ネパール・ゴルカ地区で10月11日、地滑りによる天然ダムの決壊が原因とみられる鉄砲水が発生し、住宅や橋が流出しました。少なくとも5人が行方不明となり、軍や警察による捜索・救助活動が続いています。住民には避難指示が出されており、地域には依然として高い警戒態勢が敷かれています。
ゴルカ地区で発生した鉄砲水の被害状況
ネパール中央部のゴルカ地区で10月11日早朝、ブディ・ガンダキ川の流域で壊滅的な鉄砲水が発生しました。国家災害リスク削減管理庁(NDRMA)によると、この災害により、ジャガット、サレリ、ドバン、ガッテコラといった集落で甚大な被害が確認されています。初步的な報告では、約35から45棟の住宅が完全に流失し、さらに27棟が部分的な損壊を受けたとしています。また、ゴルカ地区と近隣のダーディング地区を結ぶ幹線道路の橋を含む、少なくとも6つの橋が濁流によって破壊されました。これには、ニャクチェットとフィリム・バザールを結ぶ橋や、アールガットの鉄製橋梁などが含まれます。
行方不明者と救助活動の展開
行方不明者の数については当局間で報告が分かれています。NDRMAは少なくとも5人が行方不明であると発表しましたが、一部の地元メディアや当局者は行方不明者が10人に達している可能性を指摘しています。ネパール軍は直ちにヘリコプターと地上部隊を投入し、救助活動を開始しました。軍の報告によると、これまでに約49人から82人の住民が救助されました。バル・シャハ首相は、ヘリコプターによる救助活動が成功し、6人が安全な場所へと避難できたと報告しています。また、救助隊はジャガットやニャクフェディなど、孤立した地域からの住民の避難を優先的に実施しました。
私たちは川岸の下流に住む村人たちに避難し、安全を確保するよう要請しました。
NDRMAのダラム・ラジ・ウプレティ長官は、川の流れが不安定であり、泥混じりの濁流が依然として脅威となっていることを強調しました。当局はゴルカ、タナフン、チトワン、東ナワルパラシ、西ナワルパラシの各地区に対し、住民への緊急避難警告を発信しました。
地滑りによる天然ダム決壊の可能性
今回の鉄砲水の直接的な原因について、ネパール政府と国際総合山岳開発センター(ICIMOD)は、チュムチェット付近で発生した地滑りがブディ・ガンダキ川を一時的にせき止め、天然ダムを形成した可能性が高いと分析しています。午前5時55分頃、軍の旅団司令部がこの閉塞に関する情報を受け取り、その後の偵察でチュムブリのフィリム付近での地滑りが確認されました。せき止められた水が限界に達し、一気に決壊したことで、下流に破壊的な濁流が押し寄せました。観測ステーションの記録では、水位がわずか2時間で2メートルから8.5メートルへと急上昇しました。

ICIMODのペマ・ギャムツォ事務局長は、今回の災害が「連鎖的な山岳ハザード」の危険性を浮き彫りにしたと述べました。ネパールは8月26日に発生したボテコシ川とトリシュリ川の大洪水から回復途上にあり、当時の災害では1,455人が死亡、5,285人が行方不明となる甚大な被害を受けています。今回の災害は、その記憶が残る中で発生したため、被災地の住民に大きな動揺を与えています。
インフラと水力発電所への影響
今回の洪水は、ネパールのエネルギーインフラにも深刻な打撃を与えました。ネパール独立発電事業者協会(IPPAN)によると、ブディ・ガンダキ川流域の少なくとも4つの水力発電プロジェクトが被害を受けました。特に、建設中の341メガワット級「ブディ・ガンダキ水力発電プロジェクト」では、メインキャンプが濁流に流され、建設資材や重機が失われました。また、24.5メガワットのドバン・コラ、30.59メガワットのヤル・コラ、16メガワットのマッチャ・コラ水力発電プロジェクトでも、アクセス道路や建設用橋梁が損壊しました。


8月の災害時には、世界銀行のGRADEレポートによると、12の水力発電所と1つの太陽光発電所が被災し、約430.7メガワットの発電容量に影響が出たと推定されています。今回の洪水による被害額の全容は現時点では未確認ですが、インフラ復旧には多大なコストがかかると見込まれています。スダン・グルン内務大臣は、被災地にテント、毛布、食料セットなどの救援物資を送付したことを報告し、住民に対して川岸に近づかないよう強く呼びかけました。
現在、当局は引き続き行方不明者の捜索と被害状況の調査を継続しており、さらなる地滑りや河川増水の再発に備えて、周辺地域には引き続き高い警戒レベルが維持されています。