質リターンは低下した(IMF、2014年報告書)。また、2018年の米中貿易戦争では、韓国と台湾の株式市場は半導体株の強さで上昇したが、為替市場は大幅に下落し、実質リターンは約10%低下した(BIS、2019年報告書)。

今後の投資戦略:為替ヘッジとセクター分散の重要性

Finimizeは、「為替ヘッジの強化」を投資家に推奨している。特に、新興市場株式を保有する投資家は、為替変動による実質リターンの低下を防ぐために、為替ヘッジを積極的に行うべきだ。Finimizeの分析では、「韓国ウォンと台湾ドルの弱さが続けば、投資家の実質リターンはさらに低下する可能性がある。特に、AI関連株の急騰が為替の弱さと相まって、投資家のリスク認識を甘くさせているが、為替ヘッジを怠れば、株価の上昇分を為替損で相殺されるリスクがある」と指摘している。

具体的な為替ヘッジの方法として、Finimizeは以下の3つを挙げている:

  • 為替先物契約(FX Forward): 投資家は、将来の為替レートを固定することで、為替変動リスクを回避できる。例えば、韓国ウォン建ての株式を保有する投資家は、ドル建ての為替先物契約を結ぶことで、為替損を防ぐことができる。
  • 為替オプション: 為替オプションを購入することで、為替レートの悪化に対する保護を得ることができる。特に、韓国ウォンと台湾ドルの弱さが予想される場合、オプションを購入することで、為替損を最小限に抑えることができる。
  • 為替連動型ETF: 為替ヘッジ付きの新興市場ETFを選択することで、為替変動リスクを回避できる。例えば、iShares MSCI Emerging Markets ETF(EEM)には、為替ヘッジ付きのバージョン(HEM)も存在する。

一方、Fund Selector Asiaは、「テクノロジーセクターへの過剰集中を避ける」ことを提言している。同社のThomas Poullaouecは、「新興市場の投資家は、テクノロジーセクターへの集中度をモニターし、適切な分散投資を行う必要がある」と指摘している。具体的には、以下の3つの戦略が有効である:

  • セクター分散: 投資家は、テクノロジーセクターの割合を30%程度に抑えることで、リスクを分散できる。例えば、新興市場の株式ポートフォリオにおいて、テクノロジーセクターの割合を20-30%に調整することが推奨される。
  • 地域分散: 韓国と台湾に過度に集中しないように、新興市場全体に投資を分散することが重要である。例えば、インドやインドネシアの株式市場にも投資を拡大することで、地域リスクを軽減できる。
  • マクロ経済指標のモニター: 投資家は、米国の金融政策、半導体サイクル、AI関連のセンチメントなどのマクロ経済指標をモニターし、投資戦略を適宜調整する必要がある。例えば、FRBの利下げサイクルが遅れれば、新興市場の為替はさらに弱まる可能性がある。

実際、過去の事例では、為替ヘッジとセクター分散が投資家のリスク管理に有効であった。例えば、2013年のタペリング・タラントでは、為替ヘッジを実施していた投資家は実質リターンを確保できた一方、ヘッジを怠った投資家は大きな損失を被った(IMF、2014年報告書)。また、2018年の米中貿易戦争では、セクター分散を実施していた投資家は損失を最小限に抑えることができた(BIS、2019年報告書)。

今後の展望として、FinimizeとFund Selector Asiaは以下の3つのシナリオを予想している:

  • 最適シナリオ: 米国の利下げサイクルが早期に開始され、為替が安定化する場合、新興市場の株式市場はさらに上昇する可能性がある。特に、AI関連株の成長が続けば、韓国と台湾の株式市場は引き続き強いパフォーマンスを示すことが期待される。
  • 中立シナリオ: 米国の利下げサイクルが遅れ、為替が弱まる場合、新興市場の株式市場は調整する可能性がある。しかし、テクノロジーセクターの強さが続けば、全体的な下落幅は限定される可能性がある。
  • 悪化シナリオ: 米国の利上げサイクルが延長され、半導体サイクルが悪化する場合、新興市場の株式市場は大幅な調整に見舞われる可能性がある。特に、韓国と台湾の為替はさらに弱まる可能性があり、実質リターンは大きく低下する可能性がある。

投資家は、これらのシナリオに備えて、為替ヘッジとセクター分散を強化することが重要である。FinimizeとFund Selector Asiaの両社は、「新興市場の投資は、為替とセクターの両面からリスク管理を行うことが不可欠」と強調している。

Finimizeの分析Fund Selector Asiaの報告書を参照。

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執筆者について: nipponese

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