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2024-02-01 21:30:00
ビューストック/ゲッティイメージズ
富裕層が慈善事業に寄付するとき、彼らはその対価として最も得をする方法を見つける。「Americans for Tax Fairness(アメリカ人は税の公平性を求める)」によれば、ウォルマート(Walmart)の相続人である億万長者のウォルトン(Walton)夫妻は、公益先行信託(CLT)という戦術を使って、少なくとも30億ドル(約4500億円、1ドル=150円換算)の相続税を節約したという。
公益先行信託(Charitable Lead Trust:CLT)では、信託に資金を提供する人(譲与者)が、信託期間中に毎年の支払いを受ける1つまたは複数の慈善事業を選ぶ。信託が満期になったときに残っているものはすべて、譲与者が選んだ残余受益者(通常はその子ども)に渡る。ジャクリーン・ケネディ・オナシス(Jacqueline Kennedy Onassis)氏は、24年後に満期を迎えるCLTを孫たちのために遺言に盛り込んだ。
しかるべき弁護士がいれば、裕福な顧客はCLTを利用して相続税や所得税を大幅に節税することができる。信託内の資産が、アメリカ内国歳入庁(IRS)が設定した金利よりも高い割合で上昇した場合、受益者は最終的により大きな財産を手にすることさえある。
ウォルトン家の広報担当者は以前、ファミリーによるCLTの利用を擁護していた。2013年、ランス・モーガン(Lance Morgan)氏はブルームバーグ(Bloomberg)に対し、こう語っている。
「ウォルトン家が採用している慈善活動や相続の計画は、広く利用可能で一般的に使われているものです」
ウィザーズワールドワイド(Withersworldwide)のパートナーであるエド・レン(Ed Renn)氏も、Business Insiderに次のように語っている。
「多くのクライアントは、CLTが慈善活動への欲求を満たし、同時に利益を得る方法であると考えています」
CLTを選択するレン氏のクライアントの多くは、最近キャッシュアウトした事業主や、予期せぬ利益を得たプライベートエクイティファンドやヘッジファンドの顧客で、巨額の所得税控除を望む人たちだ。CLTは、公に慈善活動を行いながら、秘密裏に富を移転するためにも利用できる。
「弁護士が、愛人のための計画や、配偶者が知らない子どものための計画などに、こうしたものを使っているのを知っています。ある程度は、受益者が誰なのかを隠すことができる方法です」(レン氏)
ダン・グリフィス(Dan Griffith)弁護士によれば、金利の上昇により、CLTでは満足のいく残余財産を得ることが難しくなっているため、節税だけが目的のクライアントはCLTに手を出すべきではないという。
ハンティントン・プライベート・バンク(Huntington Private Bank)の資産戦略ディレクターであるグリフィス氏は、「慈善活動に熱心でない人や、現在すでにかなりの額を慈善事業に寄付している人には、公益先行信託は向かないだろう」と語る。
CLTにはどんな種類がある?
CLTにはさまざまものがある。ほとんどのクライアントは、信託開始時に定めた一定割合を毎年支払う、公益先行年金信託(CLAT)を選ぶ。ウォルトン夫妻とオナシス氏はどちらもCLATを選択した。

2018年6月1日、アーカンソー州フェイエットビルで開催されたウォルマートの年次株主総会のイベントでスピーチするウォルマートの相続人、(左から)ロブ、アリス、ジムのウォルトン一族。
リック・T・ウィルキング/ゲッティイメージズ
バンク・オブ・アメリカ・プライベート・バンク(Bank of America Private Bank)で信託・相続・税務ソリューションを担当するジェニファー・ガルヴァーニャ(Jennifer Galvagna)氏は次のように話す。
「CLATの場合、ドル建てで支出する金額を約束することになります。つまり、突然市場が暴落した場合、過去数十年にわたりそのようなことが何度か繰り返されていますが、その金額を支払うのです。つまり、残余受益者に届く前に、信託が枯渇する可能性もあります」
残余財産を確実に相続させるために、譲与者はCLATの代わりに公益先行ユニトラスト(CLUT)を選択することもできる。どちらのタイプも資産の一定割合を慈善事業に支払うが、CLUTは信託当初の金額ではなく、払い出し時の公正市場価値を用いる。つまり、CLUTは枯渇することはないが、資産の運用が予想を上回れば、慈善団体はより多額の支払いを受け、受益者の利益は減少することになる。
CLTの仕組み
ほとんどの弁護士は、CLATを残余持分が「ゼロになる」、つまり年金持分の現在価値が信託に移された資金と等しくなるように構成する。IRSが現在価値の計算に使用する内国歳入法7520条に基づく利率(7520条金利)は、2024年1月現在で5.2%だ。計算上、信託の残余持分がゼロになる場合、実際に資産がそれ以上に評価されたとしても、受益者は相続税を免除される。
CLATがどのように機能するのか、CliftonLarsonAllenのマネージングプリンシパルであるマイケル・プリンツォ(Michael Prinzo)氏の挙げた例を紹介しよう。
「2023年12月に100万ドルの資金を設定し、20年間継続するように構成されたCLATを考えよう。譲与者は2023年の課税年度に100万ドルを控除することができる。7520条金利を5.8%と仮定すると、ゼロアウトするためには、信託は20年で186万ドルを慈善団体に支払わなければならない。
信託資産が年9%の収益率を達成した場合、CLTの残余財産は210万ドルとなる。受益者はこの残余財産を相続税や贈与税なしで受け取る。また、この残余財産は、これらの資産がCLTに拠出された後の信託の成長によって作られたものであるため、譲与者の相続税や贈与税の非課税枠には算入されない」
プリンツォ氏によれば、これらの信託は通常、上場株式や現金によって資金調達されており、資産が7520条金利を上回る確率を高めるために、信託期間にわたって再投資される。
購入者はご用心
いくつか注意点がある。まず、金利が上昇すると、CLTで満足のいく残余財産を生み出すことが難しくなる。レン氏は次のように述べている。
「低金利時にはすばらしい作戦ですが、今問題なのは、金利が上昇していることです。4%や5%の金利を上回る投資もあれば、苦戦する投資もあるというところまで来ています」
この金利環境では、公益残余信託(CRT)の方が有利だ。CRTは、CLTとは正反対と考えられ、譲与人に現金を支払い、信託が満期になるか、譲与人が死亡した時に、慈善事業が信託の残余資金を受け取る。金利が高いときには、CRTよりも大きな減税を申請することができる。
しかし、自分の死後ではなく、今すぐ慈善事業に貢献したいという顧客にはCLTが適している、とプリンツォ氏は言う。
「個人が、近い将来、自分が情熱を注ぐような慈善団体に寄付するためのキャッシュフローを探していて、その資産へのアクセスを失っても構わないと考えている場合、公益先行信託(CLT)の方が魅力的に思えるかもしれません」
ほとんどのCLTは取消し不能であり、資金へのアクセスを失うことを意味する。とはいえ、慈善受益者に関しては、ある程度の柔軟性をもって構成することは可能だ。例えば、レン氏によれば、受託者(信託を監督する第三者)は、公的慈善事業の中から選ぶ裁量権があるという。
こうした条項は、寄付者が関係を断ち切りたいときに有効だ。過去3カ月の間に、億万長者の慈善家数人が、イスラエル・パレスチナ紛争への対応をめぐって、母校やその他の教育機関への支援を打ち切ったことが話題となった。
「1つの慈善事業にこだわるという考え方は好きではありません」とレン氏は言う。
「私には多くのクライアントがいて、彼らは慈善事業に深く関わったり、献身的に取り組んだりするのですが、3、4年もすると、彼らはすべてに腹を立てているのです」
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