1714452747
2024-04-29 21:50:00
2018年にはベッカム氏が出資したサッカーチーム「インテル・マイアミ」の投資家探しを手伝い、2014年にはバルマー氏がNBAロサンゼルス・クリッパーズを買収する際に、2019年にはツァイ氏がNBAブルックリン・ネッツとその本拠地バークレイズ・センターを33億ドルで買収する際にアドバイスをした。
しかし、面白いことには責任が伴う。スポーツ分野のM&Aに興味を持つ人たちへのネヴィル氏のアドバイスは、正しい理由を持つことだ。
「魅力的な業界だ。人々が他の有名な業界に興奮することと同じ」とネビル氏。
「しかし、結局はビジネス。そして、ビジネスで成功することは、ハードワーク、長時間労働、あらゆる努力の積み重ねを意味する。だから、華やかなことも多いが、大変なことも多い」
こうした銀行家に話を聞いたBusiness Insiderの記者は、彼らが多くの場合、際立った魅力と親しみやすさを持っていることに気づいた。彼らの多くは元スポーツ選手だったり、興味深い趣味を持っていたり、一緒にビールを飲みたいと思わせるような人柄だったりする。
例えば、2004年にロサンゼルスでスポーツに特化した投資銀行パーク・レーン(Park Lane)を設立したアンドリュー・クライン(Andrew Kline)氏。彼は2000年代前半にNFLセントルイス・ラムズ(現ロサンゼルス・ラムズ)のオフェンスラインとして活躍し、余暇にはブルースバンドで演奏したり、サーフィンを楽しんでいる。クライン氏は仕事内容について触れることは避けたが、彼のウェブサイトによると、NBAのゴールデンステイト・ウォリアーズやマイアミ・ヒートといったチームにアドバイスを行っているという。
キャリー氏がハーバード大学の学生だった1981年、彼は全米ラグビー選手権に出場した。チームは優勝候補だったが、カルフォルニア大学バークレー校に延長戦の末、6-3で敗れた。Business Insiderが取材した他のスポーツ・バンカーと同様、彼はユーモアがあり、親しみやすく、多くのスポーツに親しんでいることをジョークを交えて語った。
「仕事を始めた当初、ボブ・クラフト(Bob Kraft、NFLニューイングランド・ペイトリオッツのオーナー)氏にニューヨーク・ジェッツのファンだと語るミスをした」とキャリー氏。
「妻はすぐにテーブルの下で私を蹴飛ばした。今、誇り高い、熱狂的なペイトリオッツ・ファン。ジャイアンツのファンでもあり、レイズのファン、A’s、バルセロナ、そしてチェルシーのファンでもある。すべてのクライアントを愛しているし、正直なところ、世界で最高の仕事をしていると感じている」
独特のプレッシャー
もちろん、投資銀行業務はハードワークで、スポーツ・バンカーは独特の課題に直面している。例えば、スポーツに投資しようと考える富裕層が増えたことは、競争上のプレッシャーとなり得る。投資可能なチームの数はほぼ限られているためだ。
「スポーツ(ビジネス)は需要と供給だ」とクライン氏。
「特定のチームを手に入れたくても、一生に一度しかチャンスはないかもしれない。つまり、手にいれるためには十分に準備し、資金も用意しておかなければならない。非常にユニークで競争的な環境を作り出し、バイサイドやセルサイドでアドバイスをするときは、楽しく、チャレンジングなものになる」
NBAアトランタ・ホークスやMBAニューヨーク・メッツのアドバイザーを務めている、スポーツ専門の投資銀行インナー・サークル・スポーツ(Inner Circle Sports)の創業者、ロバート・ティリス(Robert Tillies)氏は、スポーツ・バンカーは、ときに難解なリーグのルールの理解も必要になると語った。例えば、NFLはチームへの投資は個人にしか認めていない。プライベート・エクイティ・ファンドや他の機関投資家にも投資を認めようとする動きがあるが、そうした動きには、経営の参加ができない出資に限られたり、事前に承認された投資家のリストアップが必要となるなど、厳しいガイドラインが設けられる可能性が高いと専門家たちは述べている。
報道によると、サッカーの英プレミアリーグがオリガルヒと呼ばれるロシアの富裕層、ロマン・アブラモヴィッチ(Roman Abramovich)氏にチェルシーの経営を手放すよう命じ際、同氏に猶予は28日間しか与えられなかったという。
結局、ネビル氏とそのチームは、買い手を見つけることに90日を費やした。ロシアのウクライナ侵攻後、英国政府がプーチン大統領との関係を理由にアブラモビッチ氏に制裁を科したためだ。この期間は、キャリアの中でも最も厳しい時期だったとネビル氏はBusiness Insiderに語った。期限に間に合わなければ、クラブは閉鎖されるところだった。
「チェルシーの件は、私の人生で特別でユニークな経験であることを願っている」「どのタイムゾーンに対しても24時間体制で、要するにまったく息をつく暇もなかった」
ネビル氏のチームは、ロサンゼルス・ドジャースの共同オーナーで元銀行家のトッド・ベーリー(Todd Boehly)氏にチェルシーを32億ドルで売却することに成功した。当時、スポーツチームとしては史上最高額だった。
「誰もが不安だった。スタッフも選手も不安で、ファンも怖がっていた。サッカーについてのイギリスの報道は、これまで経験したことのないもので、大きな取引に大きなプレッシャーがかかる状況だった。すべての関係者にとって正しいことを行いたかった。だから我々はベストを尽くした。結果を非常に誇りに思っている」
エモーショナルな分野
スポーツ・バンカーは、スポーツが数百万人の人々にとって、きわめて個人的なものであることも認識しておかなければならない、とPJTのパートナー、ジョー・レネハン(Joe Lenehan)氏は説明する。同氏は最近、MLBボルチモア・オリオールズの17億ドルでの買収に関わった。結果的に新しいオーナーは選手や従業員のみならず、リーグやファン、さらにスポーツにかかわるコミュニティと考えられる他のメンバーにも応えていくことになる。
「(スポーツチームは)非常に個人的なビジネスであり、個人が所有しつつも、ある程度は市民が所有しているユニークな資産。資本が実際に地域コミュニティによって所有されているにしろ、しないにしろ、クラブや施設には何らか方法や形態でファンによって所有されている部分がある」とレネハン氏は述べた。
「例えば、新しいクラブを買いたい人がいる場合、オーナー候補たちは、クラブに適切に投資する意思があるとリーグを納得させなければならない」
逆に言えば、ファンのチームへの個人的な思いは、勝っても負けても、チームの永続的な価値に貢献している。
「次のTikTokやInstagramがどうなるかはわからない。予測することは難しい」とネビル氏。
「だが、ヤンキースが50年後も野球をプレイし、マンチェスター・ユナイテッドのゲームを見に行く人がいることは知っている。つまり、コンテンツとIP(知的財産)の持続力という観点からは、資本を配分するには本当に良い場所だ」
ネビル氏は経験から理解している。彼は、その成績にもかかわらず、NFLニューヨーク・ジェッツを応援している。その理由は、多くのスポーツファンと同じ。ニューヨーク生まれとして、彼が父親と一緒に見て育ったチームだからだ。今、彼には3人の幼い子供がいるが、彼らもその伝統を受け継いでいる。
「これがスポーツの素晴らしさだ。スポーツの素晴らしさを、何かに喩えることは本当に難しい」とネビル氏。
「私の2人の息子は7歳と5歳。彼らは熱狂的なジェッツファンで、その理由は私がジェッツファンだからだ」「妻とこんな会話をしたことを覚えている。妻は『ジャイアンツが強いから、ジャイアンツに変えたほうがいいのでは?』というようなことを言った。私はこんな風に言った。『それは不謹慎、そんなことはできない』と。つまり、これが永遠にジェッツファンである理由だ」
#英チェルシーMBLオリオールズ……人気スポーツチームの買収売却に携わる投資銀行家に仕事の裏側を聞く #Business #Insider #Japan