福岡市西区で9月、飲酒運転の車に追突されたバイクが歩行者の男児(3)を巻き込み死亡させた事故で、福岡地検は9日、自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)の罪で無職の大神正治被告(68)を起訴した。呼気からは基準の約2倍のアルコールが検出されている。
危険運転致死傷罪で起訴された大神正治被告
福岡地検は9日、福岡市西区小田の県道で9月20日午前11時10分頃、飲酒状態で軽乗用車を運転し、死亡事故を起こしたとして大神正治被告(68)を起訴した。読売新聞の取材に対し、捜査関係者は大神被告が「事故前日の夜と当日の朝、自宅で焼酎やワインを飲んだ。買い物に行くため車を運転した」と供述していることを明らかにした。起訴状によると、大神被告は呼気1リットル中0・5ミリ・グラム以上のアルコールを保有した状態で大型バイクに追突し、バイクを道路外のソファにいた大分市の大山晴瑠(はる)ちゃん(3)に衝突させた。この事故で晴瑠ちゃんは死亡し、バイクを運転していた20歳代の男性も約3か月のけがを負った。地検は被告の認否を明らかにしていない。
遺族が語る深い喪失感と重い処罰への願い
亡くなった晴瑠ちゃんの父、泰士さん(34)は9日、読売新聞やKBC九州朝日放送などの取材に応じ、現在の心境を語った。泰士さんは「一生、苦しくてつらい気持ちを背負っていかなければならない」と述べ、事故当時の後悔を吐露した。「あそこに寄らなければ、出発時刻が少し遅れていれば」と、やり場のない悲しみを抱えながら、毎晩アンパンマンの袋に包まれた遺骨に声をかけているという。晴瑠ちゃんは普段から「絶対ママ大好き」と口にする明るい子供だった。泰士さんは「できるだけ重い刑罰になり、飲酒運転を自重する人が増えてほしい」と訴え、今回の事件が判例の一つとなることで、同様の悲劇が少しでも減ることを願っている。
裁判員裁判の行方と今後の見通し
危険運転致死傷罪で有罪となった場合、法定刑の上限は20年の拘禁刑となる。今回の起訴を受け、今後は裁判員裁判での審理が見込まれる。遺族の泰士さんは「裁判の中でどのような判決となっていくかは分かりかねるが、できるだけ重い量刑であると良いなと考えている」と語った。社会的な飲酒運転根絶の機運が高まる中、常習的な飲酒運転の疑いが持たれている被告に対し、司法がどのような判断を下すのかが今後の焦点となる。事故から約3週間を経て起訴に至ったが、遺族にとっての喪失感は癒えることがなく、法廷で事故の責任がどのように問われるのか、注目が集まっている。