福岡県議会の正副議長選任を巡る金銭授受疑惑で、自民党県連の幹事長を9月下旬まで務めた樋口明県議(55)が2日、福岡県庁で記者会見を開き、2017年5月の議長就任前に当時の自民県議団幹部から要求され、ゴルフ代など総額600万円超を支払ったと明らかにした。
3人目の実名証言で裏付けられた慣例の構図
一連の疑惑で実名での証言は3人目となる。西日本新聞meなどの報道によると、9月まで自民党福岡県連幹事長を務めていた樋口明県議が2日に福岡市内で会見を開き、生々しい実態を語った。7月に疑惑を最初に告発した吉松源昭議員が約2000万円、元副議長の江藤秀之議員が約800万円を支払ったと明らかにしており、樋口氏の証言で正副議長ポストを巡る金銭授受が常態化していた実態がさらに強く裏付けられた。
参加していないゴルフ費用や1人10万円のお車代
樋口氏の説明では、2016年4月から2017年4月にかけて、自民県議団幹部のゴルフ会「蔵内会」や他会派幹部を交えたゴルフ会「マスターズ」の費用など約600万円を全額負担した。「割り勘は一度もなかった」と主張している。テレ朝NEWSの報道によると、自身が参加していない2016年12月のマスターズの費用として、今も現職の議員に議会棟の会派室で300万円を手渡ししたという。また、福岡市内の料亭で開かれた自民幹部との会合では、1人2万円から3万円程度の食事代を負担したほか、料亭でお土産の袋に10万円程度の「お車代」を入れて渡した。
議長就任に必要とされた1000万円程度のうわさ
樋口氏は会見で「議長就任にあたり、1000万円程度が必要とのうわさは聞いていた」と述べ、「慣例」に従って費用を負担したと強調した。「これを経験しないと、主要ポストにはつけないという判断があった」と説明し、議長就任祝賀会の政治資金パーティーで支払った金額以上の収益は回収できたとの認識を示した。金銭の授受そのものは否定しつつ、もし要求に応じなければ「おそらく議長就任、議連の会長や県連幹事長就任は、危ぶまれていたんじゃないか」と振り返った。
名指しされた幹部5人と第三者委員会の調査
支払いを求めた相手について、樋口氏は吉松氏が名指しした当時の自民県議団幹部5人に含まれていると認めつつ、「相手があることで影響は大きい」として具体的な実名は明かさなかった。名指しされた5人のうち、蔵内勇夫前議長と中尾正幸前副議長はすでに議員辞職しており、残る議員らは取材に対して事実関係を否定したり、第三者委員会の調査に真実を語ると答えている。樋口氏は、疑惑解明を進める第三者委員会には「包み隠さず話す」と明言し、自民県議団からの離脱や議員辞職は否定した。

相次ぐ証言で失墜する信頼と政治倫理条例案の行方
3人目となる実名証言の飛び出しに、他会派や県議会からは「新たな証言が出るたびに県議会の信頼が失墜する」と厳しい批判の声が上がっている。西日本新聞meの社説では、こうした相次ぐ問題を受けて県議会が検討を進める政治倫理条例の素案について、正副議長選任に際して金品の要求をしないことなどを明記しているものの、有権者による審査請求のハードルの高さなど、実効性を高めるための課題が指摘されている。第三者委員会は今後、元議員を含む幅広い関係者から聞き取りを行い、今年度末までの報告書公表を目指している。
