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2024-08-04 21:40:00
安全策が結果として利益を生むことも
ボーン氏は投資に際して、未来を予測できる「ふり」は一切しない。だからこそ、相応のリスクヘッジを怠らない。
同氏が2013年の取引開始時から運用を担当するクラリベスト・インターナショナル・ファンドは、同業他社の多くをはるかに上回る120〜150銘柄を組み入れている。各銘柄の組入比率は最大でも2.5%に届かず、分散投資を徹底している。
「ホームラン(的な株価上昇)のポテンシャルが想定される場合でも、ベンチマークより5%多く組み入れる可能性はゼロ。新規に組み入れる銘柄の場合、ベンチマークを超えても2%以内です」
こうしたリスク回避重視のアプローチはリターンに自ら上限を設けてしまうことになるが、その反面、大負けを回避できる側面もある。
ボーン氏のファンドは2014年以降の10年間でマイナスリターンとなったのが4度。S&P500種株価指数が年間でマイナスを記録した2018年および22年は2ケタ%の落ち込みとなったが、過去最高水準のリターンを計上した年のプラスに比べれば微々たるものだ。
「私たちの運用するファンドが目指しているのはホームランではなく、シングルヒットやツーベースの数を積み上げること。ある年に素晴らしい結果を残しながら、翌年には地獄まで転落するファンドをいくつも見てきましたから、もうたくさんなんです」
慣例や因習にとらわれない
ボーン氏の投資に関するフィロソフィーは同業他社の多くとは対照的で、組入銘柄のいちいちを詳しく調査しない。つまり、個別の銘柄のためにテーマを深堀りしたり、馴れ合いになりがちな経営陣との対話に時間を使ったりすることはない。
その代わり、同氏とその同僚らの毎日の勤務時間は、企業の業績や売上高見通し、アナリストのセンチメント、為替の動向、テクニカル指標、バリュエーションなど数字化できる要素で自動スクリーニングした結果をチェックし、割安水準で取引されている銘柄を特定することから始まる。
事前に熟慮しない投資は問題だが、情報分析を重視するあまり動きが悪くなる(もしくは判断が遅くなる)のもまた問題だと同氏は指摘する。
決定的に重要なのは、企業の業績が堅調さを維持できているかどうかを確かめることで、同時に決算説明会の文字起こしをスクリーニングしてリスクを示唆するフラグを検知したり、ポートフォリオのリスク水準を可視化したりすることも欠かせない。
投資プロセスから感情の要素を排除することで、株式市場をより広く、より客観的に捉えることができるし、通説的に市場に浸透してしまっているナラティブとの距離を置くことで、他のファンドマネージャーが見落としている投資機会を発見することもできる。
いま購入すべき国際株6銘柄
ここまで紹介したように、ボーン氏のファンドでは徹底したリスク分散のため、特定の銘柄に重点配分しない戦略を採用している。しかし、だからと言って国際株の中で特に選好する銘柄が存在しないというわけではない。
長いこと国際株をアウトパフォームしてきた米国株だが、反落なり調整局面なりが間近との予測が強まっている。ボーン氏はそうした予測を「チャーリー・ブラウンがフットボールを蹴ろうとするとルーシーが取り上げ、チャーリーがすっ転ぶ」おなじみのシーンに例える。いつもの話というわけだ。
それでも、最終的には米国株からの資金流出は起きるとボーン氏は語る。格言にあるように「伸びる木の枝も天には届かない(trees don’t grow to the sky)」、すなわち成長には自ずと限界があるからだ。
「国際株への投資は来たるべき状況変化に向けた保険のようなものです。
バリュエーションの(行き過ぎの)問題は確実に存在します。そして当然、反落する日は来て、ある程度の調整期間が続くでしょう。しかし、長期的視点に立てば、バリュー株に長く投資するほどより良い結果を得られるのが普通なのです」
以下では、ボーン氏が(徹底的に分散投資しているとは言え)足元で最も期待し、大きな比率をファンドに組み入れている6銘柄を、時価総額、本拠を置く国、同氏が選好する理由(注:Business Insider Japan編集部による要約)とともに紹介しよう。
スリーアイ・グループ(3i Group)

マーケットインサイダー
[時価総額]375億ドル
[本拠地]イギリス
[選好する理由]2023年初来約145%値上がりも、依然として割安。市場がブレグジット(=イギリスの欧州連合離脱)の最悪ケースを織り込んでいるため、イギリスだけのディスカウントが株価の足を引っ張っている。急成長を遂げるオランダの小売大手アクション(Action)への投資益を今後予想。
ヒョンデ(Hyudai)

マーケットインサイダー
[時価総額]464億ドル
[本拠地]韓国
[選好する理由]2023年に過去最高の売上高を記録。電気自動車(EV)のみならず、小型車やガソリン車、ハイブリッド車など幅広いラインナップに強み。2020年にグローバルブランドを韓国語発音の「ヒョンデ」に変更。
伊藤忠商事(Itochu)

マーケットインサイダー
[時価総額]783億ドル
[本拠地]日本
[選好する理由]投資界の生ける伝説、ウォーレン・バフェット氏が高く評価、同氏率いる投資会社バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)との協業案件も。業績を着実に伸ばすタイプの企業ゆえ、長期保有向き。業績の伸びに対して割高感がない。
メディアテック(MediaTek)

グーグル
[時価総額]572億ドル
[本拠地]台湾
[選好する理由]今後の成長が期待される台湾の半導体メーカー。大企業向けAIチップ市場で競争を繰り広げるエヌビディア(Nvidia)などとは異なり、Windows PC向けのAIチップが将来の成長の原動力になる。
TDK

マーケットインサイダー
[時価総額]253億ドル
[本拠地]日本
[選好する理由]高エネルギー密度の全固体電池材料を開発、技術的ブレークスルーを実現。高効率の電池が必要とされるエッジAI向け供給に大きな可能性。
トリップドットコム・グループ(Trip.com)

マーケットインサイダー
[時価総額]284億ドル
[本拠地]中国
[選好する理由]夏前まで堅調な株価上昇が続いたものの、その後は中国株の全面安に巻き込まれた。中国では(国家統計局の)消費者信頼感指数が上海のロックダウンを機に急激に悲観側に振れ、以降回復しておらず、それは旅行サービス企業にとって致命傷と見る向きもあるが、国内・海外旅行とも著しい回復を見せており、投資家の同社に対する過小評価は公正とは言えない。
※本記事は取材対象者の知識と経験に基づいて投資の選定ポイントをまとめたものですが、事例として取り上げたいかなる金融商品の売買をも勧めるものではありません。本記事に記載した情報や意見によって読者に発生した損害や損失については、筆者、発行媒体は一切責任を負いません。投資における最終決定はご自身の判断で行ってください。
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