「殴られるような痛み」で眠れなくなった夜
10月11日、信頼していた寿司屋で生サンマを食べたというX上の投稿が大きな波紋を呼びました。帰宅後に激しい腹痛に襲われ、病院の内視鏡検査でアニサキスが取り除かれたという実体験は、多くの人に衝撃を与えました。
海洋生態系から人の胃腸へ
アニサキスの寄生ルートは海から始まります。
東京都世田谷区の情報によると、海でふ化して幼虫になったアニサキスは、オキアミに食べられて体内で育ちます。その後、クジラなどの海洋ほ乳類に食べられて成虫となり卵を産みますが、サバやアジ、サンマといった魚がオキアミを食べてしまうと、成虫になれず幼虫のまま寄生し続けます。
この魚を人間が生で口にすることで、食中毒が引き起こされます。

目視の限界と恐ろしい腸アニサキス症
幼虫の大きさはおよそ2から3センチメートルほど。半透明の白色をしており、目視での確認で見落とされやすいのが実情です。
厚生労働省のデータによれば、食後数時間から十数時間後に激しい腹痛を引き起こす胃アニサキス症が広く知られています。しかし、さらに恐れられているのが腸アニサキス症です。食後数時間から数日で激しい下腹部痛が起こり、腸閉塞を併発する場合があり、診断が難しく手術が必要になるケースもあるとされています。
刺身パックの「解凍」と「養殖」を見極める
アニサキス対策として、熱に弱い性質を利用し60度で1分以上の加熱を行うことが重要です。一方で低温には強く、マイナス5度では6日経っても生き続けてしまいます。死滅させるには、マイナス20度以下で24時間以上の冷凍が必要となります。なお、塩や酢、わさび、しょうゆに漬けても死ぬことはありません。
魚売り場で刺身を選ぶ際は、「生食用」や「刺身用」の表示に加え、パックにある「解凍」や「養殖」の2文字に注目することがリスク判断の目安となります。
冷凍処理と養殖魚がもたらす選択
パックに「解凍」と表示されている魚は冷凍処理が施されていますが、マイナス20度で24時間以上という条件で確実に行われているかどうかの確認が求められます。また、人工のえさで育てられることが多い養殖の魚は、天然魚に比べてアニサキス寄生のリスクは低いとされています。
世田谷区は、寄生虫が付いていた魚であっても廃棄する必要はなく、きちんと取り除くか適切に冷凍・加熱すればおいしく食べられると呼びかけています。