ヘグセス米国防長官は19日、イスラエルを電撃訪問し、ネタニヤフ首相と地域の脅威や米軍の駐留について協議したほか、トランプ大統領がネタニヤフ氏への支持を表明する一方、バンス副大統領はイスラエルの選挙に関与しない姿勢を強調しており、政権内で対応が分かれている。.
ヘグセス長官がイスラエルでネタニヤフ首相と非公開会談
ヘグセス米国防長官は19日、事前の発表なしにイスラエルを訪問した。イスラエル首相報道官によると、会談は同国南部のネゲブ砂漠にあるウブダ空軍基地で行われた。会談では、イラン情勢を念頭に置いた「地域の脅威」が議題となり、攻撃面と防衛面の双方で米国とイスラエルがどのように協力していくかについて意見が交わされた。ヘグセス長官は、数千人規模の米軍を受け入れているイスラエル側の対応に対し、謝意を伝えたという。
トランプ大統領の支持表明と政権内の距離感
トランプ米大統領は17日、自身のSNSでネタニヤフ首相への全面的な支持を表明し、同氏を「偉大な戦士である首相」と評価した。CNN.co.jpによると、トランプ氏は今月初めには「もはやイスラエルの政治には関与していない」と述べていたが、総選挙を目前に控え方針を転換した形だ。一方で、バンス副大統領は19日のインタビューで「私が支持を表明するのは米国の候補者だ」と述べ、イスラエルの選挙には関与しないと明言した。バンス氏はネタニヤフ氏への支持について「反対も賛成もしていない」と語り、トランプ氏とは一線を画す姿勢を見せている。

イスラエル総選挙を巡る政治的状況
今回の訪問は、2023年10月7日のハマスによる奇襲攻撃以降、初となるイスラエル総選挙を控えたタイミングで行われた。世論調査では、ネタニヤフ氏率いる宗教・民族主義勢力の連立与党が過半数を失う見通しが報じられている。しかし、野党側も政権樹立には困難が予想されており、混迷するイスラエル国内の政治情勢が浮き彫りとなっている。ヘグセス長官はワシントンに戻った後の記者会見で、ネタニヤフ氏との協議内容については詳細を語らず、「イスラエルが良きパートナーであることに感謝している」と述べるにとどめた。
米軍の駐留と地域の安全保障体制
イスラエル国内には現在、数千人規模の米軍部隊が駐留している。ヘグセス長官は今回の訪問に先立ち、自身のSNSで中東や北東アフリカ、アジアの一部を管轄する米中央軍の担当地域内で、米軍将兵を激励したことを明らかにしていた。ウブダ空軍基地での会談は、こうした地域的な安全保障環境を維持する米軍のプレゼンスを改めて強調する場となった。シュピールマン首相報道官によると、今回の協議の核心には、トランプ大統領とネタニヤフ首相の間の深い個人的な関係があったとされる。
今後の展望と米イスラエル関係
米政府高官が相次いでイスラエルに関与する中、今後の焦点は選挙後の政治情勢と、それに伴う中東政策の調整に移る。バンス副大統領が「イスラエルの選挙には関与しない」と釘を刺す一方で、国防の最前線に立つヘグセス長官が直接対話を行うという役割分担が明確になった。ハマスとの戦闘が続き、レバノンやイランとの緊張も抱えるイスラエルにとって、米国の新政権との協力体制は極めて重要な課題となる。選挙の結果が今後の両国関係にどのような影響を及ぼすか、国際社会が注視している。