日本語版
最新ニュース
世界

トランプ大統領がロシア産ディーゼル輸出再開で合意、共和党議員らから猛反発

ロシア産ディーゼルのグローバル市場への供給緩和をめぐり、ドナルド・トランプ米大統領の決定が2026年10月中旬、国内外で激しい波紋を呼んでいる。

トランプ大統領がロシア産ディーゼル輸出再開で合意、共和党議員らから猛反発

ロシア産ディーゼルのグローバル市場への供給緩和をめぐり、ドナルド・トランプ米大統領の決定が2026年10月中旬、国内外で激しい波紋を呼んでいる。ウクライナや米国の与野党議員から強い反発が上がる一方、ホワイトハウスは燃料価格の引き下げに向けた正当性を主張している。

ドナルド・トランプ大統領のロシア産ディーゼル合意と国内からの強い反発

2026年10月9日、ドナルド・トランプ大統領はロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談を経て、制裁を一時的に緩和し、ロシア産ディーゼル燃料の輸出を再開することで合意したと発表した。この取り決めにより、総計480万メートルトン(約3600万バレル)に及ぶディーゼルが来年4月中旬まで世界市場に供給される見通しとなった。トランプ政権は、これが記録的な高水準にある国内の燃料価格を迅速かつ大幅に引き下げる効果を持つと強調している。

しかし、この発表は直ちに国内外の猛烈な反発を招いた。6人の共和党上院議員と6人の民主党上院議員が連名で書簡を送付し、この合意がロシアに戦費を供給するだけのものだと非難した。スーザン・コリンズ上院議員(共和党・メイン州)、リサ・マーコウスキー上院議員(共和党・アラスカ州)、トム・ティリス上院議員(共和党・ノースカロライナ州)、ジョン・カーティス上院議員(共和党・ユタ州)、アラン・アームストロング上院議員(共和党・オクラホマ州)、ジョン・コーニン上院議員(共和党・テキサス州)らを含む超党派グループは、政権に対して即時の路線撤回を求めている。

法的な観点からも疑問が呈されている。7人の民主党および共和党上院議員は、今回の措置が2022年に成立した「ロシア産石油輸入停止法」に違反していると主張した。この法律は、ロシアがウクライナからの撤退や主権の尊重といった条件を満たさない限り、輸入を禁じるものだ。共和党のブライアン・フィッツパトリック下院議員は、この決定を阻止するための立法を準備しており、下院での採決を強行する意向を明らかにしている。

ウクライナの強い警戒とウォロディミル・ゼレンスキー大統領をめぐる確執

トランプ大統領とゼレンスキー大統領の関係は、以前から波乱含みであった。2025年2月、トランプ大統領とJ.D.ヴァンス副大統領は、ゼレンスキー大統領をホワイトハウスで厳しく叱責し、合意形成を迫るという異例の事態も発生している。今回、トランプ大統領はゼレンスキー大統領に対し、ロシアの石油精製所への攻撃を止めるよう要求し、合意に至れない同大統領を「新しいリーダーに変えるべきだ」と批判した。

トランプ大統領がロシア産ディーゼル輸出再開で合意、共和党議員らから猛反発
写真:CBS News

ドナルド・トランプ米国大統領は「合意をまとめられる新しいリーダーに変えるべきだ。彼は多くの合意をまとめることができたはずなのに、何らかの理由で決してそうしないからだ」と述べた。

エネルギー市場への影響と価格の現状

政権側は米国の農家やトラック運転手らの負担を軽減するため、ディーゼル価格を下げる必要性を訴えている。しかし、エネルギー専門家や市場アナリストからは、ロシアが約束した供給量が世界市場全体の規模に比べてわずかであり、価格への影響は限定的であるとの見方が示されている。米国のディーゼル消費量は1日あたり約1億7000万ガロンに達するが、今回のロシアの供給分はそれに対して極めて小規模である。

トランプ大統領がロシア産ディーゼル輸出再開で合意、共和党議員らから猛反発
写真:Newsweek
トランプ大統領がロシア産ディーゼル輸出再開で合意、共和党議員らから猛反発
写真:BBC

全米自動車協会(AAA)によると、ディーゼルの平均価格は10月時点で1ガロンあたり約6.28ドルに達しており、前年からの上昇が続いている。2022年のロシアによるウクライナ侵攻前、ディーゼル価格は1ガロンあたり3.48ドル程度であった。カリフォルニア州など一部の地域では、すでに1ガロンあたり8ドルを超える異常な高値が観測されている。ガスバディの石油分析部門責任者パトリック・デ・ハーンも、卸売価格は今回の合意に動じておらず、トラック運転手や農家にとって即座の救済にはならないだろうと述べている。

また、米国の戦略石油備蓄は1982年以来の最低水準にまで落ち込んでおり、一部の専門家はこれが将来的な安全保障上の深刻なリスクになると警告している。トランプ大統領は批判に対し、「これは世界のための合意であり、米国だけの合意ではない」と述べ、自身の政策の正当性を強調しているが、与野党を問わず、この措置が米国のエネルギー安全保障や対露政策のレガシーを損なうという懸念は消えていない。

トランプ大統領 ウクライナは「新しい大統領を」 ロシア製油所への攻撃に不満(2026年10月11日)
執筆者について: nipponese

Nipponese News編集部は、国内外のニュースを日本語で分かりやすくお届けします。