韓国南東部の港湾都市である釜山市の北港ウォーターフロント公園付近の運河で、現地時間2026年10月22日、驚きの出来事が起きた。「プカンイ」と愛称が付けられた雌のカスザメが、前夜遅くに網や浮きバリアを越えて再び運河内へと舞い戻ってきたのだ。
釜山の運河で起きた異例のサメUターン劇
このサメは熱帯気候を好むとされる体長約3メートルの種類で、9月18日に初めて運河で確認されて以来、地元ではちょっとした有名人となっていた。週末までに160万人を超える見物客が公園を訪れ、市の非公式マスコットのような存在になっていた。
相次ぐ救出作戦の失敗と深まる健康不安
プカンイを海へ戻す試みは今回が初めてではない。9月29日と10月2日にも網などを使った誘導作戦が失敗に終わっていたほか、水曜日には8時間以上に及ぶライブ配信付きの救出作戦が実施されたばかりだった。
水曜日の作戦成功が宣言されてから数時間後、夜の11時5分頃には早くもバリアを越える姿が目撃された。国立水産科学院によると、プカンイがエサを食べている様子は観察されておらず、体に負ったとみられる傷やコンクリート壁に衝突する映像が確認されているため、関係者の心配が尽きない。
地元経済への効果と環境変化をめぐる見解
プカンイの存在は釜山の観光業に大きな活気を与えた。釜山市のチョン・ジェス市長は、本来なら巨額の広告費がかかるほどの宣伝効果をもたらしてくれたと謝意を述べている。
一方で、環境団体や専門家は、近年の海水温上昇がこの事態を招いたと指摘する。温暖化によって温かい海水を好む魚が北上し、それを追う形で亜熱帯性のサメが入り込んだという見方だ。異常な高水温と豊富な小魚が、この運河をサメにとって居心地の良い場所にしてしまった可能性がある。

市民の間で分かれる保護と退去の声
突然現れた「街の人気者」をめぐっては、市民の間でも意見が割れている。現場にはサメの強制退去に反対するボードを掲げる人の姿もあった。
このサメはここを自分の家にしてしまったのに、私たちは不必要に追い出そうとしています。網に絡まったり、外海に出てから死んでしまわないか心配です。
チョ・ハナ、BBCの取材に対し北慶尚道から2時間かけて訪れた市民
一方で、衰えた姿を案じる声も根強い。別の市民であるシン・スンミン氏は、プカンイが喜びを与えてくれたことに感謝を示しつつも、次のように語っている。
私たちにたくさんの喜びをもたらしてくれました。去ってしまうのは寂しいですが、あの子は外海へ行って、普通のサメとしての生活を送るべきです。
シン・スンミン、BBCの取材に応じた釜山市民
水温の低下が進めばサメの生命に関わる恐れがあるため、当局はバリアの補強や、捕獲してオープンウォーターへ直接運ぶ方法を改めて検討している。