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2025-03-03 10:00:00
- 月面採掘は数十億ドル規模の産業へと発展する可能性がある。
- 月にはレアアース、氷、ヘリウム3といった資源が存在している。
- しかし、天文学者は、大規模な月面採掘が学術研究に悪影響を及ぼすかもしれないと警告している。
水、ヘリウム3、レアアース(希土類元素)の月面採掘は近い将来、数十億ドル規模の産業となる可能性があるが、それによって科学的発見が損なわれる恐れがあると天文学者は警鐘を鳴らしている。
アメリカ航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)の推計によると、月には数千億ドル相当の価値がある資源が眠っている。
例えば、月面での居住を支えたりロケット燃料に転換したりできる氷状の水(water ice)や、現代の電子機器に不可欠なレアアースなどだ。中でも最も収益性の高い資源はヘリウム3だと考えられている。これは通常のヘリウムよりも安定した非放射性の同位体であり、将来的に核融合に利用できる可能性がある。
Edelgas Groupによると、2024年時点でヘリウム3は1リットルあたり約2500ドル(約37万円)で取引されていた。
「理論上、これは非常に大きな市場であり、急速に発展しつつある」と、スミソニアン天体物理観測所の上級天体物理学者であるマーティン・エルビス(Martin Elvis)がBusiness Insiderに語っている。
また、月面の法的規制については「まるで西部開拓時代のような状態」であり、早く到達した者が、他者よりも先に資源を「獲得」しようとする「悪しきインセンティブ」が生まれていると指摘した。
科学的に重要で、資源も豊富
NASAや中国、いくつかの民間企業は、今後10年以内に月面採掘を開始しようとしている。しかし、天文学者たちは、大規模な採掘活動が宇宙研究の妨げになる可能性があると警鐘を鳴らしている。
月には科学的に重要な地点が存在し、また豊富な資源も眠っているため、学術研究と採掘事業の間で対立が生じる可能性がある。
例えば、月の裏側は「電波的に静かな環境」であり、星や銀河が誕生する前の「宇宙の暗黒時代」を研究するのに理想的な場所とされている。
月の極付近の恒久的に影になっているエリアも「天文学にとって特別な場所」だとエルビスは言う。
しかし、そこに豊富に存在すると考えられている氷は、将来的な宇宙探査にとって重要な資源であることから、採掘の対象としても非常に価値が高い。氷や鉱物の採掘のために探査車を使用すると、月面での精密な研究に支障をきたす振動が発生する可能性があるとエルビスは指摘する。
「水を得るための採掘が、おそらく最も深刻な影響を及ぼすだろう」
曖昧な法的枠組み
月面採掘に関する法的枠組みに関しては、2020年に50カ国以上が署名して策定された「アルテミス合意」がある。だが、これは法的拘束力のない基本原則であり、課題もあると、王立天文学会の副事務局長であるロバート・マッシー(Robert Massey)がBusiness Insiderに語っている。
アルテミス合意には、1967年の「宇宙条約」に準拠した「安全かつ持続可能な方法」であれば、宇宙資源の採掘を許可する条項が含まれている。これにより「各国がそれぞれ月面で拠点を設け、資源を採掘することが事実上認められた」とマッシーは指摘する。
エルビスによると、月面採掘に「科学の必要性」を盛り込む議論をするために残された時間は、ごくわずかだという。そこで彼は、月面に保護公園を設けることを提案している。
一方、マッシーは、今後設けられる規制は経済的な見通しだけを重視するのではなく、天文学の価値や学術研究の保護にも重点を置くべきだと主張している。
「この採掘事業の利害関係者は、富裕層や企業だけではない」と彼は述べ、「人類全体が地球環境の利害関係者であるように、この事業の利害関係者にも人類全体が含まれるべきだ」と付け加えた。
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