昨年11月の高市総理による台湾を巡る答弁以降、日中関係は急速に悪化し、政治家や政府高官の往来が途絶えるなど影響が出ている中で、中国の副首相が台湾問題におけるレッドラインを強調しつつも経済交流には前向きな姿勢を示していることが、TBS NEWS DIG Powered by JNNの取材で判明した。.
悪化する日中関係の中で相次ぐ国会議員の訪中と要人会談
昨年11月の高市総理の答弁以降、旅行客は激減し、政治家や政府高官の往来も途絶えていた。両国の関係について悲観的な声が多い現状があるが、最近になって国会議員の訪中が相次いでいる。8月下旬には中道改革連合の伊佐進一氏らが、9月中旬には自民党の高村正大氏らがそれぞれ中国の要人と面会を行った。
さらに、岩屋毅前外務大臣が北京の人民大会堂を訪問した。岩屋氏は28日に王毅外相と、29日には何立峰副首相と立て続けに会談を実施した。岩屋氏はこのほか、商務省の事務次官ら高官3人とも面会を重ねており、停滞していた政治対話のルート維持に向けた動きが表面化している。
中国側が会談の格を上げた背景と首脳会談への厳しい見方
日中外交の焦点は、今年11月に中国で開催されるアジア太平洋経済協力会議における首脳会談の有無となっている。現状ではその実現に対して厳しい見方が多くを占めている。それにもかかわらず、中国側がこれまでと比べて会談の格を一気に上げた理由はどこにあるのだろうか。
いずれの会談でも中国側は高市総理の発言などに厳しい評価を下したが、表現に変化が見られた。これまで求めてきた発言の撤回ではなく、王毅氏は是正という表現を用いた。ただ、岩屋氏は会談後の記者会見で、この表現の差異について聞かれ、そこに違ったメッセージが込められているとは受け止めなかったと話している。
譲らないレッドラインの一方で見せる経済交流への前向きな姿勢
何立峰副首相は高市総理の答弁を念頭に、中国のレッドラインに触れたと強く牽制した。中国側の関係者は取材に対し、何が起ころうと、中国は台湾問題で日本に絶対に譲らないと語っている。中国政府の関係者も、関係が良いに越したことはないが、高市政権を含めた日本側の姿勢には心から憂慮していると懸念を示した。
中国は政治の問題については強硬姿勢を崩していないが、何立峰氏は別のメッセージも発していた。非公開の場でさらに踏み込んだやりとりが行われており、不動産やAIといった分野にも言及するなど、前向きな経済交流の詳細が判明している。中国側には、政治的な対立と経済協力を切り分ける思惑があるとみられる。
今後の日中関係と11月のAPEC首脳会談に向けた見通し
政治的対立と経済的実利の間で揺れる日中関係において、中国側の強硬な姿勢と経済交流重視の二面性が浮き彫りとなった。岩屋氏らの相次ぐ訪中や高官との会談は一定の対話の窓口を開いたものの、台湾問題を巡る根本的な溝は埋まっていない。11月のAPECにおける首脳会談の実現に向け、日本側が今後どのような外交姿勢を示すのかが問われることになる。