米司法省は、主要テレビネットワーク5社に対し、反トラスト法に違反した可能性があるとして調査を進めていることを認めた。ホワイトハウスの代表取材制度をめぐる対立が、新たな局面を迎えている。.
米司法省がテレビ5社に対する反トラスト法調査に着手
米司法省は、米国の主要テレビネットワーク5社について、反トラスト法に違反した可能性があるとして調査を進めている。トランプ政権による報道機関への圧力が新たな局面を迎えた形だ。Yahoo!ニュースが10日に報じた。調査の対象となっているのは、長年続いてきたテレビ局による「プール」と呼ばれる代表取材制度である。この制度は先月、トランプ大統領がCNNに対しホワイトハウス敷地内への立ち入りを禁止したことで混乱に陥った。
プールは大規模な記者団を代表して少人数の記者が輪番制で大統領を取材する仕組み。当時、テレビ局で構成するプールの代表者はトランプ氏が「CNNが割り当てられたプール取材を行うのを妨げている」ため、「代わりは割り当てない」と表明した。その後、連邦判事がトランプ氏によるCNN、MS NOW、ポリティコへの立ち入り禁止措置を一時的に差し止めるまでの数日間、テレビ局が大統領の行事を代表取材することはなかった。この訴訟は継続しており、司法省は法廷でトランプ氏の措置を擁護している。司法省は現在、テレビ局によるプールの運営方法についても調査を進めている。
司法省報道官が指摘する集団ボイコットの違法性
この極めて異例の調査については、米紙ニューヨーク・タイムズが10日に最初に報じた。司法省の報道官はCNNに宛てた声明で調査の概要を認めた。報道官は「プールに参加するテレビ局は、ホワイトハウス行事の取材をボイコットした。商業上の競合間での集団ボイコットは、シャーマン法に違反する可能性がある」とし、「反トラスト局は、これらの報道機関が同法に違反したかどうかを判断するために調査しているにすぎない」と説明した。数十年にわたりプールを構成してきたABC、CBS、CNN、FOXニュース、NBCの5社は10日夜の取材に対し、コメントを控えるか回答しなかった。
弁護士から求められた文書提出とメディアの反応
事情に詳しい情報筋2人によると、一部のテレビ局が調査について初めて知ったのは9日だった。各社の弁護士が政府からプールの設立経緯や最近の運営状況などに関する文書の提出を求められたという。テレビ5社はプールを通じて交代で大統領の動静を記録し、生中継や録画の映像を互いに共有し、より広範な記者団にも提供している。その恩恵を受けているのは世界中の視聴者だ。例えば、大統領執務室での質疑応答や大統領専用機エアフォースワンでの移動は通常、プールが取材する。地方のテレビ局や新聞社、世界中の報道機関がこうした映像を利用している。
報道の自由と表現の保護を巡る懸念の声
報道機関の報道の自由を支援する非営利団体RCFPのブルース・D・ブラウン会長は今回の調査について、「大統領自身が導入したメディアに対する取材禁止措置が続く中、各社が日々のホワイトハウスの行事をどのように報道しているかについての記録を入手するための口実に見える」と述べた。さらに「報道機関が取材について下す判断は憲法修正第1条によって保護されている。すでに特定の報道機関を締め出す報復措置を取っていることに加え、ホワイトハウスが反トラスト法に基づく権限を持ち出すことは記者を威圧しようとする、さらなる厚かましい試みだ」と指摘した。
反トラスト法適用における法的な障壁と今後の見通し
バイデン政権で司法省の反トラスト局長を務めたジョナサン・カンター氏は、反トラスト法違反を主張しても、最高裁の判例が障壁になるとの見方を示した。判例は公民権運動時代のボイコットを保護される言論だと認めている。カンター氏はCNNに対し、「これは反トラスト法違反とは全く違う話だ」とし、「文字通り言論の自由の問題だ」と指摘した。テレビ各社の法的対応や司法省による今後の調査の行方が注目されている。