テネシー州で50歳の死刑囚クリスタ・パイクに対する致死薬の投与が行われたものの、薬物が効かずに生存が確認された。州当局は今年の残り予定されていた死刑執行を停止し、第三者機関による調査を指示した。弁護団は、処置の過程で苦痛を伴ったとして刑の免除を求めている。
致死薬投与の失敗と病院への搬送
目撃証言によれば、執行室内のカーテンの開閉が繰り返され、パイクがうめき声を上げたり、いびきをかいたり、息苦しそうにする様子が確認された。パイクは自分の腕の注射部位を指して「こんなことってあるの?」と尋ねていたという。弁護団は、静脈確保の不手際によって薬物が血管ではなく周囲の組織に漏れ出したと指摘している。
パイクは1995年にノックスビル・ジョブ・コープスの同級生であったコールン・スレマー(Colleen Slemmer)を殺害した罪で有罪判決を受けていた。事件当時、パイクは18歳であった。
最高裁判所の判断と法廷闘争
この執行をめぐっては、直前まで激しい法廷闘争が繰り広げられた。連邦控訴審が一時的な執行停止命令を出したものの、連邦最高裁判所は執行当日の夜にその命令を解除し、州による死刑執行の道を切り開いた。ソニア・ソトマイヨール(Sonia Sotomayor)判事が反対意見を述べ、エレナ・ケイガン(Elena Kagan)判事およびケタンジャ・ブラウン・ジャクソン(Ketanji Brown Jackson)判事がそれに同調した。
知事による調査指令と矯正局長の辞任
共和党のビル・リー(Bill Lee)テネシー州知事は、何が起きたのかを正確に解明するため、徹底的な第三者機関による調査を命じた。テネシー州矯正局(TDOC)のフランク・ストラダ(Frank Strada)局長が今月末で辞任することが明らかになっている。
ビル・リー知事は、今年の残りに予定されていた別の死刑執行についても、2026年まで延期することを発表した。

弁護団による死刑判決の破棄要求
クリスタ・パイクの弁護団を務めるステファン・フェレル(Stephen Ferrell)らは、今回の処置が「拷問」のようであったと強く非難し、たとえ彼女が重篤な状態から回復したとしても、今後の死刑執行を免除し刑を減刑するようビル・リー知事に求めている。
CNNの番組でアシスタント・フェデラル・ディフェンダーのステファン・フェレルは「彼女はまだ病院で人工呼吸器を装着され、重篤な状態にあります。予後はまだ本当によく分かっておらず、数日間は分からないかもしれません。身体的な状態がどうなるかも分かっていませんが、彼女が拷問のような死刑執行の試みに耐え抜いたことは明らかです」と述べた。
パイクの代理人を務める連邦弁護士のルーク・アイレン(Luke Ihnen)によれば、致死薬の投与後もパイクは生存しており、現在は病院で人工呼吸器を装着され治療を受けている。