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米第5巡回控訴裁判所、クリーンな飲用水への憲法上の権利を否定する判断

米第5巡回控訴裁判所は2026年9月4日、憲法修正第14条の適正手続き条項に基づくクリーンな飲用水への権利を連邦憲法は保証していないとの判断を示した。ジャクソン市の鉛汚染水訴訟で、住民側の控訴を棄却した。…

米第5巡回控訴裁判所、クリーンな飲用水への憲法上の権利を否定する判断

米第5巡回控訴裁判所は2026年9月4日、憲法修正第14条の適正手続き条項に基づくクリーンな飲用水への権利を連邦憲法は保証していないとの判断を示した。ジャクソン市の鉛汚染水訴訟で、住民側の控訴を棄却した

ミシシッピ州ジャクソン市の鉛汚染訴訟と連邦高裁の判断

米国の連邦控訴審は、鉛に汚染された水道水をめぐる訴訟において、憲法上の権利の解釈に関する重要な判断を下した。米第5巡回区控訴裁判所の全裁判官による大法廷(en banc)は、ミシシッピ州ジャクソン市の住民が起こした訴訟について、下級審による請求棄却の判断を支持した。

原告である住民のプリシラ・スターリング(Priscilla Sterling)、レイン・ベッカー(Raine Becker)、ショーン・ミラー(Shawn Miller)、ジョン・ベネット(John Bennett)の4名は、2022年に市当局が水道水の鉛汚染を知りながら住民に不安全な水を飲ませ続けたと主張して提訴した。彼らは、この水質汚染が憲法修正第14条の適正手続き条項に基づく「身体の不可侵権(right to bodily integrity)」を侵害したと論じた。

しかし、多数意見を執筆したドナルド・トランプ大統領によって任命されたカート・エンゲルハルト(Kurt Engelhardt)判事は、水質の劣化による剥奪は「悲惨(grievous)」であるとしつつも、それが「深く根付いた憲法上の権利を侵害するものではない」との見解を示した。エンゲルハルト判事は、「鉛に汚染された水によって害されない権利が身体の不可侵権に適合するかについては懐疑的であり、原告側は我々を納得させる歴史的伝統や最高裁判所の判例を提示していない」と記述した。

また、エンゲルハルト判事は、公衆衛生危機において当局から「真実の情報を受け取る憲法上の権利」は存在しないと断じた。さらに、「憲法はあらゆる政府の不法行為に対して救済を提供するものではない」と述べた。

ジャクソン市側を代理したジョーンズ・ウォーカー(Jones Walker)のパートナーであるクラレンス・ウェブスター3世(Clarence Webster III)は、この判決を「第5巡回区裁判所が今年出す最も重要な憲法判決の一つ」と呼び、「大法廷が市の立場を支持し、憲法上の責任の限界について重要な指針を提供したことを嬉しく思う」とメールによる声明で述べた。

身体の不可侵権と公衆衛生危機をめぐる法廷の議論

原告側は、2010年から2013年にかけてミシシッピ州保健局が行った水質検査で鉛濃度の急上昇が確認されていたにもかかわらず、市側が鉛のさらなる流入を防ぐための措置を講じず、住民に水は安全であるという虚偽の安心感を与えたと主張した。

訴訟において住民側代理人は連邦最高裁が認めてきたインフォームド・コンセントなどの権利を援用したが、エンゲルハルト判事は、最高裁が一部の適正手続きの権利をコモンロー上のインフォームド・コンセントの権利に属すると認めたケースがあっても、それらに公職者からの正確な情報を求める権利は含まれないと指摘した。

米第5巡回控訴裁判所、クリーンな飲用水への憲法上の権利を否定する判断
Photo: newstribune.com

控訴審の判断では、身体の不可侵権が適用されるのは、警察官による性的暴行や囚人への強制的な投薬、強制的な手術、不随意の投薬、暴行といった事例であるとされた。エンゲルハルト判事は、自治体による水道システムの管理ミスによる鉛の曝露は、これらの事例とは「まったく異なる(wholly different)」と述べている。

なお、2025年には第5巡回区の分立パネルが、身体的自律権をめぐる住民側の主張を一度は復活させていたが、大法廷が本件を取り上げたことで、その決定は取り消された。

住民の負担と今後の救済への選択肢

司法判断が下される一方で、ジャクソン市の水道インフラをめぐる経済的な負担は住民に重くのしかかっている。JXN Waterの顧客に対する請求額は今年に入ってから平均でおよそ毎月8.88ドル(約12%)増加した。さらに、来年の春には追加で10%の値上げが必要になる可能性がある。

米第5巡回控訴裁判所、クリーンな飲用水への憲法上の権利を否定する判断
Photo: finance.yahoo.com

ジャクソン市のジョン・ホーン(John Horhn)市長は、「第5巡回区裁判所がこれらの請求の棄却を支持したことを嬉しく思う。市は引き続き、すべてのジャクソン住民の健康、安全、幸福にコミットする」と述べた。WJTV 12 Newsの報道によると、市は州政府、連邦政府、およびJXN Waterを含むパートナーと協力し、水道システムの強化に取り組むとしている。

裁判所は連邦憲法による救済の道を閉ざしたものの、住民に残された別の救済手段についても言及している。エンゲルハルト判事は、市に対する不法行為請求(tort claims)の提起や、水道システムをより適切に管理する公職者の選出、あるいは代表者に解決策を求めて請願することなどが選択肢としてあると指摘した。

執筆者について: nipponese

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