2024年に大手3社の外国人アルバイトが8万人を超えたコンビニ業界で、なぜ現場の風景は激変したのか。セブン‐イレブン・ジャパンに30年間勤務した村尾信一氏は、新刊『店長、パスタに箸をつけたらお客様がキレました。コンビニで働く外国人たちと店主一家の23年』の中で、日本人の応募減少が先行した結果であると指摘している(集英社オンライン)。
コンビニでの外国人雇用を促した人手不足の背景
かつてコンビニのスタッフ募集には100人以上の応募が殺到する時代があった。2000年頃、新店を出す際にはオーナーや本部の担当者が面接に追われるのが日常だったと、村尾氏は集英社オンラインで振り返る。当時のコンビニは若者文化の象徴であり、新しい商品やサービスに触れられる身近な職場として人気を集めていた。しかし、時代とともに現場の環境は大きく変わった。レジや品出しだけでなく、公共料金の支払いやチケット発券、ネット通販の受け渡しなど、スタッフが担う業務は複雑さを増し続けている。業務の増加に対し、賃金や人手の確保が追いつかない現状が、日本人の採用を困難にしたと村尾氏は分析する。
業務の複雑化と日本人の応募減少
コンビニの仕事が多様化する一方で、日本人の働き手が集まらなくなったという事実は、現場の切実な課題となっている。集英社オンラインによると、少子高齢化の影響に加え、他のサービス業との人材獲得競争が激化したことがこの変化を加速させた。複雑な業務内容に対して割に合わないと判断する求職者が増え、募集をかけても日本人の応募が来ない店が急増した。その結果、留学生や日本に生活の基盤を持つ外国人たちが、コンビニの現場を支える存在となっていった。この変化は、外国人が増えたからコンビニが変わったのではなく、人手が集まらなくなった穴を外国人が埋めるという順番で進んだというのが現場の実感である。

フランチャイズ加盟店を巡る実態と変化
コンビニ経営を巡っては、かつて本部による発注強要やドミナント出店戦略への不満が絶えなかった。PHPオンラインによると、かつては「売上をつくる生命線」としてスーパーバイザーが具体的な発注数を助言する時代があり、オーナー側にはそれが強要と受け取られるケースがあった。しかし、現在はコンプライアンスが徹底されており、スーパーバイザーが発注数を強要することはご法度とされている。むしろ、具体的な指示がなくなったことに物足りなさを感じるオーナーも現れているという。かつてのような理不尽な要求という構図は、時代とともに大きく変容しているのが実態だ。
ドミナント出店戦略の現在地
「近くに同じチェーンの店を出された」というオーナーの不満も、かつてほど聞かれなくなっている。PHPオンラインの報道によれば、最大手のセブン‐イレブンでは、2000年代後半には年間1000店ペースで純増していた店舗数が、2019年以降は2万1千店台で横ばいとなっている。新店の出店ペース自体が極端に鈍化しており、新規出店も売上不振店からの移転オーナーや、既存の複数店オーナーが中心となった。かつてのような急拡大戦略は影を潜め、チェーン全体の成長戦略は新たな局面を迎えている。
コンビニ業界が直面する今後の展望
コンビニ業界は、かつての成長モデルから転換期に立たされている。外国人スタッフの存在は今や日常の風景となり、彼らの労働力なしには営業が成り立たない店舗も都心部を中心に定着した。一方で、業務の複雑化という構造的な課題は残されたままであり、オーナーたちが抱える経営上の悩みも多様化している。少子高齢化が加速する日本において、誰がどのように店舗を運営していくのか。業界全体が現場の負担軽減と人材確保の両立という、かつてない難題に対してどのような解を導き出すのかが今後の焦点となる。