京都府舞鶴市で2026年9月に発生したクマの緊急銃猟をめぐり、市に456件の問い合わせやクレームが殺到した。住民の安全確保を優先した迅速な対応だったが、寄せられた声の9割が誹謗中傷や批判的な内容であり、深刻なカスタマーハラスメントが問題となっている。
舞鶴市で初となる麻酔銃による緊急銃猟の経緯
2026年9月3日、京都府舞鶴市の住宅街にクマの親子が姿を現し、民家に居座る事態となった。市は市民の安全を最優先に確保するため、警察などの関係機関と協議を重ねた上で、麻酔銃を用いた緊急銃猟の実施を決定した。京都府内では初めての事例となるこの緊急銃猟は、迅速な判断と行動により、人的被害を出すことなく無事に収束した。住民の命を守るためのやむを得ない行政判断であり、現場の緊張感は非常に高いものであった。
寄せられた456件のクレームと相次ぐ誹謗中傷
人命を守った迅速な措置であったが、事件後には市に対して抗議の声が殺到した。9月16日までに舞鶴市へ寄せられた電話やメールなどの問い合わせは合計456件にのぼる。そのうちの約9割が、誹謗中傷や緊急銃猟の実施そのものを問題視する攻撃的な内容であった。「山に帰すことはできなかったのか」といった疑問の声に加え、「そんなに生きているものを殺さないと気が済まないのか」といった激しい非難の言葉も含まれていた。
脅迫めいた音声データが示すカスハラの実態
市が受領した問い合わせの一部には、職員に対する激しい暴言や脅迫めいた発言も確認されている。入手された音声データには、「銃を取り出す時点で間違っている」「お前らは頭が悪いんだって認めろ」「なんなら死んでくれと思っているから」といった、恐怖を与える言葉が記録されていた。さらに、「クマより能力的に劣っている」といった根拠不明の誹謗中傷もあり、行政機関の窓口業務における深刻なカスタマーハラスメントの実態を浮き彫りにしている。
職員を守るため怒りを露わにする鴨田秋津市長の立場
相次ぐ過剰な批判と脅迫に対し、舞鶴市の鴨田秋津市長は強い憤りを隠していない。鴨田市長は取材に対し、「誹謗中傷、中には脅迫めいたものが多かった」「とにかく怒っています」と述べ、現場で対応にあたった職員らを強く擁護した。職員らはクマの命を粗末にしたのではなく、地域住民の命を守るために最善を尽くしたのだと主張し、理不尽な攻撃に対して毅然とした姿勢を示している。