前年度比63%減の自治体予算と「組織の統制」発言
簗和生農相は2日の記者会見で、衆院選で自身を応援しなかった首長がいる栃木3区内の2自治体に対する2026年度の道路予算を大幅に削減したとする週刊誌報道について、「そういう発言をしたのだと思う」と述べ、発言をおおむね認めた。東京新聞などが報じた。
首長の対立候補支援と下野新聞が入手した音声
那須烏山市と那珂川町によると、国土交通省が示した社会資本整備総合交付金(道路部分)の2026年度予算は、那須烏山市が約2426万円で前年度比63%減、那珂川町が約2262万円で前年度比54%減となった。両自治体の首長は、2月の衆院選で無所属候補として出馬した簗氏の対立候補を支援していた経緯がある。下野新聞社が入手したとされる懇親会の音声データでは、簗氏が「首長が自民党の国会議員はいらないという行動を取った」「これくらいのことはやらないと組織の統制が取れなくなる」などと語り、自らの役職の影響力を背景に予算をカットしたと説明していたことが示されている。朝日新聞の取材に対し、那須烏山市の川俣純子市長は「自分を支援しない者への報復措置として予算カットをほのめかし、市民に不安を抱かせたことは断じて許されない」と批判のコメントを出している。
「誤解を招くものだった」とした農相の二度の釈明
こうした週刊誌の報道に対し、簗氏は国会内での記者会見で「国土交通省に問い合わせ、箇所付けの結果の報告を受けた。その内容を自民党支部の会合で報告した。誤解を招くものだった」と釈明した。テレ朝NEWSによると、午前の時点では「大臣就任前の一議員としての活動に関わる事柄なので、コメントは控えたい」と繰り返していたが、午後になって2回目の会見を開き、身内の会合で誤解を招く表現があったと釈明した上で、国会や省庁への具体的な予算削減の働きかけや、農相の辞任は否定した。朝日新聞によると、高市早苗首相とは進退について話していないと説明している。

否定する国交相と臨時国会での説明を求める野党
政府側や与野党からは厳しい視線が向けられている。国交相の井林辰憲氏は2日の閣議後会見で、道路予算の配分について自治体からの要望や事業の進捗を総合的に勘案していると述べ、「報道されているような形で道路予算が削減された事実はない」と説明した。一方で、国民民主党の榛葉幹事長は、自治体の予算を政治的な理由でカットすることが事実であれば大問題であると指摘し、5日に召集される臨時国会でも本人が直接説明すべきだと求めている。衆院会派「中道」の後藤国対委員長も、一議員時代の活動として回答を控える姿勢では通じないと批判を強めている。

裏金問題の経緯と問われる高市首相の任命責任
簗氏をめぐっては、自民党派閥の裏金問題で多額の不記載が発覚して党から処分を受けた経緯もあり、高市首相の任命責任を問う声も上がっている。5日に召集される臨時国会において、一連の発言の真偽や行政手続きへの影響を巡る与野党の論戦が本格化する見通しだ。