スクールカーストの記憶や人間関係の序列は、高校卒業後も人生に長期的な影響を及ぼし続ける。米国の心理学者による研究やBBCの報道によると、10代の頃のステータスは、大人になってからの人間関係の築き方や健康状態、仕事の満足度にまで深く結びついているという。
高校時代の記憶とスクールカーストが人生に及ぼす影響
高校を卒業すれば、あの息苦しいスクールカーストから自由になれると多くの人が考える。しかし、心理学や社会学の研究が示すのは、その影が卒業後も人生に色濃く残り続けるという現実である。米ノースカロライナ大学チャペルヒル校のミッチ・プリンスタイン教授は、何十年経っても人々は学校で最も人気があった同級生の名前を鮮明に覚えているとBBCに対して指摘している。多感な高校時代の記憶はそれほど強烈なものであり、10代の頃にどのようなポジションにいたかが、その後の人間関係の築き方や恋愛、仕事の満足度、さらには健康状態にまで影響を及ぼす。
子供時代の人間関係を分類する5つのステータス
人間関係のポジションを研究する上で基盤となったのは、米国の心理学者ジョン・コーイらが1980年代におこなった研究である。コーイらは子供たちにクラスで最も好きな人と最も嫌いな人を尋ねる調査を実施し、その結果をもとに生徒たちを5つのステータスに分類した。多くの同級生から広く好かれる「人気児(Accepted)」は、親切で励まし上手、協調性が高いとされる。一方、多くの人から嫌われている「排斥児(Rejected)」には、攻撃的ないじめっ子になるケースと、逆に非常に控えめで社交不安を抱えいじめの標的になるケースの2種類が存在する。
賛否両論児と無視児が抱える特異な立ち位置
5つのステータスのなかには、評価が分かれるグループも存在する。「賛否両論児(Controversial)」は、好きと嫌いの双方の票が大量に集まるタイプであり、クラスのお調子者や反逆者が当てはまり最も珍しいグループとされる。これに対し、好かれも嫌われもせず名前すら挙がらない影の薄いタイプが「無視児(Neglected)」であり、大人しく引きこもりがちな傾向が見られる。全体の約40%は、極端な傾向を持たない「平均児(Average)」に該当する。BBCによれば、こうしたラベルは転校するなどして別のグループに移っても引き継がれやすいという。
小学校から高校へ引き継がれる人間関係の固定化
子供時代に形成されたステータスや人間関係の構図は、進学や環境の変化を経ても容易には変わらない。BBCによると、小学校でのステータスは、高校生になっても約半数の生徒でそのまま維持されることが明らかになっている。クラスという狭い世界で決定づけられた立ち位置は、本人にとって逃れられない規範として機能し続ける場合がある。親が自分の子供をいじめた相手をやり返すといった行動の背景にも、こうした多感な時期の強烈な記憶や未解決の葛藤が存在している。
卒業後も続くスクールカーストの影と今後の展望
10代の記憶やステータスが大人になってからの人生にどのような変化をもたらすのか、そのメカニズムの解明は今も続けられている。学校という限られたコミュニティで構築された人間関係の呪縛は、社会に出た後も個人の心理や行動パターンに影を落とし続ける。研究者たちが示すこうした人間関係の分類や追跡調査のデータは、私たちが過去の記憶とどのように向き合い、人間関係を再構築していくべきかという問いを投げかけている。