通常は農機や重機のみに許可されている免税の「赤色着色軽油」を、ドナルド・トランプ米大統領は5日、一般の公道走行車両でも使用認可する大統領令に署名した。数週間に迫った米中間選挙を前に、対イラン紛争などで高騰する燃料価格への対応を急ぐ狙いがある。
この燃料は燃料税が免除され赤色に着色されているため、「赤色着色軽油(レッドダイド・ディーゼル)」と呼ばれる。本来は農業用機械や重機などに限定されている免税の専用軽油を、公道を走る一般のトラックや乗用車でも使用できるようにする署名だ。
トランプ大統領がネブラスカ州の集会で署名を発表
ネブラスカ州で開かれた集会で、トランプ氏は支持者に向けて大統領令の効果を大々的にアピールした。
誰もが理由を問わず免税の赤色着色軽油を購入できるようになる
ドナルド・トランプ米大統領、ネブラスカ州での集会演説にて
トランプ氏はステージ上で「赤色着色軽油が何なのか私には分からないが、何であれ非常に良いものであるはずだ」と冗談も飛ばした。
ホワイトハウス説明資料に記された限定的方針
しかし、大統領令と同時に発表されたホワイトハウスの説明資料には、トランプ氏がステージ上で語った内容よりも限定的な方針が記されていた。
資料によれば、今回の政令は税そのものの完全廃止を命じるものではない。公道で使用される着色軽油にかかる納付義務のある税について、利息や罰金なしで年末まで延納を認めるとともに、課税自体を取り消す方法を検討するよう指示する内容となっている。
高騰する燃料価格の背景と政治的対立
ホワイトハウスの説明資料では燃料価格高騰の原因としてイラン情勢への言及は避けられ、代わりにロシア・ウクライナ戦争と世界的な製油能力の不足が挙げられている。さらに、民主党主導の州がグリーンエネルギー政策を掲げて製油所を相次いで閉鎖したことについても批判の矛先が向けられている。
中間選挙を控えた異例の解禁措置
本質的には通常の軽油と変わらない赤色着色軽油を巡り、税の延納検討と異例の公道解禁に踏み切った米政権。目前に迫った中間選挙を前に有権者の不満を和らげるための実務的な対応と政治的なアピールを同時並行で進めている。