中国政府要人との会談が実現した背景
日本国際貿易促進協会(国貿促)の会長として訪中した岩屋毅氏は、28日に王毅外相、29日には何立峰副首相と会談した。毎日新聞によると、国貿促は1954年の設立以来、日中国交正常化以前から経済交流の窓口として重要な役割を担ってきた。中国側が前会長である河野洋平元衆院議長との関係を重視してきた経緯もあり、今回の会談実現に至ったとみられる。テレビ朝日(テレ朝NEWS)は、今回の訪中団には日本企業の役員ら約50人が同行したと報じている。経済停滞のリスクを抱える中国側にとって、対日関係のさらなる悪化は得策ではないという判断が働いた可能性がある。
台湾問題を巡る中国側の主張と是正要求
会談において、中国側は高市早苗首相の国会答弁に対する強い不満を改めて示した。テレ朝NEWSによると、王毅外相は「日本側の急務は、自国の指導者による台湾問題に関する誤った言動を早急に是正することだ」と強調した。また、何立峰副首相も名指しは避けたものの、一部の政治家が台湾問題で「一線を越えようとしている」と批判した。読売新聞は、中国側が「日本が内政干渉をして台湾に武力介入しようとしている」と喧伝していることに対し、高市首相の答弁は「従来の政府見解から踏み込んだとされるが、台湾問題の対話による平和的解決を希望するという日本の立場は変えていない」と指摘している。
冷え込む日中経済と進む企業離れ
日中間の経済関係は、政治対立の長期化により厳しい局面に立たされている。テレ朝NEWSが帝国データバンクの調査を引用して伝えたところによれば、中国に進出する日本企業は2026年6月時点で1万118社となった。これはピーク時である2012年の1万4394社から29.7%の減少であり、2010年の調査開始以降で最少の数字である。TBS NEWS DIGによると、何立峰副首相は「水が流れれば自然と水路ができる」という言葉を引用し、条件が整えば経済関係は自然に回復するという趣旨の示唆を行った。専門家の高原明生・東京女子大学特別客員教授は、中国側が経済交流を糸口に、少しずつ関係の「窓を開ける」ことを模索している可能性を指摘している。
中国側は従来、首相答弁の撤回を要求してきたが、今回は王氏が「是正」を求めるなどハードルを下げたようにも見えると毎日新聞は報じている。

日中関係改善に向けた今後の見通し
今後の日中関係の焦点は、関係修復の糸口が見つかるかどうかに移っている。毎日新聞は、11月に中国で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議において、高市首相と習近平国家主席の会談が実現するかは現時点で不透明であると報じた。読売新聞は、中国が日本の一部国会議員を厚遇する一方で、高市政権を「新型軍国主義」と牽制する姿勢を崩していないと分析している。事態の打開には、現実的な対中戦略の構築が不可欠となる。20年前、日中関係が深刻な対立状態にあった際には、当時の安倍晋三首相が就任後初の訪問先として中国を選び、「戦略的互恵関係」の構築で合意したという前例がある。