東京都八王子市で9月末、シカやイノシシ用のくくり罠にかかったツキノワグマが、都内で初めて緊急銃猟により駆除された。これを受け、自然保護団体「日本熊森協会」は10月8日、小池百合子知事宛ての要望書を都に提出し、生息地での罠の規制や放獣体制の整備を求めた。
八王子市での緊急銃猟と日本熊森協会の要望書提出
東京都八王子市で9月末、シカ・イノシシを捕獲するための「くくり罠」にツキノワグマがかかり、都内で初めて「緊急銃猟」によって駆除されたと、bengo4.comが報じた。この事態を受け、自然保護団体「日本熊森協会」は10月8日、小池百合子知事宛ての要望書を都環境局に提出した。同協会は兵庫県西宮市に本部を置く。クマの出没地域におけるくくり罠の規制や、本来の捕獲対象ではない動物が罠にかかる「錯誤捕獲」が起きた際、野生に戻す「放獣」の体制整備を求めている。
「経験に長けた人がいれば」放獣を求める団体の主張
日本熊森協会は翌10月9日にオンライン記者会見を開き、会長で弁護士の室谷悠子さんが登壇した。室谷さんは会見で、「本来は放獣しなければいけないところ。経験に長けた人がいれば放獣ができたと思う」とうったえたと、bengo4.comが伝えている。鳥獣保護管理法上、許可された対象以外の動物を捕獲することはできないため、錯誤捕獲されたクマは放獣するのが原則だという。今回のクマについても、前から出没情報があったわけではなく、問題個体ではなかったと指摘した。
「12センチ」の運用基準とくくり罠への懸念
くくり罠にはクマなどの錯誤捕獲を防ぐため、環境省令で輪の直径を12センチ以内とする基準がある。しかし、室谷さんは、環境省が通知によって「最も短い部分が12センチ」であればよいとする運用を認めた結果、大きな動物の足も入りやすい楕円形の罠が使われていることが「根本的な問題」だと指摘した。協会は都に対し、クマの出没地域ではくくり罠の設置を許可せず、やむを得ず使用する場合も輪の形を真円とし、直径を12センチ以下に制限するよう求めている。実際に八王子市小津町の現場を訪れた協会職員は、すぐ隣にくくり罠が置いてあるなど、人が入りやすい場所に罠がある危険性を証言した。

2027年の狩猟再開方針と東京都への共存モデルの要望
東京都は現在、2027年4月から5年間を対象とする「第1期ツキノワグマ管理計画」の中間まとめについて、10月14日まで意見を募集している。計画案では推定生息数を平均235頭とし、年間捕獲数の目安を34頭に設定、2008年度から続けてきた狩猟の禁止を2027年4月に解除するとしている。協会側は推定生息数が過大評価されている可能性があるとして、慎重な検討を求めた。一方で室谷さんは「捕獲自体を全部否定はしないし、問題個体の捕獲が必要な場合もある」と説明し、「東京は財政的なゆとりも人材もある。捕殺だけに頼らない共存のモデルを東京で作ってほしい」と呼びかけた。